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【その9】序章からのグラデーション

そして2020年、コロナ禍がやってきた。
ヨガのクラスが休講になったり、マスクを着用してのクラス開催になったり、アーユルヴェーダでも調理を伴う講座はできなくなった。
私はクラスを減らし、東京でのクラスも辞めた。そして手探りながらオンラインクラスも自主開催するようになった。物理的な時間が生まれ、自分自身もオンラインでの誘導瞑想やzoomでさまざまなクラスを受けるようになった。世の中全体の動きが止まったような静かな時間が新鮮だった。犬の散歩以外、出掛ける予定がないということにホッとしてもいた。

私は本当は何がしたいのだろう。どこへ向かって行きたいのだろう。何か見落としていることがないだろうか。そんなことを時間を気にせずに考える時間がありがたかった。

春が過ぎ、夏も秋も私は世間のニュースからは距離を置き、毎日瞑想をし、たくさんの本を読んだり、YouTubeで気になる自己啓発系やスピリチュアル系に触れていた。昔とは何か違う感覚があったが、それが何なのかはよく分からなかった。

12月、オンラインで21日間朝晩行う瞑想クラスを企画し、想像以上にたくさんの方が参加してくれた。そして明けて22日目に108回太陽礼拝をするというイベントを70人規模で開催し、大盛況だった。たくさんの人に囲まれ、友人たちが協力してくれて充実感があった。心からありがたかった。

けれど、この先自分がヨガや瞑想クラスを続けていくビジョンが見えず、行き止まり感も感じていた。瞑想もして、内観もして、食事にも気をつけて、ヨガの練習もして、好きなことをしてたくさんの人に囲まれているのに、なぜか奥の方では小さく小さくイラついていた。経済的にも会社員時代の収入を大きく超えることはなかった。好きなことをしているんだから、それでいいんだと、欲しいものも望むものもそんなにない、「充分幸せ」と、すでに手にしているものやこの状況に自分を満足させ、当てはめようとしていた。今思うと「足るを知る」をまたしても履き違えていた。アハン。

12月も終わりが近い日、Instagramのストーリーに昔のヨガ仲間がタロットカードのリーディングモニターを募集するというお知らせが流れてきた。なんの気なしに連絡し、オンライン上で久しぶりの再会を喜び、リーディングしてもらった。詳細は覚えていないのだけど、母なる大地の女神、ガイアのカードを引いた。「このカードが出るってすごいよ!これから先、繁栄しかないよ!」と言われた気がする。
その時はその兆しさえ見えなかったけど、コロナ禍で何かが変わってきてるのは感じた。

そしてそのリーディングをしてくれた彼女が、私の15年来の友人であるヨーコちゃんの「骨格なんちゃら」のパーソナルセッションを受けた、というやっぱりたまたま見たインスタのストーリーで知った。すごい面白かったよ!という感想を聞いて、急に気になってヨーコちゃんにメールした。これまでの彼女とはまるで違うキラキラパステル女子的にキャラ変をして「骨格なんちゃら」を2.3年前から始めたということは知っていた。気にしていなかったのか、気にしないようにしていたのかはもはや覚えていないけれど、それまで自らアクションを起こすことはなかった。

たまたまヨーコちゃんが東京に来る日に、たまたま1枠空いていて、たまたま私がその日その時間が空いていて、ノリで予約をした。セッション費がヨガ業界に比べたら驚くほど高額なこと、友達だから割引するね❤︎とも言ってくれないことに、びびっている自分がいた。びびってセッション日ギリギリまで、銀行口座に振り込めなかった。

年が明けて2021年1月、ヨーコちゃんのセッションを受けた。私はただ、丸いバランスボールにうつ伏せになって特に痛みもない、何をしているのかもよく分からない45分だった。

立ち上がるたびになぜだか体が軽くなっていく。鏡に映る自分が変わっていく。何をしてもあんなに張っていた腰が少しも痛くなく、ソフトボールやヨガでついてしまったあんなに盛り上がっていた僧帽筋が小さくなり、年々太くなっていた首が細く、埋もれていた目が大きく、顔が小さく引き上がっていく。

はぁぁぁぁ??
これはいったい、何なんだぁーーーー!??!頭の理解が全く追いつかず、ただただ全身を駆け巡る興奮が凄かった。

軽い!軽い!軽い!体がなんか一回り小さくなってない?なんでお尻が上がってのさ?何で顔が小さくなってんのさ?顔触ってないよね?骨バギバギされてないよ?わたし動いてないよ?何でよ?何なんだーーーー????

もう、完全に降参だった。
あー、もう降参だわ、としみじみ思った。世界に対して白旗を振っている気分だった。
「あたしこれやるわ。」とセッション後にヨーコちゃんに伝えた。一切のプレゼンも、ヨーコちゃんからの誘いもなかった。内容もよくわからなかった。何をしていくのかも知らなかった。どんなシステムでどれくらいの費用がかかるのかも知らなかった。
けれど、もうわたしはやると決めていた。

その日の夜、あまりに興奮して私は寝れなかった。私が私だと思っている私は何なの?あんな風に身体が変わるって何なの?やばい、何かすごいことに出逢ってしまったかもしれない。
やばいやばいやばい!!!!!何かが音を立てて変わっていく予感しかしなかった。あんなにドキドキしたのは初めてだった気がする。

そして翌朝、ベットから起き上がって感じたことがないくらいの衝撃が走った。
腰が張ってない!!!!!体がバギバキに固くなっていない!!!!!毎日ヨガやストレッチをしないと身体が目を覚まさなかったのに!それが何十年も当たり前だと思っていたのに!!ヨガしなくても身体が軽いって何やねん?しかもあんなに短時間で?どういうことやねん?
面白すぎるよ!

すぐに瞑想の第二弾オンラインクラスを企画し、貯金では足りない分の講座費用を捻出した。その当時、パートナーは騙されているんじゃないか?本当に大丈夫なのか?と思っていたらしいが、もう決めている様子の私には何を言っても無理だろうと思ったらしく、「お金貸そうか?」とまで言ってくれていた。神か。

そこから私はその地球の理に適った骨格メソッドの面白さに、燃えに燃えて燃えた。
まだ何も分かってもいないのに、その面白さをただ伝えたくて、ポップアップクラスを企画した。伝えたい一心だった。ヨガのクラスもスタートして3ヶ月後には全て辞めた。ヨガの練習に至ってはあの日のセッション後、驚くことに一度もしなくなった。それぐらい私の体感に起きたことは衝撃だった。いままで思い込んでことが身体が変わっていくたびに日々バラバラと崩れていった。

次に続く。

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