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【英語】You might want to consider ...

今日は、外資系企業で空気を読むために、覚えておいて損のないフレーズ、"You might want to consider..."のご紹介。

まずは、このフレーズのうち、”you might want to”についての、オンライン辞書、アルク社の「英辞郎」先生の解説。

you might want to
~するといいでしょう、~した方がいいかもしれません、~してはいかがかと思います◆相手の自主性を尊重して提案や依頼をするときに用いられる表現。
・You might want to keep that in mind. : そのことを忘れないでください。
・You might want to set the limit. : 上限を設定した方がいいかもしれない。
・You might want to use the latest official version. : 最新の公式バージョンを使った方がいいでしょう。

このフレーズを分解すると、might(かもしれない)want to(~をしたいと思う)。だから、直訳すると、You might want to~というのは、「あなたは、~をしたいと思うかもしれない。」ということ。それが転じて、「あなたは~したほうがよい」ということになる。

そして、私は、職場で、You might want toが、considerとともに使われる場面によく遭遇する。「あなたは、~を考えた方がよいかもしれない。」「あなたは、〜を考えたほうがよい。」という意味である。一般的な日常会話では、文字通りの意味で使われることが多いのかもしれない。

しかし、私は、外資系企業では、少しニュアンスが違っていると感じる。裏の、暗黙のニュアンスである。

例えば、次のようなフレーズではどういう意味になるか。これは、私が、外資系企業に入社して間もない頃、外国人上司から言われたフレーズである。

"You might want to consider taking this training."

直訳すると、「あなた(=私、サザヱ)は研修を受けることを考えたいと思うかもしれない」である。私は、それを、「研修を受けてみてもいいんじゃないか」程度の、ボスからの、軽い提案だと受け止めた。

だから、私は、「そうですか、考えておきます」("I see.  I will consider.")というような返事をした。そして、研修を受けるかどうかは、実際、考えたが、忙しかったこともあり、結局、申し込み期限を過ぎてしまい、受けなかった。

しかし、それは、wrong answerであった。

後日、上司から、「例の研修はどうなった?」と聞かれた。「私は、ああ、あれですね。検討はしましたけど、結局受けませんでした」("I did consider it but I did not take it.")。みたいな答え方をした。

その瞬間、その上司は、明らかな驚きと不満の表情を示した。それで、「あ、対応を間違えたかな?」と悟った。

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それ以来、外国人社員が仕事でこのフレーズを使う場面に遭遇するたびに、そのニュアンスに注目してきた。そして、私は、少なくとも外資系企業においては、仕事の文脈で使われる限り、原則として、次のように考えておいたほうがよい、という結論に至った。

"You might want to consider taking this training."

= "You should take this training."
= "You must take this training."
="Take this training."

=「この研修を受講すべきだ。」
=「この研修を受講しなさい
=「(この組織で成功したいんだったら)この研修を受講をしておいたほうが身のためだぞ」

というように、限りなく、指示、命令に近いニュアンスで使われると考えておくほうが無難である。特に、職位の上の人、権限者から言われたときは要注意だ。

そして、私は、それを言われた人たちがどのような返答をするかにも、注目してきた。その結果、社内で出世している人、うまくやっている人ほど、間髪入れず、かつ、満面の笑顔で、次のような返答をしていることに気づいた。

"Oh, that is a great idea.  Thank you!  I will certainly do so."
(素晴らしいアイデアですね。ありがとうございます。もちろんです、そのようにいたします。)

はっきり言って、ゴマすりである。しかも、ものすごく分かりやすい、ゴマすりだ。社畜の悲しい性である。

私は、正直言って、ゴマすりやおべっかの類は苦手である。ポーカーフェイスも苦手。しかし、ここはひとつ、それを真似てやってみようと思い、実験してみることにした。上司や、高い役職の人から、このフレーズを言われる度に、「なるほど! いいですね! そうします!」と、笑顔で即答するのだ。

すると、何ということでしょう。こう答えておくと、相手は、私の返答に心から満足する様子を示すのだ。その表情は、さながら、時代劇で、殿様が子分に対して、「よしよし、苦しゅうないぞ。」「分かればよいのじゃ」と言うときのような、悦に入った感じである。これが、社畜として生き残るお作法だと分かってからは、この手のやり取りで失敗することが激減した。

そして、私よりもよほど英語の上手な外国人の部下に対しても、試しに、このフレーズを使ってみた。すると、やはり、同じような返答だ。もはや確信に至った。

ということで、今日のポイント。

外資系企業でのお作法としては、"You might want to consider~"と言われたら、「~をしろ」と指示されていると理解し、大きな違和感がない限り、間髪入れず、"Yes"、「やります」と即答するのが、right answerであると思っている。

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ところで、このフレーズについて、上記、英辞郎先生の解説の「相手の自主性を尊重して提案や依頼をするときに用いられる表現」という説明は言い得て妙だと思う。

本当は「やれ」と指示、命令をしたいところを、「やることを考えてみたほうがよいかもよ?」(You might want to consider...)と水を向け、それに対して、「私、やることにします」と言わせることにより、自主的に、自分の意志でそれを選択した、という形をつくるのではないかと思う。それにより、自分の選択に責任を負わせるのではないか。

そう考えたときに、以前、読んだコーチングの本からの学びについて思い出した。3か月前に下記の記事でご紹介したリーダーシップ系の本たち(↓)のうち、8番目に紹介している、『はじめのコーチング』(ジョン・ウィットモア)という本である。コーチングの世界では名著とされているらしい。

そこに書いてあったテーマは、「人が自ら選択し、選択したことに責任感を持たなければ、成果の向上は起こらない。」ということだった。もしかすると、この"You might want to consider..."というフレーズが多用されるのも、意識的、無意識的かは別にして、"You"に"consider"させて、選択させ、責任感を持たせ、成果を出させたい、という考え方から来ているのかもしれない。

ご参考になれば幸いです!

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