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新規上場企業の株価に最も影響を与える相関係数を分析した話

割引あり

はじまり

日々株式市場で売買をし生計を立てていますsbiAIです。
日経が右肩上がりで上昇していく中、私が好きなグロース市場はその恩恵をあまり受けていません。
「日経が上がってもろくに上がらず、日経が下がればつられて下がる」そんな憂き目を毎日のように経験し、『もういいや』と思って投げ売ればなぜかぶち上がる、そんな不遇な取引ばかりしています。

これもう株式市場が私のこと監視してるだろ!」状態です。

さて、株をやられている方ならご存知の通り、株価は単純に決算の数字では決まりません。
『お!決算ええやんけ!』と思っても、なぜか株価が急落し、「期待値が高かったから…」「機関のおもちゃだ…」なんてコメントが掲示板には溢れています。じゃぁファンダメンタルとはなんやねん、という感じです。
私は以前から「株価を決める一番の要因はなんなんだろう」と思っていました。中長期で考えれば当然、利益などのファンダと言えますが、新規上場銘柄は特にファンダメンタル分析が通用しないので痛い目にあいます。
「だから新規やグロースなんか手を出すな」という声が聞こえてきそうですが、今回は新規上場銘柄の株価に最も影響を与える指数はなんなのか、というのを真正面から分析していきたいと思います。

今回の分析はディープラーニングを回す実費と、丸々1ヶ月の工数をかけました。あまりやすやすと教えたくない情報なので途中から有料にしています。
毎日の株での負けに比べればタダみたいなものですから、今後のために課金してください、社長頼みます!

いざ、ディープラーニング

対象

2011年以降に上場した会社の中から、外れ値を除外して約800社をデータ化しました。リートや明証など、n数が足りなかったり他の指標と軸がズレるものは削除します。

項目(特微点)

例として以下の項目をデータ化しました。
「データ化しました」なんて書くと簡単そうですが、この作業だけをやって丸々2週間かかりました。最初はwebスクレイピングで簡単にできるかな、と思っていたのですが、期間が長いこともあり形式はめちゃくちゃでシンプルに地獄でした。。。

  • PERとかPBRなどの基本情報

  • 売上、利益、およびその伸び

  • 上場市場

  • 主幹事(この辺は1ホットコーディングで対応しました)

  • 社長の持ち株比率

  • ロックアップの期間や倍率

  • 公開株数と売出の割合

  • 割安性

  • 上場前の話題性(優しいIPO株の始め方の評価)

  • 公募と初値
    などなど

目論見としては、
『持ち株比率の高い社長はやる気あるだろ!』

『売出が多い上場はクソ』
『主幹事とか別に関係ないだろ』
など、個人的な予想があり、これらを数値としてインプットしていきました。いや、もう本当に地獄でした。

ディープラーニング始めるよ

データのクリーニングにさらに1週間ほどかかり(これもほんと地獄だった)
Pythonたんと共にディープラーニングを始めます。
少し専門的な話は端折りますが

<上場初日の終値>
Test Loss: 0.02146044932305813
Test MAE: 0.10786028206348419
<上場から1年後の終値>
Test Loss: 1.802944540977478
Test MAE: 0.7157723307609558
というところまで精度を上げました。
0に近い方が精度が高いのですが、予測不可能な株式市場でこの精度まで鍛え上げたのは結構良くできた方なんじゃないかと自負しています。
トロント大学もびっくりの精度です。

なお、すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、いわゆる”上場初値”はデータとして入力しておらず、”公募価格比”として比率でしか使用していません。これは例えば初値が1000円だった場合、初日終値は1200円とか900円くらいになるでしょうし、初値が10000円だった場合12000円とか9000円スタートになるでしょうから、『初値が分かれば初日の終値も当然分かる=初値が最も相関が高い』ことは火を見るより明らかなためです。

さて、話を戻しますが、結果的に
「上場日から日が浅いほど株価を予想しやすい」ということが分かりました。
そんなの当たり前だろ!と言われてしまいそうですが、当たり前の結果が出たということは逆に言うとトレーニングデータがよくできているということです。
「明日のことはわからないけど1年後のことは分かります」という分析はおそらくぶっ壊れているので。

何が株価に最も影響を与える(相関がある)のか

では早速”答え合わせ”に行きましょう。私が1ヶ月これだけに集中して出した結論を公開していきます。実際に株価を求める計算式は書けないので株価に影響を与える相関係数TOP3を発表していきます。

<上場初日終値に最も影響を与える項目>

1位"証券会社" 
2位"成長性"
3位"話題性" 

なんと1位は特定の主幹事であることが分かりました。
「主幹事!?」という感じですが、言われてみれば確かに"優しいIPO株の始め方"でも主幹事についてはよく言及されています。

”統計的に”って、本当に統計的にだった。。。

ただ、1点補足すると最も良い証券会社はSBI証券ではありません。
成長性や話題性が初日の終値に影響する、というのも納得です。
とりあえずドンズバで腑に落ちる結果になったと言えます。

<上場1ヶ月後の株価に最も影響を与える項目>

1ヶ月後に影響を与えるのは全て『マイナス評価』です。つまりこの数値が高いほど悪影響(1ヶ月後の株価は悪くなる)という相関係数になります。

1位(マイナス評価)"初値/公募価格%"

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