鈍くさい駕籠/捕縛 町田康
【第50話】「海道一の親分」として明治初期に名をはせた侠客、清水次郎長。その養子であった禅僧・天田愚庵による名作『東海遊侠伝』が、町田版痛快コメディ(ときどきBL)として、現代に蘇る!! 月一回更新。
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次郞長と八尾ヶ嶽(実は福太郎)が四日市の三九郎方にやってくると家の前に駕籠が降ろしてあって、その脇で駕籠舁が煙草を吸っていた。
「あれ、駕籠がいやがるぜ。おい駕篭屋」
「へぇ」
「ここは三九郎さんのお宅か