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《女の愛と生涯》訳詩

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シューマン作曲の歌曲集《女の愛と生涯》の訳詩です。敬愛するジェシー・ノーマンの歌唱で、各曲をご紹介させていただきました。ぜひこちらも併せてお楽しみください。
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#シャミッソー

《女の愛と生涯》訳詩──3.わたしにはわからない

《女の愛と生涯》訳詩──3.わたしにはわからない

わたしにはわからない、信じられない
夢が私を魅了していることが
どうして彼はあらゆる人の中で
わたしに腕を差し出し、幸福にしてくれたの?

わたしは起きたの、彼は言ったの
「ぼくは永遠に君のものです」
わたしは夢を見ているようでした
それは決してありえないことだから

ああ、夢の中でわたしを死なせてちょうだい
彼の胸で揺られ
とても幸せな死をわたしは感じるわ
果てのない喜びの涙の中で



6月

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《女の愛と生涯》訳詩──2.彼は、すべての中でもっとも素晴らしい方

《女の愛と生涯》訳詩──2.彼は、すべての中でもっとも素晴らしい方

彼は、すべての中でもっとも素晴らしい方
なんて穏やかで、なんて良い方なの!
優しい唇、澄んだ瞳、
明るい心に揺るぎない勇気

青い深淵の中のあの場所で
明るく輝くあの星
彼もまたわたしの天に
明るく輝き、気高く遠く

歩いて、あなたの道を歩いてちょうだい
ただあなたの光を見つめているから
ただ謙虚にそれを見つめているから
幸せと悲しみを持ちながら

わたしの静かな祈りを聞かないでちょうだい
あなた

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《女の愛と生涯》訳詩──1.あの方にお会いしてから

《女の愛と生涯》訳詩──1.あの方にお会いしてから

あの方にお会いしてから
目が見えなくなったみたい
どこに眼差しを向けても
あの方だけが見えるの

まるで覚めた夢を見ているように
あの方のお姿が浮かんでくるの
深い闇から浮かび上がるのよ
明るく高く

その他のものは光も色もなく
わたしの周りのすべてのものは
妹たちとの遊びも
もうしたいとは思わないの

それよりも泣いていたい
ちいさな部屋の中で静かに
あの方にお会いしてから
目が見えなくなったみ

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