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ちっぽけなプライド、踏み出す勇気、夢の再生

いつだって「やらない言い訳」をしてきたのかもしれない。
そこまでの情熱がないから。努力ができないから。才能がないから。本当に?
失敗して恥をかくのが怖い。頑張ったけど出来なかった、と自分で証明してしまうのが怖い。きっとわたしは今までそうやって、無限に広がっていたはずの可能性を潰してきたんだ。

一番初めに夢を諦めたのはいつだったろうか。
幼い頃から絵を描いたり文章を書いたり、自分の世界を表現することが好きだった。漫画家、イラストレーター、絵本作家、小説家……、となりたい職業はころころ変わったけれど、「クリエイターになりたい」という思いはずっと根底にあった。
けれど好きなことを仕事にしたい、と何の迷いもなく夢見ていられたのは、10代後半くらいまでだった。周りと比べて「才能ないから、諦める」と言って美大への進学を選択肢から外した。どこかの賞に応募したことすらないのに、「やっぱり小説家は無理だと思う。編集者にでもなろうかな」と書き続けることを放棄した。
大学3年生のとき、マスコミ塾に入って出版社や配給会社向けの就活対策をしたり、インターンシップに行ったりしたけれど、「趣味を仕事にしたら、好きなものを嫌いになってしまいそうで怖い。普通の仕事をして稼いだお金で、存分に趣味を楽しむほうが幸せなのかも」と言って、結局就活本番ではマスコミのマの字もないメーカーや商社を受けていた。

そんなわたしに最初の転機が訪れたのは、新卒で入社した企業に勤めて3年目の冬を迎えたときだった。仕事はやりがいがあったし楽しかったけれど、激務と精神的プレッシャーに押し潰されそうになっていた。早出をしても終電まで残業しても、次から次へと降ってくるタスク。個人の些細なミスで莫大な損害が発生するから、少しも気が抜けない。鳴り止まない電話、次々と起きるトラブル、溜まっていく未読メール。限界だった。
ある朝目が覚めて、「あ、無理だ」と思った。涙と動悸が止まらず、会社を休んで心療内科に行った。適応障害と診断されて、医師に2ヶ月の休職を言い渡された。
もうあの会社には戻りたくない、戻れない、と思った。今までも時折脳をかすめていた「転職」の2文字が現実となり、くっきりと浮かび上がってくる。
どうせなら、キャリアアップを目指したい。今までの経験も活かしつつ、新卒の就活で落ちてしまった業界に再チャレンジしたい。
無理かもしれないと思いながらも、転職エージェントとの面談で希望を伝えたら、「このタイミングで来てくださってよかった。業種を変えたいなら社会人3年目というのは丁度いいし、今は売り手市場だから求人もたくさんある。頑張りましょう」と言ってもらえた。
約2ヶ月に渡る転職活動を経て、結果的に妥協することなく希望の条件に合う企業から内定をもらえた。挑戦することから逃げなくてよかった、と心から思えた瞬間だった。

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