#4 対話は続くよ、どこまでも〜わたしたちの民主主義/『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』特別企画
対話型の街頭演説「青空対話集会」で、市民とのコミュニケーションを行う立憲民主党の小川淳也さん。衆院選が終わってからも続く対話集会の様子を、和田靜香さんがコツコツ記録していきます。対話の先に何が見えるのか?『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』とあわせてお楽しみください。
2月15日(火曜日)晴れ
今回で3回目となったオンラインの対話集会は、急に名称が「青空対話集会」→「りっけん対話集会」へと変更になった。名称変更を残念に思うと質問で問われて小川さんは、
「香川1区で、元々公民館でやっていた対話集会をスーパーの前でやることになって、青空対話集会と銘打ちました。これ(オンライン対話集会)は私個人の集会ではないので党幹部の意向もあって『りっけん集会』としたんですが、立憲民主党支持者以外の方にも入っていただきたいので『青空集会』と単純に言った方が参加しやすいかなぁとも正直思いますが、私自身が党幹部の一画でもあって党勢拡大の責任もあり……。そうですね、りっけん青空集会はどうですかね?」
と言っていたけれど、名前はだいじだよ~♪と言いたい。「青空対話集会」という名称だったから親しみやすく、小川さんの言う通りに立憲民主党の支持者以外も気軽に入れたのに、なんだか急に圧が生まれるかのような気がしてしまう。しかも一方的に変えてしまうのって、どうなんだろう? この対話集会は小川さんや立憲民主党のものだけじゃないと思う。私たち、参加する側のものでもあるでしょう? というか、どちらかと言えば、がんばってるのは私たち側。なのに、その名称を私たちに相談もなく一方的に変えてしまうのは、それって、今の政治の在り方の象徴的出来事じゃない?って思ってしまうのは私の考えすぎ?
与党にモノ言うだけじゃ無党派層は動かない!
さて今回も百数十名がzoomに参加し、そのうちの10名ほどが挙手をして質問した。
1 立憲民主党は先の衆議院選と同様に、7月に迫った参議院選挙でも共産党と選挙協力をして、候補者を一本化していけるのか?/GOTOキャンペーンが実行できないために地方交付税を旅行関係者に助成しているが、いつまでも続けられない。その分、旅行業関係者の雇用を柔軟に他業種に誘導する方策をとるのはどうだろうか?
2 共産党との関係は実際のところはどうなっているのかを、もっと分かりやすく発信してほしい。
3 立憲民主党はどうやって無党派層に支持を訴えるべきか?
4 小川さんの政策を知るための本は、何がいいですか?/コロナ禍で深まっている貧困問題をどう解決していけばいいのか。
5 同性婚を早く法制定してほしいと願っています。
6 アベノマスクを配布する話はその後どうなりましたか?/「子ども家庭庁」は子育て環境をどう変えるか心配しています。
7 小川さんは「野党共闘」することは「一つ屋根の下の大家族」のようにして、考え方は違っても一緒にいることに意味があるとおっしゃっていましたが、よく分かりません。
8 日本における望ましい持続可能性の形とはどんなものですか?
9 立憲民主党の前・党首である枝野幸男さんが言っていた「あなたの党」という姿(2020年頃の「あなたのための政治」のことか?)が、今は見えない。どうしたら立憲民主党は応援される党になれますか?
10 野党間の国対の報告会から共産党だけを外すということは、世論に対してどういうアナウンス効果を持つか?を考えていたのか? また、国民民主党が「共産党とは同席したくない」と言ったときに国民民主党に「それじゃ、国民さんと1対1で報告会をやりましょう」と、拒否することはできなかったんですか?
今回はなんと言っても、質問3の「立憲民主党はどう無党派層(特定の支持政党を持たない層)に訴えていけばいいか?」という質問が良かった。というか、この質問をした方がサイコーだった! この方、モリモリ怒っていた。何に?って、立憲民主党の今の在り方に。それを小川さんにぶつけたんだ。
「今ここでこれを見てる方々は立憲民主党に選挙では投票するでしょうけど、夏の参議院選挙では、無党派層をこちらに向けないことには勝てないと私は見ています。
それで生意気ながら、立憲民主党の事務所に電話してみました。すると、『与党(政府)には私どもの意見を伝えていますから。政府に言ってますよ』とおっしゃるんですよ。でもどこの政党も支持していない無党派層は、『立憲民主党は、与党(自民党/公明党)にきちんと意見を言ってくれる。正しく素晴らしい』なんて思わないんですっ! コロナ対策が不十分なのは、政治が動かないから、政治が悪いからって思う。その、動かない政治をどう動かすか?が、野党に問われてることじゃないですかっ?」
質問者さんの声はどんどん大きくなり、エキサイティングして、グングン続ける。
「政府に言ったけど動かないんじゃなくて、動かない、だからこそ、立憲民主党が動くんです!という姿勢を見せてほしいんですね、私は!」
「長妻昭さん(立憲)がPCR検査数が足りないとTVで言ってました。同時期に国会では、(国会議員の経費である)文書交通費を国庫に返納するしないとやってた。なら、文書交通費を立憲民主党はPCR検査の拡充に当てますとか、そういう風にメッセージを私たちに出してくれたらいいんですよっ!」
「安倍総理が虚偽答弁を重ねた。すると無党派層は『また同じことしてんだな』と呆れる。だから同じ問題が起こらないよう、再発防止策を講じます!って動く。問いただすだけじゃなく、抑止、抑止ですよ。そうやってひとつの物語が出来てくんじゃないですか!」
質問者さんの叫び!
ところが小川さんの答えは「文書交通費は……」と、えっ?そこ?な説明を始める。いや、小川さん、そこじゃないだろう? おそらく、集会を見ているみんなも思ったはず。よもや答えに窮し、そこんとこだけ、つまみあげたのかな?
すると質問者さん、小川さんの答えに沸騰し、激昂っ!
「法改正とかそういうことじゃない! 与党にモノ言うだけで動かないってのは、終わってるって見えるんです。今言ったのは一つの例にすぎませんっ。立憲民主党が自民党を動かす、国を動かすという覚悟が欲しいんですよ、私は!」
立憲民主党に感じていた歯痒さをぶちまけるっ! もはや小川さんは「ありがとうございます」とお礼しか言えなくなり、質問者さんは、こう締めた。
「与党政府が動かないなら自分たちが先頭に立って、私たちが戦うんだ、世の中を動かすんだ、そういう姿勢が見たいんですよ!」
政治家に怒り、ぶちまける市民! すばらしい! そうだよ、私たち、政治に怒ってる。だから、どんどんこうやって政治家に怒っていいんだよね! 質問者さんは熱くなっていたけど、決して罵詈雑言を放ってるわけじゃなく、もっとこうしてほしい! こうすべきなんじゃないか?という願いや提案を語った。私たちはSNSで愚痴ってるだけじゃなく、こうして政治家に直接ぶつけていくべきだよね? だって私たちが主権者だ!
小川さんは「具体的な行動と成果があるべきだと思います。おっしゃるとおりです。しっかり受け止めさせていただきたいです」と、頭を下げた。うん、うん、そうそう。政治家はこんな風に、私たちの怒りに耳を傾けてほしい。それでこそ民主主義じゃないか?! 対話集会にあるべき対話を見せてもらった!
野党のみなさん、「無駄話」をして連携してください!
しかし、今回はみんな怒っていた。何に?って、そうそう、立憲民主党が共産党をはずして、日本維新の会と連携した問題。
「立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、衆院会派『有志の会』の野党4党派の国対幹部は14日、国会内で会談し、与党が目指す21日の2022年度予算案の衆院通過に反対し、十分な審議時間の確保へ協力することで一致した。4党派は今後もこの枠組みの会談を定例化する方向だが、共産党は『共産外し』に猛反発している」(毎日新聞/2月14日)
これはすぐに撤回され、立憲関係者が反省の弁を述べたりしていたけど、多くの人が納得していない。そもそもだけども、「国対」ってなんだ? 多くの人は、この件が「国対の代理による情報共有をどうしていくかってことだった」なんて説明されても理解が難しいんじゃないかな? 選挙協力と混同してしまったんではないか?
国対って何だよ? いちばんいいのは辻元清美さんが国対委員長の経験を書いた、ズバリの本『国対委員長』を読むとすごくよく分かる(と、同時に辻元さんがいかに有能かもわかるんだけど)。
国対=国会対策委員会。法的根拠のないシステムで、国会の運営は与野党間の、この国対によって営まれている。事実上、与党と最大野党の二人の国対委員長が権限を持って、国会をどう運営していくか、これはどうするか、かなり決めこんでいくって感じ。なんじゃ、それ? 談合か? って、そう思うよね~~~。ほんと、そう思うわ。本当に必要なのか、国対? そもそも、議院運営委員会という、議会で何をテーマに話し合っていくのかを決める委員会だってあるんじゃないのか? そこと、どう違うのか? あああ、書いてる私もシステムが分からない。
今回思ったのは、そもそも、そういう国会運営のシステム自体を変えていくことを考えることも大事なんじゃなのか? ってこと。おじさんたち(この件で登場したのがおじさんばかりだった)、ふだんからみんなで立ち話ぐらいするとか、お茶ぐらい飲むとか、なんか同じ職場(国会)なんだから意思疎通して、コミュニケーションうまくはかっていけばいいんじゃないの?っていう、あまりに基本的なこと。私はそう思ったけどねぇ。
小川さんは、この件を質問7の方に聞かれ、
「共産党さんとのことはご心配おかけしていますが、本来、表で発表したり、見える形で議論するのはだいじでも、ただちに表で言えないものもあるのが党運営、国会運営、選挙対策の現実ですから、水面下では信頼関係を重ねている、対話のチャンネルが生きているという状況にあるべきだと思っています。お互いのチャンネルがしっかりしているということができている絵姿を目指していきたいと思います」
と答えた。やっぱりできてないんかいっ! おじさんたちよ、無駄話をしよう。どうでもいいことをおしゃべりし、チャンネルはつなごう。お土産のお饅頭を持って行って「おすそわけ~」ってするのって、どんな社会でもあたりまえの人間関係構築じゃないのか? それぐらいしてくれよっ! 頼むわっ! バイト先に持って行くお土産のお菓子選び、私は相当に気を遣ってましたけどねっ!
同性婚法制化がウヤムヤになってしまい「悔しい」
そうそう、質問10の方に「共産党を外すというのは世論に対してどのようなアナウンス効果を持つか、お考えになったんですか?」と鋭く聞かれてもいた。小川さんはタジタジで「そこまで想定しなきゃいけなかったというのはその通りでございます」としか言えなかった。今回は政治家をタジタジにさせる人、連発である。すばらしい。
(チャット欄にはこんな厳しい書き込みも)
そして大事なこと。質問5の方は「勇気を出して発言しますが、私は当事者です」と、同性婚について質問した。「自分は年がいってるんで、スピードをあげてどうにかしてほしい」とおっしゃり、以前に自民党の反対でウヤムヤになってしまったことを「悔しい思いをした」という。それでも「自民党の方にもお手紙を書いたところ、お返事をいただきました」と言い、さらに「小川さんから『以前は結婚制度に準ずるパートナーシップがあればいいと思っていたけど、それは違うと分かった』と言ってもらえて勇気をもらいました。どうか一歩でも前進してほしいです」と、切々と訴えた。
小川さんは「これは党派的議論にゆだねるのではなく、党議拘束を解除して、それぞれの良心において、議員の人生観や社会観で投票、採決すべきだと、本会議でも提案しました。今後もしっかりやっていきたいです」と答えた。
私の友人にも同性婚を認めてほしいと切に願う人がいる。本当に認められて欲しいと、心から願う。私からも声を大にして言いたい。婚姻平等法案は2019年6月に立憲民主、共産、社民の野党3党の議員によって衆議院に共同提出されているものの、その後に審議入りしたというニュースは聞いていない。
法案の概要はこちら。
(衆議院ホームページより)
大切な質問も出た今回の「りっけん青空集会」。←折衷案。ちなみに、重ねて質問をする「さら問い」は、もはや当たり前になってきた! 私たちは民主主義を着実に体得していっているんだと思う。
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