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【毎日note387日目】真人間のフリが出来ない時の処方箋。

その昔、はるな檸檬さんの『ダルちゃん』(全2巻/小学館)というマンガを読んで衝撃を受けました。

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『ダルちゃん』は、本当の姿は、ダルダル星人のダル山ダル美、通称「ダルちゃん」で、ゆるい状態が自然なのに、普通の人間に見えるように幼い頃から努力を続けているOLのマンガです。


ダルちゃんの世間での名前は、丸山成美。24歳の派遣社員。

朝はキチンとシャワーを浴びて髪を洗い、メイクもする。

苦手なストッキングをはき、ハイヒールに両足を突っ込んで、ケータイデンワで音楽を聴きながら出勤。

コピーやお茶汲みだけでなく、時にはウワサ話にも付き合う完璧な「擬態」のおかげで、会社の皆は誰もダルちゃんが「ダルダル星人」であることには気付きませんでした。


会社の飲み会で、営業の男性に絡まれ、侮辱の言葉を山のように言われても、笑ってそれを聞いてしまうダルちゃん。


しかし、その様子を見ていた経理の女性・サトウさんに、「あんな風に自分を扱ってほしくない」と真剣に訴えられてから、怒涛の展開が始まり、彼女の人生が少しずつ変わり始めるのですーー。


本作は、誰かの目を常に気にして、世間のルールを必死で覚えて、自分の居場所を確保しようとする女の子の物語です。

簡単にハッピーエンドにはならないところがものすごく深くて、生きづらさや痛みを抱えながら、自分なりの幸せを模索するところが印象に残りました。


ーーー私は最近、「真人間」の擬態すら難しい時があって、普通の顔をしていても、心の中では…。


「めっちゃ腹痛いー! しんどいーー!! 毎日細切れ睡眠やべえーーー!!! 全然寝れてねえーーー!!!! 夫もたまには起きやがれーーー!!!! 

ああ、また適当に扱われたーーー!!!頑張ったら報われるとか嘘やろ。もう人生ムリムリムリムリ(:.;゜;Д;゜;.:)」


と、子供がスーパーでゴロゴロ転がりながら駄々をこねるみたいに、脳内で暴れている時があります。

街を歩いていると、皆が「まとも」な人間に見えてなんだか悲しくて。

自分が追い詰められている時は、一人一人とっ捕まえて、


「なんで普通に街を歩けているんですか? この世をどうやってサバイブしているんですか? しんどくないですか? なんかもう無理な時ってないですか!?」


…と聞きたくなる時もあります。

めっちゃやばい奴やん…( ´⚰︎` )


だから私はそんな時、自分のカッコ悪さや葛藤や、生々しい本音が綴られた本やエッセイにめちゃくちゃ救われたりするんです。

自分のことを正直に文章に綴るのって、恐怖もあるし、少しずつ自分のどこかが削り取られていく感覚もあります。


でも、何でもない風を装って、精一杯この世に順応しようとしている人間は、こっそりそんな文章に救われてしまうのです。

『ダルちゃん』もそうでしたが、本日読んだ大木亜希子さんの『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)もそうでした。

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こちらの感想は、また後日アップしますが、恋愛に詰み、仕事に詰み、身体が動かなくなり、精神科に駆け込む著者が、他人でもある50代のオジサン・ササポンと暮らす日々が赤裸々に綴られています。

彼女の悩みは、どこか私たちの「生きづらさ」と重なる部分も多くあり、読んでいて涙があふれました。


辛いのは自分だけじゃない、マトモなフリして、何でもない顔をして、精一杯「擬態」して、もがいているのは私もだよ! と伝えてくれる…魂を削りながら作られた作品は、本当に素敵で魅力的で、人を救うなあ…と思った本日でした。


私も一応大人なので、きっと色々ボロが出ているであろう"真人間"のフリを、明日も頑張ろうと思います。


さゆ


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