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私たちのワンピース伏線回収の会 vol.1

赤澤えるさんがつくったアートブック・私たちのワンピース。
この本は、見る時間帯や自分の状態によって、見え方が変わってくる不思議な本。
えるさんがこの本は意味ある伏線がたくさん散りばめられていて、その全てに意味があると言っていました。
そこで、えるさんのことが大好きな6人で、自分たちが気づいた部分や人から聞いた部分を共有しあう会を開きました。




①本の入口となるデザイン

一人は、始まりの部分にある5人の少女が私たちのワンピースを纏って写っている写真は、この本の始まりを表していると言いました。
デザインをすべて担当したYOPPYさんから聞いたそうで、写真を重ねることで奥行きを出し、これからこの世界に入っていく感覚に陥るようなデザインになっていると言います。4枚重ねられていて、とても不思議なデザインだったのでそんな意味が込められていたんだと感動しました。


②舌の上に置かれた私たちのワンピース

一人は、これは中毒性を表現しているのではないかと言いました。
そういえば、青山ブックセンターの展示の選書コーナーに、「真面目にマリファナの話をしよう」が置かれていました。あの選書コーナーにあった本は、一見関係ないような本でもすべてこの私たちのワンピースを読み解くヒントになっているとえるさんが仰っていました。
なるほど、見え方が変わってくる…!と盛り上がりました。


③私たちのワンピースのカラバリは、おはなしに出てくる色

一人は、このおはなしに出てくる色は私たちのワンピースの今までのカラバリではないか?と気づきました。
本の終盤に綴られた、えるさんが私たちのワンピースの原型となるワンピースと出逢ったイタリアの小さなブティックのおはなし。ブティックを営むマダムが桃色や眩しい黄色のドレスを着ていたというところを読んで気づいたと言います。
その事を聞いて、皆しばらくそこを静かに読み返し始めました。
そこで、一人がぽそっと
「紙の素材が変わるよね。」
とつぶやきました。
「たしかに、なんで普通の紙とつやつやしている紙が交互になっているんだろう?」
「最後の1ページなんて、紙の色も違うよ。白の明るさが違う。」
8ページもあるおはなし。なぜだろうと疑問に思うほど、ページごとに紙が変わります。この本は藤原印刷さんと一緒につくっていて紙の種類までこだわったとえるさんが仰っていたので、きっと何か深い意味がありそう、と話していました。
皆で、めっちゃ紙触っちゃう・・・わかる・・・撫でちゃう・・・と笑い合いました。


④ゾロ目のページ番号がふってある

一人は、ゾロ目だけページ数が書いてあると言いました。
こちらもYOPPYさんから聞いたそう。ページの下の隅っこの方に本当に薄く印刷されていて、消えかかっているようにも見えるくらいだったので、何人かは全く数字の存在に気づいておらず、驚きの声が上がりました。
33ページと88ページも、写真のページですがうっすらと...。
ゾロ目だけふってあるのは、何か意味があるのでしょうか。


⑤おはなしのページは、ラッピングの包装紙

一人は、おはなしのページはラッピングの包装紙を使われていると言いました。
8/8のオンラインイベントで言っていたそうで、おはなしの部分は色んな紙が使われているのですが、その中でもつるつるのページがそうなんだとか。昔仕事場で包装をしていたから気がついた!と言っていました。
贈り物ってことか・・・と皆でしみじみすごいなあと話しました。


⑥最後のおはなしは、小説のルールを気にしていない

一人は、最後のマダムとのおはなしは、小説のルールは全く関係なく書いていると言いました。
12月17日に行われたえるさんとMICOさんの、私たちのワンピースのクロージングイベントで言っていたそうで、これはノンフィクションだから、実際にあった出来事だから小説の書き方をしていないとのこと。たしかに、頭一文字開けていなかったり、「」の中の文章の語尾に。がついていたりいなかったりとなっています。
でもね、これ、とっても読みやすいんです。読んでいると頭の中に光景が浮かんでくるのです。
そんな時、一人が、過去のえるさんのインスタの投稿を読み上げました。

「ほとんど全てが伏線なので、一緒に回収して参りましょう。損はさせませんが得をするかはあなた次第。
何年もかかっているけど、ようやくひとつお見せできるところまで辿り着けそう。これは体験できる映画のようなものだと感じています。」

2020年1月21日の投稿。ちょうど1年前くらい。”体験できる映画"って、このおはなしを読んでまさにそうだと思いました。



⑦祝意を込めたワンピース

一人は、後半の写真の中に祝意を込めたワンピースが使われていると言いました。
2019年のクリスマスにLEBECCA boutiqueが発売した、お祝いのためのワンピース。生地や柄にこだわり、喜びが多いお祝いの日を美しく彩るためにつくられたワンピース。この生地が写真に使われていました。なんとも美しい・・・。


伏線が見つかるとまた次の謎が生まれる不思議な本。一人で見つけるのも楽しいけれど、それを皆で分け合うとさらに見え方が広がっていきます。

ひとりひとりで、私たち。
三人ならもっと、私たち。
五人ならさらに、私たち。
ひとりでいても、私たち。

私たちはもう、

私たち


本の中にあった文章。
これを実感する会となりました。
また何回でもやろう、私たちで。

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