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推定少女


桜庭一樹作品を読み漁る8月
これもまたずいぶん前に買った本を読み返しました。

この一冊が桜庭一樹さんの小説との出会い
当時モラトリアム真っ只中、思春期後半戦みたいな自分にはすごくぴったり嵌ったんだと思う。
なによりもやっぱり、桜庭一樹さんの書かれる少女たちの心情ややりとり、関係性がすごく好き。

大人になることへの堪らない不安、なにものにもなれない自分への葛藤と絶望。どれも抱えていた、むしろ今でも変わらず絶望しているような気がする。巣籠カナとおなじように、結局変わらないまま気がついたら歳を重ねてる。いつのまにかあのころの戦場からは抜け出していて、でも自分のことは好きになれないまま。

思春期の幻影みたいな白雪と巣籠カナの冒険(放浪)
エンディングⅠのこどものまま放浪を続けるふたりのお話が一番無責任で自分勝手にハッピーエンドで好き。
でも現実を生きながら、ぼくがぼくであったことを忘れないためにときどきドールを眺めて千晴と共に白雪のことを思い返すエンディングIIとⅢはちょっぴり寂しいけれど、もうこどもではない今のわたし自身に刺さる言葉が散りばめられていた。

十代の頃に読んだ作品をこうして十年以上経っても楽しんで読める、そんな作品は人生においてきっと、とても大切なものです。

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