学んだことの効果を出すには.2

前回、理論を理解しアウトプットして「使う」ことで、知識が自分の能力になるという内容について記しました。

広告デザイン専門学校、今年度のロジカルシンキングでは、学生さんにとにかく議論をして考えて頂く内容にしましたが、講義回数が進むに従い、個人差はあるものの、皆さんしっかり考えてくれるようになぅたという実感があります。

考えることは、いわば‘筋トレ’と同じです。続けていれば実力がつきますし、サボれば衰えます。しかし闇雲に考えたからといって、力がつくわけではありません。スポーツであれば、競技内容や自分の体の特徴に合わせて、意識して効果的に体を動かす必要があります。

最近では多くの人がYoutubeの配信をしていますが、スポーツでも料理などでも、一流の人はちゃんと論理的に説明しています。またそうした人たちは、多くの知識を有していることが多いです。実は多くの知識を蓄え、活用するためには、それなりにコツや工夫が必要です。

・知識を体系化する
以前記したように思いますが、大学院の頃、横文字の言葉を使って、師からよく叱られました。その中で最も記憶に残っているのが「システム」です。
システムは日本語では、「体制、体系、系統、組織網」と約されます。必要なものが適切に分類、整理され、論理的な法則に従って関係性が、整理され、組織として機能する状態を指します。

実は、知識を有効に活用し、自分の能力にするためには、知識の体系化、つまり自分の知識の「情報システム」を構築する必要があります。

・知識の体系化
僕は元々記憶力は良い方だと思いますが、大学院以降、それまでより記憶するのが楽になりました。もちろん、大学生の頃までとは意欲が違うというのもありますが、1番の理由は、「単語を覚える」ということをしなくなったことが大きいです。

大学院では一方的な講義はほとんどなく、大学までの基礎知識を用いて、課題について考えるものばかりです。
歴史的過程から何が起こったのかを確認、その背景を理解し、今後どうするべきかを論理的に考える。こうした講義ばかりですから、いくら言葉だけ知っていても意味がありません。「知っている」だけで「考える」ことができなければ相手にもされないのです。

大学で遊んてばかりいた僕は、当初大学院の教科書が、難しくてついていけませんでした。そのため、まずは「歴史」「背景」「出来事」を理解するところから始めました。これがある程度出来上がってくると、今度は「理論」の理解に努めました。
井の中の蛙が大海で打ちのめされた状態でしたから、、、まあ、必死に勉強しましたが、理論の理解の段階になってきた頃、内容や言葉など、頑張らなくてもいつの間にか覚えていた、ということが起き始めました。

この現象は、皆さんでも覚えがあるのではないでしようか。

映画やドラマを観たあと、その内容を人と話すとき、ストーリーや出来事がスラスラと出てきます。その中の情報も、すぐに名前が出てこなくても、シーンと関連付けてすぐに思い出せたり。
つまりストーリーや関連性、論理によって体系化されることで、論理的に理解し、容易に覚えられるのです。

・知識のマッピング
それでは知識を体系化するためには、どんな方法があるのでしょうか。

代表的な方法として、情報のマッピングがあります。

例えばマインドマップやロジックツリーのように、コアとなる中核の情報から枝分かれさせ、細分化するようにして、情報を図にまとめて(マッピング)いきます。
僕は情報整理をするとき、よくKJ方を使用しますが、勉強の場合は情報を網羅するわけにはいきません。しかし講義の内容や本を読み勧めていくときなど、基本的には本の目次のように、大項目から中項目、小項目といった形で進んでいきます。ですから、この項目を基に情報を書き進めていけばよいでしょう。

講義であれば、1回の内容を1枚の紙や、見開きページに記します。このときなるべく単語だけ、それが無理ならなるべく簡潔な短文で記すようにします。
記すときは、最も大きな項目(用語や単語、タイトルなど)を上部中央に記し、余裕を持たせて下に広げていくのがよいかと思います。
慣れていれば、マインドマップのように、中央から書き進めることもできますが、上から下へ書き進めれば、自然に上から大項目、下へいくほど中項目、小項目になっていきます。
最後に、それぞれのグループや項目、用語の関係性を、結びつけることで、情報が体系化されます。

・情報のストーリー化
体系化された情報を、今度は再度ノートに、要約としてまとめてみましょう。

勉強することに慣れていない人は、例えば黒板に書かれたことや、講義の内容などを全て書き写そうとします。しかし勉強に慣れた人は、ノートをとる段階で、適切に要約し、要点をまとめますから、これと同じです。
ただし、情報の体系図もあるわけですから、ストーリーと合わせて、理解も記憶もとても楽になります。

こうした作業を続けていると、体系図同士が結びつき、またストーリーも、いくつもの流れが交差していきます。
このようにして、最初は小さな知識の蜘蛛の巣が、次第に広大なネットワークになっていきます。小川のようなストーリーが大河に成長していきます。

ここまで来ると、新しく聞いた言葉や出来事が、自然に頭の中のネットワークと結びつき、前後の文章を確認するだけで、何を意味するのか、簡単に理解できます。記憶するときも、既に知識の収納場所ができていますから、勝手に納まっていきます。

自分で構築した、情報のネットワークこそが、本当に役に立つ知識になるのです。


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