![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/138243287/rectangle_large_type_2_e94f4cf72aed49bc8a9a51d2e975edf8.png?width=800)
わたしが還る場所
もう何年ぶりになるだろうか、ふるさとの地へ足を運んだ。車で行けば1時間ほどで行くことのできる距離に住んでいるが、祖父の葬儀以来行っていなかった。
私にとって、このまちはずっと「かえってきたい」場所だった。今は違う県の違うまちに住んでいるが、数年後かもしれないし、数十年後かもしれないけれど「ここに戻って骨を埋めたい」「この地に還りたい」と思っていた。だが、今日、数年ぶりに戻って「もうここは私の帰る場所ではないんだな」と感じてしまった。それはたぶん、あの地に戻るには私はすこし、汚れてしまったのだと思う。ほんのすこしずつの、たくさんの後ろめたさが、私の気持ちをクイッと後ろに引っ張る。
私にとって、私のふるさとはとてもきれいな場所だった。それは今も変わらず美麗だった。きっと、私があの地へ戻ることはないのだろうけれど、こうやって懐かしい気持ちをそっと抱きながら、足を運ぶくらいなら許されるだろうか。
--
このまちはどうやら「まちづくり」が進み、若い人による「再生」が始まったようだった。私はずっと、その枠に自分がいることを願っていたのだと思う。でもこれもタイミングや縁のもので、きっと、私の運命ではなかった。私の大好きなこの地は彼らに託すとして、私は私のまちを、また探そう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?