![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83031953/rectangle_large_type_2_3acd8f663525a4541f1ea1249c4ffdf6.png?width=800)
夏休みの自由研究に!「おうちでできる」科学実験
いきなりですが、みなさん、「手品」は好きですか? とつぜん色が変わったり、なかったはずのものが出てきたりする科学実験は、手品に似ています。手品には「しかけ」があるのですが、科学実験で起こる変化にも「科学的な理由」があります。
『おうちで楽しむ科学実験図鑑』という本では、みなさんがおうちでできて、おもしろい実験を集め、その方法と「どうしてそうなったのかという科学的な理由」を説明しています。ここでは、その本から2つの実験を紹介します。ぜひ、読むだけではなく、実際にやってみてくださいね。
実験1:小さな竜巻! ペットボトルトルネード
大きな積乱雲から下へ、ろうと(漏斗)形にのびた空気の激しいうずが、「竜巻」です。上空に冷たい空気が入ってきて、地上と上空の気温差が大きくなったときに多く発生します。アメリカでは毎年1000個ほどの竜巻が発生し、大きな被害が出ています。日本だと、そこまでではないのですが、とくに9月に多く発生し、注意が呼びかけられます。
竜巻は英語でトルネード(tornado)。ペットボトルでつくる竜巻は、本物の竜巻とでき方がちがいますが、うずの様子はそっくりです。
用意するもの
・ペットボトル 2本(容量500mL、ふた以外は炭酸用のものがおすすめ)
・紙やすり
・千枚通し(またはキリ)
・ぞうきん
・はさみ
・プラスドライバー(太いもの)
・ 洗面器など(または水がこぼれてもよい場所)
![](https://assets.st-note.com/img/1658223338404-2iGyDxR5m5.png?width=1200)
手順
(1)ペットボトルのふた1個の上面を、表面の字が見えなくなるまで、紙やすりでけずる(もう1個のふたは使わない)。
![](https://assets.st-note.com/img/1658223401721-kes5CgsdS2.png?width=1200)
(2)折ったぞうきんに(1)を置き、千枚通しでまん中に穴をあける。
![](https://assets.st-note.com/img/1658223462156-jbR31mroIs.png?width=1200)
(3)プラスドライバーで、穴を直径8㎜程度にひろげる(はさみでまんべんなくひろげてもよい)。
![](https://assets.st-note.com/img/1658281435504-yHZQjou1P8.png?width=1200)
(4)片方のペットボトルに水400mL程度を入れ、3 のふたをする。
![](https://assets.st-note.com/img/1658281634495-W8hiYfUEFd.png?width=1200)
(5)洗面器などにもう片方のペットボトルを置き、(4) をひっくり返してのせる。
![](https://assets.st-note.com/img/1658281670681-NLgXRs6WSe.png?width=1200)
(6)接続部を手で押さえながら、上のペットボトルをぐるぐるとまわす。うずができたら、手をとめる。
![](https://assets.st-note.com/img/1658281695067-xJWXGWa3R9.png?width=1200)
解説・ペットボトルの中で起きたこと
水の入ったペットボトルを、ひっくり返してのせただけでは、水は少ししか下に落ちませんでした。回転させると水が竜巻のようになり、一気に下に流れ出します。
単にひっくり返してのせただけでは、上にある水と下にある空気の入れ替えが起こらず、水はほとんど移動しません。
回転させるとまん中に空気の通り道ができます。すると、空気が上に移動できるようになり、水が下に落ちていくのです。
竜巻では、うずの中の上昇気流により、家や車などがもちあげられることもあります。ペットボトルの中では、竜巻と同じように、空気が下から上にあがっていきます。うずの形は、竜巻そっくりです。
日本で、竜巻より大きい被害を毎年出すのは、台風です。台風は、暖かい海から大量の水蒸気が上昇することで雲ができ、その雲がうずを巻きながらどんどん大きくなっていったものです。風速が秒速17.2m以上になると台風で、それ以下だと熱帯低気圧と呼ばれます。
竜巻も台風も、「地上の湿った暖かい空気」と「上空の冷たい空気」によって発生するという点では同じです。でも、大きさにはちがいがあります。竜巻は直径が数十m~数百mですが、台風は500㎞以上になるのです。
コラム:竜巻の速さはどうあらわす?
竜巻の風速は、F0からF5まで6段階の「藤田スケール(Fスケール)」であらわされます。F0は秒速17~32mで小枝が折れるくらい、F3は秒速70~93mで家が倒壊し、自動車がもちあがるくらい。最大のF5は秒速117~142mで、家はあとかたもなく吹き飛ばされ、列車などがもちあげられて飛ばされるそうです。日本ではF3までしか観測されていませんが、アメリカではこれまでに複数回、F5の竜巻が起こって、大きな被害が出ています。
実験2:レジンを使って好みの小物をつくろう
![](https://assets.st-note.com/img/1658281788608-bLBhhHx1jm.png?width=1200)
100円ショップなどでも見かける「UVレジン液」。UVは、紫外線(Ultra Violet)のこと、レジン(resin)は樹脂のことです。べっ甲や琥珀なども樹脂ですが、現在、レジンといえば、人工的につくられた合成樹脂のことをさします。
UVレジン液は紫外線をあてると、数秒~数分で固まります。さまざまな色のUVレジン液や、固めるための型が売られているので、自分が好きな色、好きな形のアクセサリーなどをつくることができます。小さなドライフラワーやラメといった、好きなものを入れることができるのも、レジン細工の楽しさです。オリジナルの作品をつくってみましょう。
用意するもの
・UVレジン液(手芸用)
・作業用手ぶくろ(使い捨てのもの)
・シリコンマット
・モールド(レジン用の型)
・UV-LEDライト
![](https://assets.st-note.com/img/1658292042035-OmqNoJtcf7.png?width=1200)
※UV-LEDライトの光は直接目に入ると危険です。注意して照らしてください。
手順
(1)作業用手ぶくろをはめ、シリコンマットをしく。
![](https://assets.st-note.com/img/1658292087800-iaG8RbQbyj.png?width=1200)
(2)モールドを置き、UVレジン液を入れる。
![](https://assets.st-note.com/img/1658304923737-bfUujUCXgG.png?width=1200)
(3)UV-LEDライトをあてる(照射時間は、UVレジン液の説明書きを参考にする)。
![](https://assets.st-note.com/img/1658304947120-vn641qA1Pe.png?width=1200)
(4)しばらく置き、冷めたらモールドから取り出す。
![](https://assets.st-note.com/img/1658304973125-WRONZsFKom.png?width=1200)
解説・UVレジンの正体
液体だったUVレジンが、UVライトをあてると固体に変わりました。これは、液体のときは小さな「分子」(物質を構成する小さなつぶのようなもの)だったレジンに光があたることで、分子どうしが次々にくっついていき、大きな分子になって固まったからです。このように、光のエネルギーによって液体を固体に変化させることを「光硬化(ひかりこうか)」と呼びます。そして、光硬化をする樹脂のことを光硬化樹脂といいます。
光硬化樹脂は、さまざまなところで使われています。歯医者さんで、虫歯をけずったあと、何かを詰められ、光をあてられたことはないでしょうか? 光をあてるまで固まらず、光をあてると短時間で固まる光硬化樹脂は、とても便利なのです。つめをラメやライトストーンなどで美しく飾る「ジェルネイル」も、光硬化樹脂を使用したものの1つです。
光硬化樹脂の種類によって、固まるのに必要な光の波長はちがいます。「光をあてても固まらない」という場合は、使った樹脂がどの波長で固まるのかを確認しましょう。そして、自分のもっているライトで固まらなかった場合、太陽光にあてるという方法もあります。太陽光には、さまざまな波長の光がふくまれているためです。固まるまで少し時間がかかることもあるので、ほかの人がさわらないところに置いておきましょう。
コラム:UVレジンのいろいろ
UVレジンは、接着剤として、電子部品・光学部品などの精密部品、半導体など、いろいろなものに使用されています。3Dプリンターの中にはUVレジンを「インク」として使っているものもあり、試作品やオーダーメイドのパーツなど、さまざまなものがつくられています。UVレジンは、私たちの暮らしに欠かせないものだったのですね。
ここ最近、学校や社会では「自分で考える力」が求められるようになってきています。この力は、「教科書に載っていないような、正解のない問題」に取り組むことで、初めて身につきます。
「自分の手を動かし、目の前で起こる現象を見ることで、疑問をもち、自分の頭で考えるようになる」。そのような体験は、各人のペースで、じっくりと取り組める家庭でこそ可能だと思います。
『おうちで楽しむ科学実験図鑑』では、ここで紹介した2つの実験のほかにも、身近なものでできて、大人の方にとっても楽しい科学実験を集めました。本のほうは、すべてルビ付きで解説していますので、小さなお子さんでも読むことができます。ぜひ、実際にお子さんと体験を分かちあっていただければ幸いです。
書籍のおもな内容
第1章 写真映えする実験
◎虹みたい? カラフルなチョコレートでアート
──糖衣チョコレートを使った拡散の実験
◎目には見えない? ミルククラウン
──スマートフォンのカメラで一瞬を撮影しよう
◎キラキラのビー玉はどうやってつくる?
──温度差を利用するとガラスは簡単に割れる
◎レジンを使って好みの小物をつくろう
──光エネルギーによる「光硬化」の実験
◎暗闇であやしく光るジュース
──ブラックライトで光る物質とは?
◎まるで宝石!? ロックキャンディ
──キラキラ光る、砂糖の結晶
◎尿素の結晶でモコモコツリー
──条件を変えることでも楽しめる実験
◎なかなか見られない? 虹を自分でつくろう
──虹はどうして見えるのか
第2章 動きから目が離せない
◎ラバライトみたい? 不思議な動きをする液体
──泡があがって落ちてくる理由
◎小さな竜巻のよう! ペットボトルトルネード
──ペットボトルでできる「うず」
◎大噴出にびっくり!? メントスガイザー
──炭酸飲料にメントスを入れる実験
◎夏でなくても見える水の中の陽炎
──水と砂糖水の屈折率の違い
◎目に見える? 空気のすごい力
──空気砲で空気の動きを見てみよう
◎勝手に動き始める? キャンドルシーソー
──火をつけただけでロウソクが動き出す理由
第3章 変化がおもしろい
◎何もしていないのに、わたり歩く色水
──キッチンペーパーでの「毛細管現象」
◎赤っぽいとは限らない! 炎の色を変える実験
──花火以外にも役立つ炎色反応
◎160年前の人も驚いた? 飛び移る炎
──ファラデーのロウソクの実験を試してみよう
◎あの大きなクレーターはどうやってできる?
──月のクレーターができる様子を再現
◎カラはどこに行った? 卵が吸いこむもの
──卵のカラだけ溶かして卵殻膜を観察しよう
◎そこにあるはずなのに見えないビーズ
──光が曲がる性質を利用して、ビー玉を浮かせる
◎白黒のコマなのに回転させると色がつく?
──ないはずの色が見える「ベンハムのコマ」
◎どうして色がついた? カラフルハクサイ
──植物の根から道管を通して水が運ばれる仕組み
◎あっという間に色変わり! 茶色から青紫に、無色に
──ヨウ素とデンプン、ビタミンCの反応
第4章 料理は科学
◎1分で凍る! なめらかアイス
──氷と食塩、Tシャツで「アイスマシン」
◎口の中がひんやり! ラムネをつくろう
──ラムネを食べるとひんやりする理由
◎自分の好きな色と形で! 食べられる宝石
──寒天にふくまれる「多糖類」って?
◎紫いもの成分で色変わりホットケーキ
──色が変わるアントシアニンの性質
◎かたーいお肉、どうすればやわらかくなる?
──マイタケにふくまれるプロテアーゼの威力
◎おもしろ食感! エアインチョコをつくろう
──気泡入りチョコレートをつくる方法
◎かたいプリン、やわらかいプリンのちがい
──砂糖とタンパク質の関係
◎はじけるポップコーン、その秘密を探る
──スイートコーンとは何が違うのか?
◎インドのチーズ、パニールをつくろう
──食材は牛乳とレモン汁だけ
◎混ざらない油と水、仲良くさせるのはだれ?
──分離しないマヨネーズの秘密