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[re:view] NETFLIX - 気象庁の人々

韓国のドラマがファンタジーすぎたり非現実的だったりして設定がぶっ飛んでいる。その中で、久しぶりに人間味が色濃くて生活に近くて親身に感じるドラマだった気がする。特に今クールのNETFLIXの『気象庁の人々』をはじめ、『二十五、二十一』『39歳』などすごくリアルで共感性の強い作品が多かった印象ある。

タイトルでわかる天気と心情表現

まず各話のタイトルが秀悦。

【気象庁の人々】
1. シグナル(Signal)
2. 体感温度
3. 季節の変わり目
4. 視程
5. 局地的大雨
6. ヒートアイランド現象
7. 光化学スモッグ注意報
8. 不快指数
9. 空チャンマ(梅雨)
10. 熱帯夜
11. 1℃
12. 変異地域
13. シナリオ1 .2 .3
14. 移動性高気圧
15. アンサンブル
16. 明日の正解

天気の用語でありつつも情景が目に浮かぶワードチョイス。タイトルだけでわかる起承転結。そしてアジアならではの四季や季節がひと目で分かる。


始まりと終わりのナレーション

各話の冒頭と終わりで、タイトルに沿った同じナレーションが流れる。

始まりで流れた言葉に想像を馳せて考えながらみていると、終わりでそのナレーションの言葉をしっかり回収してくる。しかもこのレビューを書くために全話のナレーションを見返したら、始まりと終わりで同じナレーションだと気がついた。全然違った感情で聞いているから気が付かなかったわ。


5話. 局地的大雨

大気の不安定は性質の異なる空気の衝突で起こる

グラスに注がれたアイスミルクにエスプレッソを流しながら出てくるナレーション。アイスラテの作る過程と局地的大雨の発生を比喩することにもため息が出るのに、これが異なる価値観・考えを持つ2人の絡みを「性質の異なる空気の衝突」と表現する。この3つのリンクした比喩表現をみた瞬間感銘を受けるしかなかった。


10話. 熱帯夜

睡眠は気温の影響を強く受ける
気温が高いと睡眠中に中枢神経が興奮し
深く眠れなくなる
こんな夜は考え事をしてしまう
考え事をすると不安がますます募る
不安が募るとつい考え込む
それで更に考え事が増えていく

寝苦しい熱帯夜の中考え込んでいて、また眠れなくなっている様子とともに流れるナレーション。「共感」を覚えた瞬間にストーリーに入っていくから結局みちゃう。10話の最後にも同じナレーションが流れるけどまたみんな違う考え事・悩みに向き合っていて、人間っぽくていいなと思った。


11話. 1℃

体温が1℃下がると人の体の免疫力は30%も低下する
外部からの攻撃にその分弱くなるということだ

最初の一言で「そうなんだ」って関心してると、次の二言目でうわぁって鳥肌になる。このシーンを観ながらもう一度この台詞を再生してほしいみんなに。共感・関心を引いてからの気持ちの変化の差がすごくてなんだかいたたまれない気持ちになる。



①天気、②登場人物の心情、③比喩描写

この3つの重なり合いにひどく感銘してこの台詞たちをすぐにスマホにメモして、作家さんの感性に大感謝した。

どうしても誰かとこの感情を分かち合いたかったし、久々に突拍子もないぶっ飛んだ設定ではないドラマでクリエイティブを感じて書き残さなきゃと思った。

韓国の方ってやっぱり感性が豊かで感情を表現する形容詞の数が全然違うよなって改めて感じた。もうこのレビューを書いてても嫌というほど自分の語彙の少なさにがっかりする。

とはいえ、社内恋愛とか結婚とか妊娠後の仕事とか親の話とか、すごく現実的でわかりやすくて共感要素多くて、日本のドラマっぽくて見やすかったのでは。ただ一つ大きく違うのは圧倒的フェミニズムだった。

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