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岩穴を抜けて海原に出た話(小笠原)

この前の冬、私は小笠原諸島の父島に一人旅をした。

いわゆる傷心旅行にちかい。(失恋ではないけど)自分のだめさ加減に落ち込み、仕事も私生活も人づきあいも何もかも破綻していた。

なぜ小笠原にしたのか、理由は2つ。1,海が大好きだから。2,普通の社会人をしていたらなかなか行けないところだから。小笠原と本州を結ぶ交通手段は船のみ。その船は24時間かけて小笠原について3〜4日小笠原に停泊し、また24時間かけて本州に戻る。つまり、最低でも1週間程度のまとまった休みがないと行けない。

いろいろ、ラッキーな事情が重なり、体とメンタルはぼろぼろだったけど休みだけは取れたので、「いくしかないな」と思った。小笠原経験者の友人にアドバイスをもらい、準備をし、船に乗って出発した。

小笠原と本州を結ぶ唯一の船、おがさわら丸はとってもかわいい船だ。気に入ったので船のグッズを買い込んだりした。この船に小笠原に行く人はもちろん、小笠原に住んでいる人のための食料や日用品も住んでいる。重要な船だ。

船の中ではのんびり海を見ながらビールを飲んだり夕日や朝日が島一つない完全な水平線に沈んだり浮かんできたりするのをゆったり眺めたりしていた。24時間の移動って聞くと最初は「わぁ大変」って感じるけど
実際は仕切られたスペースでしっかり体伸ばして横になれるし
歩き回ってお買い物したりラウンジでお酒飲めたり、と意外と飽きない。
飛行時とかで7−8時間狭い座席に座りっぱなしのほうが大変かも、と感じた。
まあ私は船酔い一切しないから、という大前提があるけどね(酔う人はほんとに大変らしい)

小笠原で過ごした3日間はたくさんの出来事があってここには書ききれない。1つ1つ、丁寧に記事にしていきたい。ここでは1つだけ。この旅のまとめとも言える体験を書くこうとおもう。

父島にはたくさんの入江があって、それぞれ違う表情がありどの入江も本当に良いんだけど、その中でも島の北側の入江に私のお気に入りの浜がある。その浜に、トップの写真にしてる洞窟(というか岩に空いた大きな穴)そこから外海が見えるんだけど、試しに穴の中に入り、そこから海をみてみたら、岩穴の中がくらいので海が更に輝いて見えた。

「そっか、今、つらいことがあったけど、諦めないでこのまま進んでいけばきっと広い海にでるなー」そんな静かな確信が心に満ちた。
その時の気持ちはいまでもしっかりと思い出すことができて私を支えている。

いろいろな人とであい、ウミガメと泳いだりクジラと見つめあったり、きらきらした思い出もたくさん出来たけれど、この旅行での私の心の方向を大きく変えたのは、この岩穴だと、おもうの。



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