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実話怪談 忙しい時に「かんごふさーん」と呼びつける患者さんが黙っていた理由

病院の怖い話

看護師をしていた知人から聞いた話。
彼女を仮に
Aさんと呼ぶことにします。


今から30年くらい前。
Aさんはある病院で
病棟の副師長をしていました。

Aさんが勤務する病棟には、
仮名Nさんという、
とても依存的な患者さんがいました。

長期入院している患者さん。
それも身寄りがない中高年にとっては、
病棟が我が家であり、

病棟スタッフを
家族のように身近な存在に
感じてしまうのかもしれません。

Nさんは日常生活動作には
問題がないのですが、
自分でできることであっても、
度々看護師に助けを求めていました。

Nさんは1日に何度も
ナースセンターに来ては
窓口から看護師達を見ていました。

そして
大したことのない用事で

かんごふさーん
こっちに来てくださいよ

と、呼ぶので
看護師達からは迷惑がられていました。

消灯時間をとうにすぎた深夜にも

かんごふさーん

と、呼ばれることがあり、
スタッフ全員が困っていたそうです。

Aさんの勤務先の病棟は
30年前に築20年。
令和6年の今日からみると
50年前の建物でした。

当時の古い病院のナースセンターは
病棟のホール側に
窓口カウンターとドアがあり、
それ以外は壁で仕切られていました。

壁に窓がありましたが、
この窓は椅子の上に立っても
ホールからナースセンターを
覗けない高さにありました。

その夜、Aさんは夜勤でした。

深夜になりました。
病棟は暗く静まり返っていました。
電灯を落としたホールには
誰もいませんでした。

*画像はイメージです

Aさんはカルテに記録をしていました。
当時は紙のカルテだったのです。

その時、何か嫌な感じがして
Aさんは記録の手を止めました。

ふと顔を上げると
ナースセンターの窓に
Nさんの顔が見えました。

NさんはAさんと目が合っても
黙ってこちらを見ていました。

いやだわ。
こんな時間なのに。

あの人またこっちを見てる。
無視していましょうね。

そう言ったAさんに
他の看護師が言いました。

何を言ってるんですか?

Nさんは
昨日亡くなったんですよ。


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