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【番外編】和田靜香の選挙日記@立憲民主党代表選挙(11/20)/『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』特別企画

『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』著者の和田靜香さんが、香川1区を飛び越えて、ついに立憲民主党代表選挙に立候補した小川淳也さんの選挙活動を緊急取材!本書と合わせてぜひお楽しみください。

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11月20日(土曜日) 晴れ

 なんだか、ちょっと、びっくりした。

 土曜日の午後16時。前日に続いて小川さんは有楽町駅の目の前で青空対話集会を開いたけど、聴衆はたぶん200人ほど。多いけど、めちゃ多いわけでもない。でも、少なくもない。高松もこれぐらいだったかな?というぐらいな。

 でも、その熱気が!
 熱気が!

 はんぱなかった!

 何テキトーなこと言ってんだ? いやいや。一応これでも私、長年にわたって音楽と芸能のライターをしてきた。だから熱気が生まれる瞬間、それが渦をまく様、何かスイッチみたいなのが入ったかのように空気が変わる瞬間、分かります。それ、分からなければ、音楽と芸能のライターを続けることはできません。

 今日はそういう感じで、最初なんだかザワザワしていて、徐々に、しかし確実に、熱気をはらんできて、それが渦巻き、高まり、ワァアアア~~ッとなった。何でそれが起こったのか分からないけど、とにかく、そうなっていった。

 そうそう、何やらビールケースを台にするのは怒られちゃったとかで(ビールを愛するみなさんのお気持ちは重々伝わってるようです)、演説用お立ち台はコレに変更。

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 すでに15時半ぐらいから辺りには人が少しずつ集まり始め、なんと!小川さんが到着した16時少し前には拍手が沸き起こった。

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 人がズリッズリッと小川さんの周りに集まり、輪が出来て、移動するたび、その輪も移動する。ワアワア、キャアキャア、ウオオオ。えええっ? また、高松三越前の女子高生のキャアキャアの再来? いや、今度は老若男女問わず。普段は政治にはクールな東京ピープルが、興奮している。

 そのときたまたま私は小川さんのおつれあい、明子さんと話していたのだけど、明子さんが「ええっ?何?」と驚きの声を挙げたぐらい。とにかく、そんな風。

 そして演説が始まると、どんどん熱くなった。みんなの小川さんにそそぐ視線がまっすぐに、まっすぐに、とても熱い。その期待が、高まっていく。そうなるとそりゃ、話す方だって熱くなるにきまってる。その期待を受けて小川さんはさらに熱くなり、どんどん話す熱量が増していく。ぐんぐんと、上がった。

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 そして今日も、もちろん対話タイム。男性も女性も質問し、私が気になったのは4人目の若い女性(らしい。お姿も見えず、お声も聞こえず)。ジェンダーのことを尋ねたらしい。

 小川さん、正直なところ、ジェンダーの問題についてはなかなかまだブラッシュアップできていないというのが私の認識だ。厳しいけど、厳しいことを言うのが私なので、言います。
 それで、冒頭、「ジェンダーのことを話すのは男性にとって膝がガクガクするぐらい難しい」とことわった上で、「ジェンダー差別は人種差別と同じだよと言う人がいました」と話した。

 そして、東京新聞の望月衣塑子さんから記者会見でされた「ジェンダーの問題がなぜ大切か?」という質問がすごく「難しかった」と。「そういう質問が出る背景がなくなる、思い浮かばなくなる時代にしていきたい」と話したのだけど、小川さんには、今やっとそういう質問が出来る時代になったことをまず認識してもらえたら嬉しい。ほんの1~2年前まで、そんな質問さえ出来なかった。ジェンダーの問題が大事だという概念さえなかった時代が長く続いた。

 私たち女性が歩む道には、様々なトラップが仕掛けられている。男性ならまっすぐ難なく進める道、女性には穴ぼこが空いていて、その穴にハイヒールのかかとがズボッと入って抜けなくなったりした。せめてそのヒールを、ぺたんこ靴に変えようよ、と声を挙げたのが石川優実さんだった。しかし、その声を挙げたことで、石川さんは延々とバッシングを今も受け続けている。声を挙げる女性は叩かれる。そして、叩かれてあたりまえだ、あの女はヒステリーなんだと言われる。

 大きな壁も何度も立ち塞がり、それは進学や就職、再就職、家探し、結婚、子育て、介護、さまざまな場面で目の前に迫る。

 時には何か急に飛んで来てペタッと顔に貼りついたりもする。たまたま私は出掛けた先で、大学教授だという中高年の男性に紹介され、紹介してくれた女性が「和田さんはライターで、国会議員の小川淳也さんの‥‥‥」と言ったところで、その男性が「追っかけしてる?」といきなり言った。びっくりした。いや、べつに、追っかけそのものが悪いわけじゃない。いくらでもしていい。ただ、彼は私が女性だから、そう言ったんだよね? もし私が男性なら「ライターで、国会議員の小川淳也さんの」と言われた後に続く言葉は「ご一緒にお仕事されてる」とかだよね。私が女だから「追っかけしてる」という言葉が出てくる。こういうことだと思う。こういうことが、女性には多々起こる。それを私たちは苦笑いし、受け入れてこなきゃいけなかった。イヤな思いも飲み込み、それが「分別のある女性である」とされてきた。些細なことだけど、その些細な棘が体中あちこちに刺さって来た。

 もう、そういうことはイヤなんだ、私は。ああ、思い出す。高松の小川さんの街中選挙事務所で、女性が集まってワイワイとジェンダーについて話したことを。楽しかったなぁ。

 実は高松では小川さんと私も、ジェンダー論争をしていた。ほぼほぼ喧嘩腰というか。わはは。私がですがね。

 そのこと、12月に出す予定の「選挙日記」の本に書きました(勝手に予告)。小川さんは真剣に、我が事としてジェンダーの問題を真正面から考えに考えていた。それはそれは本当に。でも、考えても考えてもジェンダーの問題を男性が考えること、理解することは難しいだろう。だから小川さんも少しずつブラッシュアップしてほしいと心から願う。今はその過程だ。

 ジェンダーの問題。それを政治的に言えば非正規雇用の問題や、賃金格差などともからまりあい、とっても大きな問題だ。ジェンダー差別がなくなれば、非正規や賃金格差の問題も少しずつ緩和されていくはずだ。だから、基本的には社会そのものの問題であり、何よりまた人権の問題であると考えてほしいし、女性の命や生活そのものに大きく関わってくることだ。

 女性が生きるのに不利益、不都合になる障害があまりに多すぎる。それは実際にある壁でもあるし、人の心の中にある偏見も。その1つ1つを丁寧に解決していくことが大事なジェンダー問題。実はここに集まっていた大勢の人たちの中にも、あんまりよく分かっていない人があちこちにいらしたんじゃないか?と推測する。性別などは関係なく。

 なので、共に学びましょう! そして、共に進みましょう! 

 ジェンダーについて学ぶなら? 私が読んだ本を少しあげておきます。

 そういえば自らをフェミニストと呼ぶ小泉今日子さんは「三つ編み」(レティシア コロンバニ 髙崎 順子&齋藤可津子訳/早川書房)を勧めていた。私も読んでみよう。

 と、今日は大きく話がズレました。でも、大切なことです。

(和田靜香)

著者:和田靜香(わだ・しずか)
相撲・音楽ライター。千葉県生まれ。著書に『世界のおすもうさん』、『コロナ禍の東京を駆ける――緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(共に共著、岩波書店)、『東京ロック・バー物語』(シンコーミュージック)などがある。猫とカステラときつねうどんが好き。Twitter:@wadashizuka

取材協力:小川淳也(おがわ・じゅんや)
国会議員。1971年・香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。現・立憲民主党所属の衆議院議員(5期/2021年7月現在)。レンチンした「おあげさん」が好き。Twitter:@junyaog


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