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白いギリシャが嘘って知ってた⁈光だけでなく闇の心を持っていても大丈夫~生き辛さから解放されよう~

私達は、常に正しいことを求められています。勤勉で真面目で禁欲的で。怠惰でいい加減で欲にまみれていることを良しとしません。これは西洋の啓蒙思想から来ているのでしょう。啓蒙思想の原義は「光で照らされること」、理性的な生き方が理想です。これに対して元来日本は闇の文化を大切にしていました。西洋の光の唯一主義に対して、東洋は陰陽統合、光だけではなく闇も同等に扱ってきたのです。本来人間は正も悪も併せ持っています。欲のない人間などいないのに、それを否定する抑圧的な社会になりました。第二次世界大戦を経て、欧米追従が精神世界にまでおよび、それが現代の生き辛さを招いているのではないでしょうか。

ところがこの光の西洋思想、怪しくなってきたのです。
西洋文明発祥の地は古代ギリシャと言われています。歴史をみると、古代ギリシャとう国は存在せず、1500ほどの都市国家の共同体でした。やがて古代ギリシャ人は自らローマ人と名乗り、ギリシャは自然消滅します。その後しばらくの間ギリシャという国も民も存在しませんでした。ギリシャが初めて国家となるのは、1830年、ギリシャ王国が誕生した時です。古代ギリシャという輝かしい文明の子孫を標榜するこの国家成立への機運は、欧州にとって当時の脅威であったオスマントルコ帝国対策だけでなく、日本やインドなど他の古代文明をもつ地域に対して自らの文明の優位性を説く絶好の機会になりました。そこで古代ギリシャを自分たちの理想の世界にするべく捏造がなされたのです。

大英博物館スキャンダル~パルテノン神殿は白色ではなかった~
ギリシャといえば青い海と白い神殿をイメージしますが、これがそもそも捏造の産物でした。パルテノン神殿は元々極彩色だったのです!それを白色が良いと考え、大英博物館の職員が色を剥がしたという証言が残っています。なぜ白が良いとされたか。西洋文明の良さを象徴するからと言われていますが、私は、極彩色が他の文明~地理的にも多分アフリカ系だと考えられます~を想起させ、古代ギリシャが西洋文明発祥の地とするのに都合が悪かったからではないでしょうか。西洋人として、自分たちのルーツがアフリカ諸国だとしたらまずいので、削って隠したのでしょう。

アポロンは光明の神
有名なギリシャの神様に、アポロンがいます。彼は光の神です。どのような光かといいうと、NASAがアポロを太陽の神と勘違いしたので物理的な光と思われがちですが、そうではなくて「光明」、精神的な光なのです。啓蒙思想を体現したような神様です。

デルフォイはアポロンのみの神域ではなかった!
さて古代ギリシャには、世界の中心と考えられていた地にデルフォイの神域がありました。ここは戦争など国家の政治に関することから結婚など個人的なことまで、神がご神託を授けるところでした。そしてこの重要な地の神が、先ほどのアポロンでした。ところがここを治めていたのはアポロン一人だけではなく、隠された神がいたのです。デルフォイのご神託は夏のみといわれてきました。確かに夏はアポロンでしたが、冬はディオニソス(バッカス)が務めていたのです。アポロンは理性・光明・道徳・節度・秩序。ディオニソスはお酒が有名ですが陶酔・狂気・忘我・無秩序・直観の神様です。近代西洋人はデルフォイには光明のアポロンしかいないとしましたが、実は闇のディオニソスが、この相反する神が同等にいたのです。古代ギリシャは、光と闇を同等に位置づける、つまり東洋と同じ、陰陽統合の世界観だったのです。

光のみ求められたことが生き苦しさの原因
私たちの心の中には光も闇も両方があります。しかし闇の心を持ってはいけないように教育されてきました。こんな悪い心をもってはいけないと自分を責め、こう在らねばならないと自分を律し続けてきました。それが私たちを生きにくくさせてきた原因の一つではなかったでしょうか。しかしそれは近代西洋人が課した、理想像のひとつにすぎなかったのです。しかもそのルーツとされた文明は、本物の古代ギリシャとは全く違う、近代西洋人が作り上げた偽物の世界観だったのです。

啓蒙思想からの解放~陰陽統合で完全な人間性を取り戻す~
これからは心の中に闇があっても自らを責めることはありません。それは犯罪など悪いことをして良いと言っているわけでは決してありません。心の中は自由なのです。そして、この不自然に抑圧されない自由さが、結局は実際の悪の行動から私たちを遠ざけてくれることになるのです。光があれば当然闇があります。それが自然です。闇をないものとすること、それこそが不自然なのです。近代西洋文明がなぜその不自然な道を選んだのか。ここにも隠された、私たちが見えなくさせられていた世界があったのです。これがわかった今、私たちは啓蒙の呪縛から解放され、本来の人間性を取り戻す時なのではないでしょうか。闇の心があるから歪なのではありません。闇の心を認めてこそ欠けのない円になるのです。

おまけ1 理性と本能
この話を友人にしたところ「本能」という言葉が出ました。ディオニソスは直観の神でもあるので、心の光と闇を、理性と本能と捉えるのもいいと思いました。

おまけ2 ギリシャあれこれ
古代ギリシャは民主主義の発症の地でもありますが、都市国家規模だからできたものといえるでしょう。ビーナスもいまでこそ美の女神ですが、少し前は愛欲の邪心とされていた時もありました。古代ギリシャ人は男色が公式なお作法とされていたそうですし、古代ギリシャとその神々は興味深い話がたくさんあります。ところで、「大英博物館スキャンダル」、数年前はウィキペディアに載っていたのですが、今は削除されているようです。隠されて、見えない世界に追いやられたもの、これを見ようとする姿勢が大切なのです。

見えない世界を見ようとする姿勢が大切と書いたnote

こんな楽しい古代ギリシャについて教えてくれた本

近代ギリシャ建国の大変さがわかる本


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