【グルメ】「新記 四谷三丁目」の皮蛋痩肉粥(四谷三丁目)
「皮蛋痩肉粥」。
中国粥のひとつで、皮蛋(ピータン)と、豚の塩漬け肉が入っているお粥のことだ。
私は、これを、日本語風に、「ぴーたん やせにく がゆ」と、勝手に呼んでいる。
しかし、これは、間違った読み方で、本場では、もちろん通用しない。北京語(普通語)では、「ピータンショウロウジョウ」、香港などでは広東語で「ペイタンサゥヨッチョッ」と発音される。
私は、このお粥を、愛している。
なぜか。
以前、仕事の関係で、1か月ほど香港に滞在したことがあった。宿泊施設での朝ご飯が、お粥だった。何種類かのお粥を試したが、このお粥の美味しさに、ノックアウトされたのだ。
ピータンの、ぷるんとしたゼラチン状の卵白と、しっかりした黄身。これに、強い塩味のついた、細切り豚肉のハーモニーは、絶妙だ。
一口で、虜になった。このコンビを最初に思いついた人に、心からの敬意と感謝の意を表したい。
そして、その後、米国に2年間滞在することになった。料理が苦手な私は、外食中心の生活を送っていたが、大味なアメリカンな食事が口に合わず、難儀していた。
そんななか、あるとき、中国人の経営する、小汚い場末の中華料理屋を発見した。期待せずに入ったが、そこの料理がめちゃウマいことに気づいた。以来、毎週、同店に入り浸るようになった。
その店で、何ヶ月もの間、私の胃袋とメンタルを支えてくれたのが、やはりこの「皮蛋痩肉粥」なのだ。
それ以来、国内外を問わず、中華料理店に入ると、メニューを見て、必ず、この「皮蛋痩肉粥」を、真っ先に目で探す。特に、香港を訪問したときは、毎日のように食べていた。
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コロナに始まり、コロナに終わる今年、ついに、海外に一度も渡航する機会がなかった。海外旅行を始めた24歳の時以来、一度も国外に渡航しなかった年は、今年が初めてだ。
そんなことを考えていると、ふと、この、「皮蛋痩肉粥」を、随分長い間、食べていないことに気づいた。すると、急に食べたくなり、いてもたってもいられなくなった。
早速、「皮蛋痩肉粥」「東京」というキーワードで、グーグル先生にお尋ねしてみた。すると、都内でも、4~5軒のお店しか、ヒットしなかった。他に出てくるのは、香港にあるお店の情報や、皮蛋痩肉粥のレシピだった。
都内のいずれのお店も、我が家からは、少々遠い。それに、中華は、1人で行くよりも、複数人で行っていろんな料理を試すほうが、楽しめる。その機会を虎視眈々と狙っていた。
そんなとき、飛んで火にいる夏の虫。地方から出張者がやってきて、ご飯に誘われたのだ。その人は、四谷のビジネスホテルに泊まっているという。そこで、ピンときた。
確か、四谷には、「皮蛋痩肉粥」を出す店があったはず!
そこで私は、いそいそと幹事役を買って出て、グーグル先生がはじきだした中華料理店のひとつを予約したのである。
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前置きが大変長くなったが、そういういきさつで訪れたのが、こちら「新記 四谷三丁目」さんである。
四谷三丁目の地下鉄駅から地上に上がってすぐの場所。「なか卯」「鳥貴族」などが入っている、少々けばけばしい(失礼!)ビルの2階にある。店員さんは、おそらく中国の方々。日本語に強い中国語なまりがある。
店内は、簡素なテーブルとイスが雑然と並んでいて、いかにも本場の中華食堂といった感じ。これは期待できそうだ。
メニューをもらい、真っ先に、愛しい人を探す。
あ♡
あった! しかも、「おすすめメニュー」に挙げられている!!
こちらの写真のメニューの、左下だ。
あまりに嬉しいので、拡大してみる。
税込み850円か。ううむ、本場香港の屋台の値段と比べると、なんと強気の価格設定であることか。しかし、ここは東京。いたしかたない。
今日は出張者と語らうのが主目的なので、ビールのあてを注文し、お喋りを楽しむ。ピータン好きの私は、前菜にもピータン豆腐をオーダー。
お味は、本場中国の味、という感じ。なかなか美味だ。ああ、幸せ。
他のメニューも、いけますよ。
どんどん食が進む。
話が盛り上がっている頃、つかつかと、店員さんがやってきた。そして、無表情かつ冷淡に言い放った。「ラストオーダーです。」と。
えっ、まだ1時間半ほどしか経っていないんですけど。「うちは2時間制です」。確かに、そんな話は聞いていた。でも店内は全然混んでないじゃん。もうちょっとゆっくりさせてほしいなあ…。
しかし、店員さんは全く譲らない。ううむ、仕方ない。それでは、いよいよ、と、心待ちにしていた、愛するあの方をオーダーしよう。
若干緊張しつつ、
「皮蛋と豚肉のお粥、ください」
と、ついに言った。すると、店員さんは無愛想に頷き、無言で去って行った。
暫くの間、久しぶりに恋人に会うような気持ちでドキドキしていた。
10分も経たないうちに、それは、やってきた。
それが、こちら!
愛しの皮蛋痩肉粥さま!
写真ではわかりづらいが、ゴロゴロした、ピータンの切ったのが入っている。豚肉も、見慣れた大きさ、細さだ。口に含むと。
うん、これこれ!
この、塩気が効きつつも、優しい味。レタスや刻み葱もたっぷり入っており、美味しい。
「ああ、私、待ち焦がれておりましたのよ。お会いしとうございました!」
しばらくは出張者の存在も忘れ、愛しい人との感動の再会に、身をゆだねていた。まさに、エクスタシー。至福のひととき。
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東京で、この、皮蛋痩肉粥を堪能できて、本当に嬉しかった。中華粥のお好きな方には、是非トライしていただきたい。
しかし、言っておかねばならない。店員さんたちの、愛想は全く期待してはいけない。でも、その「塩対応」も、また、このお店での体験を、忘れられないものにしてくれるのだ。
たかがお粥のレポなのに、こんな長文になってしまった。
私の、くだらない「皮蛋痩肉粥」への愛の話に、ここまでつきあってくださり、ありがとうございました!
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