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自分らしい経営スケッチ

前職時代は三人のチームで孤軍奮闘スタイルで会社をやっていた。それはそれで面白かったけど、しっかり僕も歳を取り、自分だけしかいない会社を立ち上げ「アイデアだけで食っていく!」みたいな状態から、「みんなアイデアがある会社」に向かう途中が今である。

かねがね、一般的な会社のあり方がどうにも今の時代もう破綻しているんじゃないか?と思いながら今の会社を作っているので、じゃあ次の時代の会社ってなんだ?ってのをずっと考えている。答えはまだないけど、永遠にないのだろうと最近は思っている。

上の図のように思い始めたのは前職時代。もうそろそろ今の会社の構想をし始めていた頃の思考のスケッチだ。
左が従来のトップダウン形式の会社のあり方。右が僕がイメージしていた会社のあり方である。

今、日本中に大量の小さいクリエイティブ・チームが誕生している。
多くは大きな組織から独立した優秀な人たちが立ち上げたチーム。平成も終わる今年、この勃興が激しくなることは見て取れるし、今まで同じあり方でい続けることの難しい状況が生まれる。

生存確率をあげるためには良い仕事し、たくさん案件を持ち、できるだけ固定費を抑えて、拡大しながら成長していくというシナリオが従来の展開だと思う。そのあたり、天邪鬼な性格なのか、なんかちげーわとビールをオーダーしてしまう僕は拡大していくつもりもサラサラないし(常々、最大五人までと言い続けている)できる限り全力で真逆に振り切りたいと思っている。

そこで法人格のことを思い出した。法人を立ち上げる時教えてもらった。法人も一人の存在として生まれるんですって。だから税金も収めるわけですと。小学生に会社の作り方教えるくらいイージーな表現で税理士さんが教えてくれた。

その時思ったのが「じゃあ、どんな存在だったらかっこいいか」だった。僕お判断の全てはカッコいいか、超ダサいのどちらかに振り切られる。
超簡単にいうと困ってる人がいて、「俺らがきたから大丈夫、まかせとけ」って超かっこいいと思った。それは正しい、それは違う、全てはっきり物言える人。だったらこうしようと自信を持って言えるやつ。かっこいい。

でもそれって、人が増えれば増えるだけ無数の人の意志や行動で法人格が形成されていって、特に僕らは内面のところの構築を強みとするチーム。だとしたら、無尽蔵に人が増えまくることってなんか違うぞって。儲かるけど違う。その違和感を一人で悶々と感じていた。

で、思い出した。バンドじゃんって。僕は大学4年間ずっとバンドをし続けて卒業まで仲間たちとやりきった。その時の体験が思い出された。音楽って一人じゃできないわって。そして、メンバー全員の意志と音がバチっとあったライブって言葉にできない強さがある。あれを法人格でやればいいのだ。

ということで、組織ではなく、バンドやチームの形式の方が僕らは正しいことができるはずだと動いている。システマチックな従来の組織論は効率的ではあるが、各セクションで小島ができる(赤い三角)、そのまた上でも三角ができる。群島のような状態が誕生して、安定稼働はするものの今の時代の速度には合わない。

でも、それがバンドであれば「ここんとこのリフ変えてみたわ」「いいね/ださいね」とか、スタジオで起こる。お上のご意見仰ぐ必要もない。判断はメンバー個々で決めて試すことができる。バンドにはグルーヴがあり、それに合わなければ「なんか違わない?」となる。バンドも人格だ。ハードコアバンドが急にアコギ一本で弾き語られると多重人格みたいになる。

そして、会社にはルールがある。バンドにはスタイルがある。
じゃあ、うちには何があるか?カルチャーがある、と思ったのだ。
で、採用した人たちと面会するときにうちにはルールはありません。でも、文化はあります。残業ダサいとか。仕事ばかりの人生はクソだとか。家族大事にできなかったら仕事も大事にできるわけないとか、とか。

なので、今僕はやんわり右のほうの図式を目指している。
その発展系もしかりだけど、こちらで何が生み出せるかに興味がある。
んで、直近決めたものごとでいくと、いつかみんなの給料を俺も含めて一律にするってこと。つまり、一応社長させてもらってる僕と同じフィーまで、みんなを引き上げるってことを公言した。してしまった。できるかわかんないけど想像できたってことはできるってことだろうと思っている。

つまり給与体系っていうものや評価制度というものがあるのは、従来の組織のスタティックな統制を図りやすい方法論でこそ成立したルールだと思う。
新卒からこの仕事なので、今年これだけ実績残して、給与査定が低いときに、ちょっと低すぎない?って話をしたら、年齢も鑑みての判断ですと言われたことがある。あれおかしいな。社会って年齢関係ないフィールドじゃなかったっけ?そのときあたりから組織のあり方にやや疑問を持ち始めていた。

なので次の世代のこと考えると、自分の働きをしっかり換算できて、いや安すぎだろうとか、高すぎじゃないっすか?期待値っすか?とか、ちゃんと話せる状態にしないと絶対ダメだと思っている。ほんで社長と同じフィーまで引き上げるという宣言は、それに見合う能力を身につけさせる、実績を残させるということでもあり、同時にそれを達成するための努力なくして実現できないものだったりする。

これは万が一、俺が酔いつぶれて車にはねられたり、肝臓メインでいかれてぶっ倒れたときに個々でしっかり自分の足で立てるようにしておかないといけないというのもある。と同時に、単純にかっこいいからというのもある。あんな小さいチームに色んな地方から大小様々な依頼がきてる。そのどれもが斬新で的を得ていて素晴らしい結果を残してる。そんなチームが京都にいたら最高だと思うし、僕はそういうものを作りたいと思っている。

そもそもアイデア1本でぶっこんでる同業会社があまりに少なく相談相手も全然いないので一人哲学講座のように黙々と考えているが、少しずつ仲間が増えて一緒に議論できる状況が生まれている。ここから、挑戦的なことをどんどん生み出していきたい。


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松倉早星(Nue inc・Ku-ko inc代表)
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。