店先で閉店のお知らせ


ガラスの入れ物

氷を5つ

響きあう透明のかたまり

流動する命の水

3秒そそぐ

ゆれあう透明の液体


溶け出すかたまり

液体と混ざり合う

手を冷やす水滴が指から流れる

滴り落ちた一粒、一粒

また一粒と


揺らめく湯気をあげている

机に2つ

畳まれたおしぼり

包んでいた薄いビニール

机に2つ

今は小さく結ばれて


消えていく熱は空気と混ざり合う

冷え始めた対象

かまわずふき取った水滴は

止まらない一粒

また一粒と

ガラスは泣き続けている


時間が経っても変わらないもの

ここにはきっとない

どこにでもある冷え切ってしまった関係も

いつの日か思い出に変わる日を

滴り落ちた一粒、さよなら

背中を向けて一人涙をぬぐった