週末トラベラー
「クリエイティブは移動距離に比例する」
大学時代、バックパッカーに憧れていた自分はこの言葉に腹の底から興奮したことをはっきり覚えている。
バイトで稼いだお金を旅に使い、期待や不安が渦巻く僕の心をがっしり掴んで離さなかったのがこの言葉だ。
僕は今、とんでもない渋滞に巻き込まれたバスの中から文章を書いているのだけれど、忙しくしがちな社会人ほど、今一度旅と創造性について考えてみたら、、、いや、感じたら良いと思う。
学生時代に出会った言葉たち
大学生だった僕は、他の何よりもバックパッカーがカッコイイと思っていた。心のヒーローだった。
周りに迎合せずに我が道を行く。
旅先で見つけた美しい景色に言葉を失う。
世界中の人の温かさに心を溶かす。
いわゆる「旅人」と呼ばれる彼らの行動には、どこか自然を愛し、人を尊敬し、世界とともにある壮大なスケールを感じさせられた。
僕もそんな彼らのようになりたかったのだと思う。
神保町のスポーツショップでバックパックを買って、ミニマルにパッキングするにはどうしたら良いか頭を悩ませ、Googleマップを見ながらルートをつくり、スカイスキャナーで最安値チケットを探していた日々が懐かしい。
バックパッカーも、僕が憧れていた時代の彼らと比べるとハイテクになったものである。
旅と世界に想いを馳せると、当然偉大な旅人たちの残した言葉に触れる。
どんなに洗練された大人の中にも、外に出たくてしょうがない小さな子供がいる – ウォルトディズニー
人が旅をするのは到着するためではなく、旅をするためである – ゲーテ
本当の旅人とは、決まった計画など持たず、どこかに辿り着こうという執着も持たないものだ。 – 老子
彼らの言葉は今でも心の栄養になっているし、旅をしている時ばかりは自分を彼らに重ね合わせたりもした。旅の幻影だ。
「クリエイティブは移動距離に比例する」
この言葉ともそんな時に出会ったし、世界を旅しまくってやろうと思ったことを覚えている。
社会に出ると
学生時代はいわば人生のモラトリアムだ。何をやっても良いし、時間もある。社会人になって平日週5日働くと、当然旅に出かけられる時間は少なくなる。創造性が移動距離に比例するならば、これは許すまじ事態だ。
僕は普段、月曜日から金曜日まで働いている。ただ働いているのではなく、結構働いている。(結果はこれからなのでお待ちを、、。)
そうすると、オフィスでPCに向かう時間が多くなる。まだまだ実力不足の僕にとって、こればっかりはトレードオフかと思っているから気を付けてはいるが、視野がどうしても狭くなる。
社内で頑張るのは良いが、集中が全て内向きになってしまうのだ。仕事はオフィスで起きているのではない、マーケットで起きているのにね。
転職してそろそろ半年が経とうとしているので、一度自分をリセットしたく旅に出た。週末トラベラーとはこのことだ。
ゲストハウスにただいま
コンクリートとデジタルの世界に思考がガチガチだった僕は、バスに乗り込み上高地へと向かった。日本が誇る大自然だ。バスから降りたときの一言目はこれ。
「空気、うまっ、、。」
やっぱり自然は人を浄化するなと思ったり。
だいぶ端折るけれど、その日の夜は松本のゲストハウスに宿泊した。
Bookinkg.comでコスパが良いから予約した宿だったのに、偶然弟がそこのオーナーさんと知り合いだったり、スノーボードの資格を取りに来たベロベロに酔っぱらったアメリカ人と語り合ったり、フランス美人の会話に耳をそば立てたり(何も分からないけど)、日常ではありえない非日常がそこにはあった。翌朝目覚めてフランス美人に「オハヨゴザイマス」と言われたのは忘れられないなぁ。学生時代からフランス美人は特別だ。
世界中のゲストハウスに泊まったけれど、やっぱり日本のそれにも味がある。週末旅に出るのも悪くない。
これからは週末トラベラー
日常の中に非日常を創り、非日常の中に日常を創る。
これができる人をカッコイイと思うし、人生のセンスだったりすると思う。
日々忙しく仕事をしていると、刺激的で楽しいのだけれど、どうしても生活が単調になりがちだ。知らず知らずのうちに、思考が狭くなる。
「Unlearn」や「学び直し」が叫ばれているビジネスシーンにおいて、この状態を放っておくわけにはいかない。怖いのは、一生懸命仕事をしているのに、知らないうちに思考が凝り固まることだ。
そうならないためにも、週末トラベラーというライフスタイルを楽しみたい。
クリエイティブは移動距離に比例するのだから、旅に出ることで日々の仕事のパフォーマンスが上がること間違いなしだ。
何よりも、旅先で出会ったコトは自分自身の物語になる。フランス美人に「オハヨゴザイマス」と挨拶されただけで嬉しくなるのであれば、旅に悪いことなしだ!
僕は今、とんでもない渋滞に巻き込まれたバスの中から文章を書いている。
明日から平日がやってくるのに、、。
これもまた旅の醍醐味だ(ということにしよう、。)。効率性が求められる現代において、非効率は最大の贅沢であるという旅の言葉を残してタイプを終えたいと思う。
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