ベルマーレに戦術論は必要なのか

年が明けて新チームが始動した。
新チーム始動から1週間で海外キャンプに行った。
ベルマーレは1月末までキャンプを行い、2月からは国内に戻って2月16日のルヴァンカップ、21日のJ1リーグのそれぞれの開幕戦に向けて調整を行うことになる。

キャンプ地がスペインということもあって、サポーターの楽しみといえばクラブの広報さんが挙げる練習中、または練習以外の写真や動画、選手がSNSで挙げるチームメイトとの仲睦まじげな写真や動画を見て盛り上がる、というくらいか。
(基本的に馬入グランドのフリーダムな雰囲気が日常のベルサポさんたちなので、まあ仕方ない部分もあるけれど)

新加入の〇〇選手はこんなキャラクターなんだ〜、とか、〇〇選手と〇〇選手は実はとっても仲良しなのか〜、などなど色々な発見はあるけど、開幕前に挙がる話題といえばだいたい、

今年のチームはどんな布陣を敷いて、どのような戦術を持ち込むんだ⁉︎


という"議題"がサポーター個人でも、仲間内でも話のタネとなって、白熱した議論を呼び込む。
特に今年のベルマーレは、それまで長期政権だった曺貴裁前監督が昨シーズン途中に辞任、U-18チームの監督だった浮島敏さんがトップチームの監督に就任して、J1参入プレーオフで勝ち残り(引き分けだったけどレギュレーション上はベルマーレの勝利)を決めて、今季もJ1リーグを闘うことになった。

リーグ戦残り6試合での監督就任というタイミングだったので、チームとしては浮島敏新監督就任は誰の目にもわかりやすくスクランブルだった。
浮島さんが監督に就任した際は曺さんのパワハラ指導報道の流れを受けて曺さんは指導を自粛、高橋健二ヘッドコーチが暫定的に指揮を執るも、健二さんが指揮を執ってから約2ヶ月勝利から見放され、Jリーグからの裁定が下る前後の試合でははホームゲーム2試合連続で0-6、0-5という、散々な状態に陥っていた。

0-5で敗れた川崎フロンターレ戦の後に曺さんが辞任、浮島さんが新監督に就任したベルマーレ。
浮島敏新監督の初陣となった横浜F・マリノス戦では曺さんベルマーレの代名詞でもあった3-4-3システムではなく、ソリッドな守備陣形を敷ける4-4-2システムを採用し、ベルマーレ界隈を大きく驚かせた。
前半は不慣れな感じをのぞかせたベルマーレイレブンだったけど、確実に機能的に動く選手たちのプレーには大きな可能性を感じさせた。
後半に入ると地力に大きく勝るマリノスにコテンパンにやられてしまったけど。汗

マリノス戦から2週間空いたガンバ戦では、再び3-4-3システムに戻した浮島ベルマーレ。
やり方を戻したどうこういうよりも、この試合は失点したタイミングが最悪で(1失点目は開始数分でのコーナーキックからの失点、2失点目は前半終了直前での失点)、チームの流れを造る以前の大問題がピッチ上で起きていたので、「戦術ガー、采配ガー、」というお話ではなかった。

そして、残り4試合となったセレッソ大阪戦からGKを秋元陽太から富居大樹にスイッチ、ボランチに怪我が完全に癒えたわけではない齊藤未月を復活させ、山田直輝と松田天馬シャドーの軸に据え、山﨑凌吾の出場時間を減らしつつ限定的なボールであれば確実にポストプレーで収めてくれる指宿洋史をワントップの位置で起用する。
試合は0-1で負けたが、J1残留に向けての可能性はこの時点でむしろ広がっていて、その後の明暗を分けた選択だったと振り返ることが出来る。

結局、リーグ戦残り3試合は1勝2分け、J1参入プレーオフを含めると4試合で1勝3分けだったが、

FC東京 1-1
広島 1-0
松本山雅 1-1
徳島   1-1

上記の通り、残り4試合のベルマーレは、1点しか取られなくなったけど、1点しか取れないチームでもあった。
徳島戦以外の引き分けは試合終了直前に追いつかれての引き分け。
年間を通して失点が多かったチーム状態ではあったので、追いつかれることが多くても仕方ないと言えばそれまでなのだが、付け焼き刃の状態でチームを残留させた浮島さんの手腕はきちんと評価されるべきであろう。

とまあ、ここまでざっとここ数ヶ月のベルマーレについての振り返りを行なってみた。
振り返りの時に出てきたのはシステムのお話か、選手についてのお話だった。

戦術、とは言っても多種多様な見方と物の捉え方があるので、どれが戦術で何が戦略なのかは、辞書を片手に開きながら見ていかないと見えないものもあるとは思うのだが…

例えば、システム=戦術、の話をするならば、4-4-2とか3-4-3とか4-3-3を採用するか、というところから始まる。
単に自分たちのやり方を推し進めるだけなら何を採用するかは個人の自由だ。しかし、サッカーは相手が居てこそ成り立つスポーツ。いくら自分たちのやりたいシステムがあっても相手に嵌め殺しをされたら、それは絵に描いた餅になり、机上の空論になる。

個人=戦術、となったらどうだろう。
いくらチームでやるスポーツといっても、かけがえのない個人が集まらなければそもそもチームは成り立たないし、それを自分の好きな選手たちで固めたって、なんら悪いことではない。
ただし、ある日のランチで天丼とカツ丼、あるいは、豚骨ラーメンと醤油ラーメンを一緒に食べて目も頭も胃にも重くのしかかるように、偏り過ぎは個人にもチームにも良くない。
丼の定食に味噌汁とお新香、ラーメンのセットにチャーハンや餃子をつけるのと一緒で、全体のバランスと彩りはランチにしても選手起用にしても大事な共通項だ。

今の話を踏まえると、システム+選手=戦術、という考え方は1番しっくりくるだろうが、監督がチームに闘い方を落とし込む=戦術、というのはどうだろう。
ベルマーレで言えばチョウさん、浮島さんを通して、前線からの激しい強度のプレスをかまして相手守備陣を慌てさせたりポジションを問わず献身的な姿勢を示すことを主としてきた。
2人の違いで言うとチョウさんは選手の良さを最大限に引き出すやり方をしていて、浮島さんは全体で上手く闘えるやり方を個人個人に落とし込める、と分類できる。
(あくまで個人的私感だが)

このように、戦術という言葉をほんの少し掘り下げてみるだけで、様々な解釈が浮かび上がってくるのだ。
ピッチレベルでは相手チームに勝つための思想・概念を植え付けるものになるし、スタンドレベルでは試合、またはサッカーそのものを楽しむ重要なツールにもなる。

戦術=戦う術


読んで字の如くなんだけど、ベルマーレからしたらチームスローガンに"たのしめてるか"をベースに、どんな荒波にのまれそうになっても縦の美学精神を心に携えて前進すればとりあえずALIVEし続けられるサッカーチームなので、ベルマーレスピリットを試合の中で体現して、試合中の体現者の11人がそれぞれの個性を発揮しながら勝ったり負けたり引き分けたり、試合結果に一喜一憂しながらサポーターが戦術トークを酒の肴にして一杯ひっかける、という日常が繰り返されれば、例え上手くいかないことが多くても、今日生きててよかった、また明日も頑張ろう、という気持ちになれるのではないかな、と強引にまとめてみる。

そういうわけで、この瞬間からバシバシあーでもないこーでもない、という素敵な議論を交わしながら、今シーズンを戦い抜く術を皆さんで見つけていきましょう!!!




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