秘密

じんせいこんてぃにゅー。

秘密

じんせいこんてぃにゅー。

最近の記事

花束みたいな恋をした

「花束みたいな恋をした」がNetflixにて配信されてたので初めて観た。脚本が坂本裕二だから気になってはいたけど、こういうタイプの恋愛映画を恋愛感情なんて枯れた今観ても楽しめるのかなあ、なんて思って遠ざけてた。 基本的には恋愛における男女のあるある。それを腕の良い脚本家が解像度を上げて映像化された作品という感想。 作中で恋愛はいつか終わりが来るパーティーだと比喩されてた。最高潮を迎え、越えた先でも穏やかに、密やかに、二人で踊り続けていたい彼女の気持ちと、踊り続けることには

    • 推定少女

      桜庭一樹作品を読み漁る8月 これもまたずいぶん前に買った本を読み返しました。 この一冊が桜庭一樹さんの小説との出会い 当時モラトリアム真っ只中、思春期後半戦みたいな自分にはすごくぴったり嵌ったんだと思う。 なによりもやっぱり、桜庭一樹さんの書かれる少女たちの心情ややりとり、関係性がすごく好き。 大人になることへの堪らない不安、なにものにもなれない自分への葛藤と絶望。どれも抱えていた、むしろ今でも変わらず絶望しているような気がする。巣籠カナとおなじように、結局変わらないまま

      • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

        おそらく、きちんと読み直したのは十年近くぶりかもしれない。 こんなにも悲しくて苦しくなる物語だっただろうか。山田なぎさのやるせなさ、海野藻屑の悲劇、どれをとってもあまりにも無力で、わたしはかつてこの女の子たちと同じように砂糖菓子の弾丸を撃ち続けたり、へっぽこな実弾を持ち歩く子供兵士の一人だったことを思い出した。 担任教師が言う「子供に必要なのは安心だ。」これを至極真っ当だと納得できるようになったのは、わたしが大人になったからな気がした。十年前はきっとなぎさや藻屑とおなじように

        • じごくゆきっ

          じごくゆきっ 過去という呪いを抱えて生きてゆく者たち。桜庭一樹さんの小説は痛みを伴うのに読む手が止まらなくなる。魅惑的です 今日はこのなかの短編の一つである「脂肪遊戯」のことを想った。 "醜さとは謙譲の美徳を発揮するまでもなく、貞操保持を余儀なくされる、神々がある種のおんなたちに与える贈り物" 納得しかけて、そんな救いはなんだか嫌だなと思った。醜くいないと自分自身を護ることができないなんて、そんなのは間違っている。でもそんな当たり前な常識さえ跳ね除けられる世界に紗沙羅は

        花束みたいな恋をした