ロジカルシンキング なぜフラッシュアイデアになってしまうのか

アイデアを発想することは簡単なことではありません。
特に今、社会の価値が大きく変化し、正しくパラダイムシフトが目の前で起きている中で、これからの社会が求める「在るべき姿」に合わせた視点や考え方をみつけるのは、容易なことではありません。

実際に多くの経営者の方から、ビジネス環境の変化に対応するためのアイデアをもとめられますが、全てに万能な方法などありませんから、それぞれの問題をしっかり聞いて、必要なことを考える必要があります。

こうしたなかで、最近、「アイデアとは何か」という点について、とても考えさせられる出来事がありました。

そのため今回は、あらためて「アイデア」について考えたいと主余す。

・フラッシュアイデアという問題
フラッシュアイデアとは、簡単に言うと「その場の思いつき」ということになるでしょうか。
世の中で「アイデア」といったとき、このフラッシュアイデアが、あまりにも多いように感じられます。

フラッシュアイデアという言葉から連想したとき、例えば「ヒラメキ」という言葉が想起されます。しかし「ヒラメキ」と「思いつき」の間には、大きな隔たりがあると考えます。

「思いつき」とは、文字通り瞬間的に思ったことであって、思考を積み重ねたものではありません。言い換えれば、その発想にはなんの背景もありません。一方「ヒラメキ」は、これは僕の考えですが、常に何らかの問題意識を持っていたり、何らかの問題に対して継続的な思考を重ねてきた人の「発想の転換」だと考えます。
つまり革新的な考え方や、イノベーション(変革)を導くための思考は、それぞれの問題を常に考えてきた人にしか生み出せないものなのではないでしょうか。

言い換えれば、それぞれの「目的」を明確にし、その目的を達成したいという意識、これは近年のパーパスという言葉と同義かと思いますが、このような意識から生み出されるものが、本当の意味で「アイデア」として実現するのだと思います。

だからフラッシュアイデアは、ほとんどの場合、実現に遠く、巻き込まれると徒労におわります。

・そのアイデアで何が起きるのか
良いアイデアとは目的を実現するという結果を伴います。言い換えれば、良いアイデアとは、結果をもたらす「行為」とうことになります。

ここでその例として、デザイン思考について考えます。

デザイン思考とは、簡単に言うとデザイナーがデザインを行うときの考え方です。デザイナーのマインドセットや思考の癖と言い換えれば解りやすいでしょうか。
デザイン思考は、その考え方が注目され始めた1960年代以降、デザイン理論として長らく研究されてきました。
現在のデザイン思考の代表的なプロセスとフレームワークを構築したのは、IDEOの創設者であるとされており、例えばスタンフォード大学Dスクールでも、この考え方が活用されています。

デザイン思考は、以下のプロセスで問題にアプローチする考え方です。

(観察)→共感→問題定義→アイデア発想→プロトタイプ→検証

僕自身、いくつかのデザイン思考セミナーの運営側として関わってきました。
それぞれのプロセスについて、例えば共感のふぇーでは、「共感マップ」というフォーマットが使用されますが、それ以外については様々な思考法のフォーマットが使用されます。

実はこの中で、結構難しいのが、「アイデア発想」です。

例えば、今僕は所属するデザイン団体が主催するデザイン思考セミナーの内容を策定しています。
短時間の場合、まずは簡易版の共感マップで共感のキーワードを抽出、抽象的思考で問題定義を行います。この後、希望的列挙法によってアイデアを拡散しようとするのてすが、このとき、よく共感のキーワードに戻ってしまいます。これは、結局のところ、それまでの過程からフラッシュアイデアを導き出してしまうためです。

本当に役立つアイデアを導き出すためには、「何が起こるのか」とか「何をもたらすのか」ということを考えなけれななりません。
つまりそのアイデアで「何が起きるか」ということを考えることで、本当の意味の「アイデア」を発想することができます。

・アイデアは行為
これも僕の経験なのですが、企業経営のお手伝いをしていると、‘儲かるアイデア’を求められることがあります。しかし残念ながら、こうした方は、いわゆる‘一発屋’的な成功はあっても、本質的に儲けることはできないと考えています。
それはなぜなら、自分が儲かる方法を考えているだけで、「誰が」「何に」お金を払ってくれるかを考えていないからです。
また同様に、デザイン団体が行政の依頼で受け持つデザイン相談でも、「このアイデアが儲かりそう」とか「こういうものを作ったら儲かると思うから作りたい」という相談が多いのですが、、、ほとんどの場合、アマゾンで探せば、同じアイデアでもっと優れたものがいくらでもあります。

それではどんな考えが新しいアイデアになるのでしょうか。

僕はアイデアを考えるとき、SVの「第1文型」で考えることにしています。「誰が何をするのか」とか「何をどうするのか」とか、こうしたアイデアが目的を達成するための「方法」になります。

アイデアを発想するときは、まず「何をするのか」という「方法」から考えてはいかがでしょうか。

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