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#3 対話は続くよ、どこまでも〜わたしたちの民主主義/『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』特別企画

対話型の街頭演説「青空対話集会」で、市民とのコミュニケーションを行う立憲民主党の小川淳也さん。衆院選が終わってからも続く対話集会の様子を、和田靜香さんがコツコツ記録していきます。対話の先に何が見えるのか?『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』とあわせてお楽しみください。

2月8日(火曜日)晴れ

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 2度目のオンライン青空対話集会。前回はお昼時だったけれど、今回は16時半から。この時間帯に参加するのは難しいのでは?と思ったものの、それでも1時間に渡って、120~130名ぐらいが参加した。

 冒頭、小川さんが行った国会質疑(予算委員会/7日)の報告があり、そこで質疑内容の1つであった統計不正について説明があった。

 統計について理解するのは中々難しいので、良ければ私の本『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』をお読みください。ぺこり。そこで小川さんと3年前の統計不正について対話し、私自身も統計についてだいぶ勉強をした。一つ言えるのは、統計は国家の屋台骨、これが歪められたら民主国家として終わりだとも言われている、ということ。度々それが歪められているかもしれない今の日本とは? なんとも背筋が寒くなる話なわけです。

 「3年前、当時の勤労統計(の不正)についてはだいぶやりました(注:小川さんは予算委員会で統計不正の質疑の先頭に立って追及していた)。同じ臭いを感じたので突っ込んでやりたいと調べましたが、今回の受注統計と建設統計は一定の影響遮断が行われていると判断しました。出ている数字そのものがGDPに多大な影響を与えていることはなさそうです。ただし質疑で申した通りに統計に(政権からの)不審な目が注がれています。統計の数字をまるで政権の成績表のように表面上で上げていくことには熱心ですが、本当の国民の暮らし、経済実態がどうであるか繊細な変化を追いかけようとする感覚に欠けているのは、政治の姿勢としてはあるまじきことだと今回も感じています」

コロナ「第6波」でわたしたちの生活はどうなる?

 さて、この日は10名が実際に小川さんとの対話に参加した。ザッとその内容。


1 野党共闘の行方を心配している。衆院選時の野党共通政策に立ち返って夏の参院選に臨んでほしい。
2 投票率の低さがなんとかならないか。
3 れいわ新選組は結党時から全国民への一律現金給付を言っている。コロナ禍で継続的な現金給付を、れいわの政策を丸のみしてやってみたらどうか?
4 小川さんのおっしゃる野党とは?
5 防犯についてあれこれ。
6 大学生に対してコロナ給付金がない。100年に一度の大災害なのに助けてもらえない。これから先も助けてもらえないだろうと政府の施策を受け止めている。これから先何かチャレンジしようという気持ちになれない。
7 困った人を助けたい、という政策に振り向かない人が大勢いる。支援を受ける側になりたくない、生活保護を受けたくない心理があるのでは?
8 日本維新の会にどうアプローチするのか?
9 コロナ後の日本はどうなっていく、どうしていくのか。コロナで大変なのは分かるが補正予算をつぎこんでいて借金だらけでこれからどうなるのか、心配になる。
10 iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)について。投資を活性化したいけれど、本当のお金持ち向けになっていない。自己責任社会における老後の備えとしてチャレンジしている人が多い。経済循環として健全ではないのでは?

 今回は主に野党共闘や維新について、さらに生活困窮の問題の2つに分けられるんじゃないだろうか。今、みなさんの関心はそこに集中しているように思える。

 参議院選挙を夏に控え、立憲民主党に関する報道というと、野党共闘の事が主になる。泉健太代表が共産党はいらないと言っただの言わないだの。連合との関係とか。また小川さんの発言では、野党共闘に於いて維新も視野に入れているとかいないとか、そういったことが疑問視されてもいる。そして、コロナ禍の第6波は収まらなくて困ってる人はさらに増え、事態は一層深まっている。

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小川さんにとって共闘できる「野党」の範疇とは

 で、これらの中で、質問4「小川さんのおっしゃる野党とは、どの政党ですか?」が、ストレートに聞いていて面白かったなぁ。気になる方も多いだろうから、小川さんの返答を記す。

 「お叱り覚悟ですが、一般的に国会で共闘しやすいのは国民民主党、社民党、共産党、れいわ新選組が期待できる相手だと思っています。問題なのは日本維新の会だと思いますが、決定的なのは、彼らも自民党と選挙で戦っているのは間違いないことです。ただ、考え方や国会での立ち居振る舞いは自民党に近づいているので、その意味で共闘できる野党の範疇なのか?というと私も確信は持てません。ただ、万年野党、万年与党でなれ合ってるのは、いちばん国民にとって良くない。『どうしたら野党の我々は政権の担い手として、国民のみなさまに信用してもらえるのか?』と、あらゆる野党がこの一点のみで協力関係に立つべきだという考えを持っていまして。そこで、ときどきお叱りを受けます。ただ、野党は野党慣れしてはいけないと思います。連携すべき野党を模索していきたいと思います」

 なるほどぉ。小川さん、毎回これを言いますよね? どうしても野党を連携していきたい、そして政権交代につなげたいという小川さんの強い気持ちはよく分かるし、そこから揺るがない小川さんらしさもよく分かるのだけど、やっぱりモヤるよねぇ?

 はい。それで、今回、質問された方が小川さんのこの発言の後、すぐにこう言った。

 「私の意見を言わせてください」

 素晴らしい! そうだそうだ! 拍手拍手! この対話集会、対話と謳いながらも、なかなか重ねて聞き返す「さら問い」がされてこなかった。質問する~小川さん答える~ありがとうございました……それで本当に対話と言えるのかな? ちょっと小声になるけど、私、疑問に思ってきたんですよぉ。それをこの方が軽々と突破してくれた。突破者はいきなり現れるのだ!
肝心のこの方の意見も記しておこう。

 「維新のことも頭にありましたが、同じく国民民主党に関しても自民党寄りで、『本当に共闘しても大丈夫なの?』というのが、あります。前回の衆院選の反省で、立憲さんは共産党と共闘したことを失敗だと総括しているんですか? それには危機感があります。私が衆院選のときにがっかりしたのは、共闘として一本にまとまりつつ、立憲さんのれいわ、共産に対する礼節、協力してやっていこうという態度が見えなかったことです。立憲が中心になるなら、他の党といい連携をしていかないとならないし、それは私たちのためになると思います。小川さんがよくおっしゃる49対51理論。その49は力を持たない小さい政党に代表される、私たちの声だと思います。そこに対するリスペクトが本当の意味で見えなかったのは、私はとても残念でした。だから参議院選挙ではそのへんのことを思い直して、本当の意味で一本化してほしいです」

 これは小川さんだけじゃなく、全・立憲民主党の議員は耳を傾けるべき意見じゃないか? これに対する小川さんの返答は、少々しどろもどろだったように思える。その要旨も記しておこう。

 「現状、政策部門の責任ですから、党全体としての野党共闘や党運営については泉代表や西村(ちなみ)幹事長と話し合わないといけないと思いますが、おっしゃっていただいた趣旨はよく理解できますし、真に野党第一党であるためには党の魅力もないといけないし、他の野党といい関係を築けている、さらにはきちんと率いているという存在感もあってしかるべきだと思っています。さらに努力したいと思います」

 「小川さんがよくおっしゃる49対51理論。その49は力を持たない小さい政党に代表される、私たちの声だと思います」という言葉、野党共闘を目指す国会議員のみなさんに胸に刻んで頂きたい。どの党とどの党がどう共闘するか? 党がどうした。労働組合がどうした。イデオロギーがどうした。そうしたあれこれ、どうしたこうしたは、私には正直どうでもいい。そこにあるのは私たち、私たちなんだということを忘れないでほしい。お願いだから、私たちの、すでに破綻寸前の、息が出来ないような、この毎日のために、力を合わせるのだということを、忘れないでほしい。

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生活保護を受けながらの大学進学は原則できない!?

 それで、そう。私たちの生活は破綻寸前で、すでに破綻している人も多く、だから、生活困窮に関する質問が幾つかあった今回。その中で、質問6の「大学生に対してコロナ給付金がない」、これ、本当に大問題だと思った。小川さんの回答で、すでに立憲民主党は大学生に対する給付金を出すよう法案を提出していたり、予算の組み換え議論の中で大学の授業料を大幅に下げるよう進めたいとも言っていたが、今日、明日にでも大変になる人が、この質問をした、まさに大学生の方なんだけど、周囲にも大勢いるそうだ。

 たまたまこの同じ日、生活困窮者支援をする友人がFacebookで、大学生に対する支援がされていない問題を訴えていて、「それは大問題!」と叫んでしまった。聞けば驚いたことに、生活保護の申請をすると、大学を退学するか、少なくとも休学しないとならないんだそう。

 この辺りの事情は生活保護制度に詳しい人でないとよく分からないので、自治体で生活保護ケースワーカーをされてきて、現在は生活保護問題対策全国会議に所属し、様々な支援活動を行っている田川英信さんにお話を伺ってみた。

 「今の厚労省が定めている生活保護の実施要領という規範では、①高校を卒業したら稼働能力を活用することが求められる。 ②昼間の大学・専門学校等に進学することは認められず、進学したら保護から外れる。 ③夜間定時制の大学・専門学校であれば、稼働能力を活用していれば余暇の自由時間の活用として認める。そうなっています」

 えっ? ひどい。余暇の時間の活用って……。昼間の大学で学んではいけないんですか? それは贅沢なんですか? それって実情にまったく合っていませんよね?

 「以前は高校生も『世帯分離』=保護の対象外としていました。中学を卒業したら働け、ということだったんです。しかし、一般世帯の高校進学率が8割を超えた段階で、世帯分離という扱いを止め、世帯内での修学を認めることになりました。その後、『学資保険裁判』という最高裁判決が出され、それを契機にやっと高校の修学費用を支給することになりました。ところが、大学生・専門学校生については、一般世帯では浪人も含めると8割も進学しているのに、いまだに制度の運用を変えていません。ここが、ポイントです。決断すればよいだけのことなのです」

 なんてこと! 世帯分離とは、たとえば親と暮らす大学生の子がいて、一家で生活保護を受けるなら、その子だけ保護の対象外で生活保護が受けられない。って、結局それじゃお金足りなくて大変じゃないの? 大学に行けないよね? ひどい。「決断すればよい」のなら、厚生労働省は今すぐ決断して、大学に通いながらも、生活保護を受けられるようにしてください! そうしないと、今困ってる大学生、みんな大学に通えなくなるじゃないの!? 

 大学生に「大学を続けたいのか? 生きたいのか?」みたいに選択を迫る今の運用はまったく間違えている! これじゃ、たとえば大学生のお子さんといっしょに暮らす、生活に困窮する親ごさんだって、どういう選択をしたらいいのか、苦しく迷うばかりじゃないか? どうにもならない!

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(生活保護問題対策全国会議の田川英信さん)

共有した疑問や悩みを国会に持っていってもらおう!

 質問7で「多くの生活に困ってる人たちの中には支援を受ける側になりたくない、生活保護を受けたくない心理もあるのでは?」という声もあったが、それには日本の自己責任論の異常な圧や、生活保護バッシングを自民党議員などが率先して行ってきた悪もあるけれど、同時にこうした「受けられない」理由があること、私も初めて知った。

 私たち、もっと知るべきだね! 結局のところ、政治の問題と同じ、私たち自身がこうした生活保護や社会保障の問題点について知らな過ぎるから、それに声を挙げられない。声を挙げないから制度は変わらない。変わらないから、困っている人は途方に暮れるばかりで助からない。

 それでも助けようと、その手を伸ばす田川さんのような方や、私の友達、そういう支援者たちばかりが頑張って、頑張って、疲弊していく。違うよね? 違う。そんなんじゃいけない。

 私たちはもっと知らなきゃいけない。知るべきだ。知る義務がある。知ろう。知るように、努力しよう。

 今回は青空対話集会を機に、大事なことを学べた。知らない同士が困っていること、悩みや疑問を話し、共有しあうって、学びのきっかけになりえる。そうなれば集会を司る小川さんはプラットフォームのような存在になり、私たち自身が問題を提起し、共に考え、解決していこうと努力できる。むむむっ、これからみんなで、そうなっていけたら、すごいぞ。

 とはいえ、政治にしか変えられない問題は山積みだ。小川さん、これをぜひ、国会に持って行ってください。なんとか厚労省に「実施要領という規範」を変える決断をさせてください。法律を変える必要さえ、ないんですから!

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☆今回「私の意見」を述べた方、お話伺いたいしたいです。ここをもし読んでくださっていたら、私に連絡をください。どうぞよろしくお願いします。ここに書き込みくださるか、ツイッターでもかまいません。

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