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[re:view] BE:FIRST -Shining One-

レビューするか迷ったけど、私が音楽やエンタメをこよなく愛するきっかけになってくれたSKY-HIのプロジェクトだし書かずにはいられない。ただなぜ迷ったかというと、「同じ音楽で芸術で各々がベストを尽くすものなのに、国やジャンルなどで比較されることでしか評価がされない」ということに疑問を感じているから。でも私は肯定しかするつもりないので。(ちなみにドファ*は未視聴)

*ドファ:THE FIRSTのこと


私を明るい世界に引き出した彼の名言

まずはプロジェクトを行ったSKY-HIがなぜ素晴らしいのかということを書いておきたい。誰しも思い出に残り続けているライブやコンサートがあると想うけど、私にも忘れられない人生を変えてくれたライブがあり、それは友達に連れて行かれた2014年の『SKY-HI TOUR 2014 -Trip of TRICKSTER-』。

真っ暗なステージで彼にだけスポットライトが当たって叫び、訴えかけていた。

やれ手を挙げろだの、やれ声を出せだの要求することが多々あると思いますが、最初に注意事項として言っておくと、君たちはそれに従う必要はまったくもってない! あのさ、違うんだよ。手を挙げなきゃいけない空気とかさ、ここ盛り上がっておくところでしょ? とか。見せかけの盛り上がりや一体感を作りに君たちは来たのか? って話だから。君たちは周りの視線を気にするためにわざわざお台場のZepp DiverCity Tokyoにきたのか? それはNoだよな。君たちはなんのために来たのか。それは俺が何のためにやってるかということとイコールなんだけど、みんながZepp DiverCity Tokyoを出る時に「あー、今日いい1日だった。」って想いが生まれる。それがゴールだから。そのためだったら、どんな楽しみ方しても。自分自身が一番楽しめる楽しみ方で楽しんでくれたら、それが一番だから。(引用:https://www.barks.jp/news/?id=1000097571)

長い引用で申し訳ないけど、周りの視線を気にしてばかりだった中学生の私にはかなり響いたし、皆さんに知っていただきたい言葉なので。

「君の人生を本気でひっくり返しにきた、TRICKSTERだ」と言う彼にまんまと人生がひっくり返された。そのきっかけをつくった彼が行う『THE FIRST』のプロジェクトは素晴らしかった。

そんなわけで、彼が率いたグループBE:FIRSTの『Shining One』をレビューする。


深みがあるバックグラウンドを映したリリック

オーディション/サバイバルを経た彼らが、それを観ていた視聴者に伝える言葉は何気ない音楽よりもストーリーがある。

グラス越し踊るスポットライト 泡と共にハジけた
追い越されてく日々に 運命からの招待
ただ待ってた訳じゃない

ライバルや一緒に歩んできた仲間が先を越して羽ばたいていった中で、ただ巡ってくることを待つわけでもなく努力を重ねていたところに『運命からの招待』があったことを冒頭に綴っている。

『運命からの招待』という言葉の素晴らしさと、美しいだけの世界ではないと一瞬突き放してくる『ただ待ってた訳じゃない』というフレーズに惹き込まれてしまう。

さらに「聞き取りづらい、日本語らしくない日本語」もこの歌詞を引き立てている。日本語はどうしても音が子音と母音だけではっきりしているから音楽に合わせづらい。だから最近は日本語の発音っぽくない日本語で歌うラッパーとかが増えてきているイメージ。

その絶妙な歌い方をBE:FIRSTはやっていて、これの良さは歌詞を調べたくなる、というところだと思う。なんて言ってるの?!となって調べてみたら深かった、という感じで決まった流れになっている。こんな歌い方できる日本人もあまりいないし、いろんなジャンルをこなせる可能性が高いので重宝されるのではないか。


HIP-HOP ラップを浸透させる立役者になるのでは

どうしてもまだHIP-HOPやラッパーに対するネガティブ意識はあるような気がしていて。好きな人が応援すればいいじゃん、となってしまうのは良くなくて、市場を大きくしていかないとそのジャンルや分野は潰れてしまうから新規のライト層とヘビー層両方(あるいはグラデーション)を補っていく必要がある。

BE:FIRSTは、そのHIP-HOP・ラップファンのライト層を牽引して取り込んでいくような綺麗さと淡白さがあってすごくいいと思う。アンダーグランドさが薄れているから何にでもなれて、マーケティングはしやすそうなイメージだし、実力者や自作できるメンバーも多いことから本格的なラップが期待できる。

『Shining One』もラップパートが多いし、歌割り的にもみんなできるんだろうな〜という感じ。

ライト層とヘビー層のグラデーションにアプローチしていたのは紛れもなくSKY-HIだったけど、彼らも良いところを引き継いでいてこれからが楽しみである。

※論点ずれていきます。

楽曲のレビューなのか、グループのレビューなのか、SKY-HIのレビューなのかまるでわからない記事になってしまったけど、何を伝えたかったかというと『比較することだけでしか語れないなら語るな』ということ。

大手の記事やYoutuberが「韓国/K-POPと比較して〜」「JO1やNiziUとは違って〜」などレビューをしているけど、私はなぜ比較する必要があるのか?ということが引っかかる。

確かに、SKY-HIも開始当初はK-POPに日本人の優秀な人材が流れていて日本のボーイズグループが生まれなくなるのでは、と懸念していたが、このドファのルーツは韓国ではなく日本で日本のアーティストである。(その日本の中でも比較する意味はまったくないが)

そしてこの大衆アーティストが不在の日本の中で必要なことは、全体と各々の市場を拡大していくことであって、比較して相手を蹴落とし合うことではない。もっと、ちゃんとアーティストや楽曲を観て聴いて、自分の感性で判断できるようになったら豊かになるのではと思う。

彼らの次の楽曲も楽しみなので注目したいです。

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