"Challenge" という英単語については、既にご存じの方が多いだろう。
日本語としてよく使われている、カタカナ英語「チャレンジ」は、「挑戦」「挑戦する」「チャレンジする」という意味で用いられることが多いが、ビジネス英語では、ちょっと意味合いが異なる使い方をされることがある。
さて、会議中に、同僚から、
"May I challenge you?"
と聞かれた場合、これはどういう意味だろうか。
答えは、
(あなたの意見に異議・議論があるので)「反論していいですか」
という意味だ。
オンライン辞書「英辞郎」で、"challenge" という単語を引いてみると、以下のとおり。名詞、他動詞、自動詞の用法があり、意味が多岐にわたる。
challenge 名 1.〔競技や決闘などの〕挑戦、申し込み、名乗り 2. 〔能力を試される〕課題、仕事◆難しいがやりがいがあるもの。 ・The biggest challenge we face is fund-raising. : 最大の課題は資金調達です。 ・This may be more of a challenge than I thought it would be. : これは思っていた以上に難しいかも。 ・The prime minister's main challenge will be breathing new life into the lackluster domestic economy. : 首相の最大の課題は、停滞した国内経済に新しい命を吹き込むことになるだろう。 3. 〔正当性など〕説明を求めること、疑問を投げ掛けること、異議を申し立てること (※4~7は省略) 他動 1. 〔人に〕挑む、挑戦する ・I challenge you to prove me wrong. : 私の言うことを否定できるならしてみろ。 2. 〔人を〕挑発する 3. 〔人に〕盾突く、食ってかかる、異議を申し立てる 4. 〔何かの行動に〕チャレンジする 5. 〔正当性を〕疑う ・Please challenge anything in my research paper. : 私の研究論文のいかなる点についてでも、どうぞ批判してください。 (※6~8は省略) 自動 挑戦する
こちらのうち、注目したいのは、以下の意味だ。
(名詞の用法)3. 〔正当性など〕説明を求めること、疑問を投げ掛けること、異議を申し立てること (他動詞の用法)3. 〔人に〕盾突く、食ってかかる、異議を申し立てる (他動詞の用法)5. 〔正当性を〕疑う ・Please challenge anything in my research paper. : 私の研究論文のいかなる点についてでも、どうぞ批判してください。
何かに「挑戦する」という意味ではなく、「疑問を呈する」「異議を申し立てる」「批判する」 という意味があることが分かっていただけるだろう。
私が普段、勤務先外資系企業で、この意味で "challenge" という用語を使うのは次のような文脈だ。
May I challenge you? / Let me challenge you. With all due respect, I disagree with you, because... (反論させていただいてもいいですか。/反論させてください。 恐れながら、あなたのご意見には賛成しかねます。なぜならば...)
If you have any doubt, please feel free to challenge me . (もし疑問があれば、どうぞお気軽に異議を述べてください 。)
つまり、「誰かの意見について反論する」「異議を述べる」 という文脈で使うのだ。
だから、会議の席で、あなたが意見を述べたときに、誰かから、"May I challenge you?" とか、"Let me challenge you." と言われた場合には、これから反対意見を述べられるのだな、という心の準備をしよう。
また、会議の席で、誰かの意見に対して反対意見があるときは、まずは、"May I challenge you?" とか、"Let me challenge you." と言って、これから反論するよ、ということを述べてみよう。そして、一呼吸おき、相手に心の準備をしてもらい、自分も落ち着いて反対意見を述べよう。
ご参考になれば幸いです!
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