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店長候補生◎パレット奮闘記#3【修正版】

店長候補生◎パレット奮闘記 # 3


ここは物語の世界にあるお店
カフェあめだま物語支店。

「自分、この店をどうしたいか、わかりました!!」

ノートに向かい文字を書き示す、店長候補生パレット。
ガマ口鞄はケケケと小さく笑いながらその様子を眺めている

果たして、パレットの創りたいお店はどんなモノなのか。

ようやく物語は動き出す……!……のか?

◆◆◆

店長候補生◎パレット奮闘記
# 3 『最初のページに描くのは……?』

「よし!これで!!自分店長ですね!!!」

バッと開かれたノートをガマ口に突きつけ、自信満々に言い放つパレット。
その声を聴き、掃除を中断した二体のぬいぐるみも興味津々でのぞき込む

「なになに……?」

そこに書いてあったのは *好きが語れる アートカフェ*

「自分!やっぱりしゃべるのが好きなんで!語れるのがいいかなって、だからカフェあめだまのアート展示を切っ掛けに好きを語り合えるカフェにしたいなって思って!」
「ケケケ、30点ってとこだな」
「えー!どうして?!」

うささんがその様子を見て、ビシッとノートを指して
「これだと、かふぇあめだまのぜんたいのてーまとあんまりかわらないから?じゃない?」

誰かの好きと誰かの好きが繋がり、新しい好きが見付かる
そんな創作や表現を語るコミュニティ運営と展示スペースやパフォーマンススペースのあるサロンカフェの実店舗化を目指し活動しているのがカフェあめだまプロジェクト
たしかに全体のプロジェクトとどんなお店にしたいかがあまり変わらない印象があるのは確かである。


「だから、そのコンセプトと自分の「好き」を重ねて、語り合えるをメインにお店を創りたいって思ったんですよ!!」
「んなーことは解ってんだよ!そこから、店のビジュアルや、経費の計算や運営方法、メニューとか広報いろいろ考えねーと行けねーだろうが!」

「へ?」

ここは物語の世界、でも、現実問題、きちんと経営しなくてはいけない!
どうしたいかは重要だけれど、そこからどうするかはもっと重要。

「じゃあ、自分どうしたら?」

現実、パレットは考える、普通に考えたら、未経験の自分をいきなり店長にする方がおかしい
研修もなく、店長が出来たなら、世の中もっとお店が多いはずだ。
どうしたいか聞かれたからどうしたいかを伝えたけど、確かに、ちょっと大きい枠で書いてしまった。

「その為の奮闘記だろうが!」

悩みこんでいたパレットに呆れた様子でガマ口鞄が言う。

「ここから、お前は、好きを語り合える店を実現する為に、学んだ事、考えた事、感じた事をそのノートに書いて行くんだよ!」
「さいしょから ひゃくてん なんてむりだもんね。 がんばろぉ」
「そうそう!」

従業員達の優しい声、自分はここに居ていいんだという安堵、
パレットの出した答えに対しての採点は確かに低かった、でも世の中、点数だけではない、
ここから自分の描いた理想をどう育てていくのか。それが大事だ。
折角自分のお店を持つチャンスに恵まれたのだ、受け入れても貰えてる気がする
パレットはすこしうれしくなって涙がこぼれそうな感覚を覚えた……

「じゃあ自分はここの店長……」
「候補生だ!ケケケ」

それはそうだ、30点で店長は任せられない
うなだれるパレットに対しての笑い声がお店に響く。

「ケケケ!どういう店にしたいかは決まったからな!今からレイアウト変えるぞ!うごけ!おまえらー」

乱暴に言い放つガマ口に対して不満が漏れる

「オレサマは手が無いからなケケケ、うごけうごけー」

こうして、カウンター席から見える棚にもピクチャーレールを付け、メニューや小さな作品を飾り
どの席から見えるように両側の壁にギャラリースペースを設置した。好きな物を語り共有するスペース。
ここに作品を目的に来たお客様やお店が好きなお客様がそれぞれの好きを語り合う。
カウンターでは店員と話しやすい様に、端の方にはグループ客が仲間達と語り合いやすいソファ席を準備した。

ここから、やりたいことは進化し続ける、
書き記す内にやりたいことの輪郭が明確になって行くのを、この時のパレットはまだ知らない。

****

―――あれから、数カ月。
お店の営業が終わる度にノートに向かうのがパレットの日課だ。

「よし、今度こそ。書くぞー!」

金色の髪が照明に当たってキラキラしている、
閉店作業を終えたお店には珈琲と、微かに残るトーストやバニラの香り。
壁には、展示作品を飾るギャラリースペースがある。
今月は「お菓子×動物」をテーマにした作品展。
おいしそうでかわいい作品が数点並んでいる。

ペンを走らせる音、夢の輪郭が少しづつ明確になって行く……。

唐突に、「コンコン」とノックの音が響く。
後ろにまとめた髪が驚いた犬しっぽの様にぶわっと広がる

「……。ビックリした!はい、カフェあめだま物語支店です。」

ガチャっ と扉を開けると
そこにはひとりの少女が立っていた。

「あの、夜遅くにごめんなさい。展示募集の情報を見てお話を聞きたくて」

笑顔で迎え入れるパレット。

新しい好きを秘めた素敵な出会い。
このお話はまたいつか……。


カフェあめだま物語支店はまだはじまったばかり。
店長候補生パレットの奮闘はまだまだ続くのであります。

つづく

◆◆◆

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第2話の1シーンを
いろはねむるさんが描いてくださいました!!!
コラボご参加ありがとうございます!
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