はじまりの季節
ワクワクして前の日にランドセルを背負っている。
あれもった、これもったと確かめて、それを得意げに教える兄も少しワクワクしている。娘の入学式前日の夜。
ランドセルに背負われてるくらいにまだ大きさが曖昧なのも一瞬のことなんだろうな。妻と手を繋いで歩く後ろ姿をみて、そう思った。
まだ空っぽなランドセルに不安と期待を背負って入学式へ。
入学式の別れどき、今日一番不安そうな顔して教室へ向かう娘。
幼稚園だったら、泣いてたのにな。不安を自分でかかえこめる強さをこの数年で身につけたのかな。親の見てないところでどんどん育つな、子供ってのは。
入場前にちらっと視線を感じて、目を向けると娘がひだまりに立っていた。
小さく手をふって、さっきまでの不安はどこへやら。なにやら楽しげに話したり笑ったり。
起立も礼も、おぼつかない一年生たち。
それでもみんな隠しきれないワクワクが溢れ出ていて、
見ていて微笑ましくなる。あんなころ、僕らにもあったんだよな。不思議な感じ。
上級生の鍵盤ハーモニカの音色。
楽しげにお隣の子と話す子供達の声。
いろんなはじまりが凝縮された季節。
大人だって、子供だって、何かが始まるときは、心の大半を不安が占めている。それが少しずつ「わかった!」に変わっていって、気がつけば可能性の塊になる。
今日、たくさんのはじまりの合図がなっている。
僕らの街も、あなたの街も。
どのはじまりにも祝福あれ。
入学おめでとう。
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。