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人違いで赤鬼の金平の一味と見做され、役人に追われた次郞長は尾張を逃れて水路、伊勢に趣き…
保下田の久六は最終的に一の宮多左衛門と和解した。 和解と言うと、裁判所で裁判官に決め…
安政二年十一月、八尾ヶ嶽宗七改め保下田の久六より次郞長の許に手紙が届いた。急ぎ封を切る…
宗七が上州館林江戸屋虎五郎のところへ発って数日、次郞長は気が脱けたようにボンヤリして過…
嘉永三年十一月、清水港は秋であった。次郞長方の表の方では箒とちり取りを持った乾分が落ち…
嘉永三年、九月の昼下がり、次郞長は家で物思いに耽っていた。人はなぜ生まれてくるのだろう…
「いてもれ、アホンダラ」 「じゃかあっしゃ」 「こなくそ」 「ぎゃん」 ヤクザの喧嘩と言えばそのような罵声の飛び交う修羅場のように思われがちである。マア、実際に斬り合いになれば、そんな声も上がるが、その前段階、実際の喧嘩に至るまでは割合と面倒くさい駆け引きが続いた。 弘化二年夏、次郞長の家を出た八尾ヶ嶽宗七は尾張で一家を構えることに成功した。と書けば一行で済む話だが、それが出来たのは八尾ヶ嶽がかつて江戸相撲で鳴らし、地元でも活躍した力士であったからである。 それを知る
弘化二年。また夏がやって来た。次郞長は清水に戻って一家を構えている。「あすこン家は姐さ…
江尻の大熊の妹・蝶を嫁に貰ったことが次郞長に何を齎したのか。そりゃあ、いろんな事を齎し…
林の中で次郞長は八尾ヶ嶽に言った。 「俺と結婚してくんねぇか」 八尾ヶ嶽は戸惑った。な…
【第50話】「海道一の親分」として明治初期に名をはせた侠客、清水次郎長。その養子であった禅…
【第49話】「海道一の親分」として明治初期に名をはせた侠客、清水次郎長。その養子であった禅…
白い長羽織を着た男の恐るべき人体実験により身体が膨らみ、恐るべき膂力を備えた福太郎は、…
弘化三年七月。次郞長は三河で知り合った相撲取り、八尾ヶ嶽宗七とともに伊勢にいた。次郞長は八尾ヶ嶽と離れがたく思っていた。その訳は。 そう。八尾ヶ嶽の顔貌が、かつて次郞長が思いを寄せた福太郎と酷似していたからである。そのうえ、角力の興行で全国、いろんなところへ行ったことのある八尾ヶ嶽は清水港のこともよく知っており、そんな話ができるのも次郞長はうれしかった。 それならば次郞長が、「こいつ、もしかして福太郎本人なんじゃネーカ」と思ったとしても不思議ではない。だけど次郞長はそう