記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

創作物感想録⑤:モンスターズ・インク

見終わった後には自然と拍手をしてしまう。モンスターズ・インクはそれくらいの名作だと感じた。

世界観の説明が丁寧で分かりやすい

物語の舞台は、モンスターの世界で、その世界のエネルギー源は人間の子供の悲鳴であるー。という世界観をまず説明する必要があるのだが、その説明の仕方がとても分かりやすい。ナレーション等で説明するのではなく、
・モンスタズー・インクの新入社員への研修
・モンスターズ・インクのCM
を通して世界観を説明している。双方のシーンで、色々なモンスターが出てくるので、飽きずに説明を見ることができる。

そのうえ、CMに関しては、キャラクターの説明まで兼ねていた。
CMを通じて、マイクとサリーの二人がモンスターズインクの社員であることが明らかになる。また、サリーのソロのカットがあり、優れた社員であることを示唆している。
そして、CMが流れることを楽しみにしている描写&自分が見切れていたにも関わらず喜んでいる描写を通じて、マイクの陽気なキャラクターも見事に表現している。(見切れていたにも関わらず喜ぶマイクの反応は予想外だったが、この細かいことを気にしないマイクの性格があるからこそ後半の和解のシーンも説得力がある)

敵役の設定が妙

本作の敵役はトカゲ?のランドールだが、このランドールのキャラ設定が物語を盛り上げていたと思う。というのは、彼は自信を空間や背景と同化させるカモフラージュの能力を持っており、この能力のおかげで、見ている側には何かと緊張感が走る。サリーとマイクとブーのシーンであっても、実はランドールが息を潜めているのではないか…と。

ついでにいうと、あのスルスルっと移動するトカゲっぽいムーブも個人的には好きだった。

サリーの反応を楽しみに待つシーンが多い

これは面白い要因というよりは気づいたことだが、本作ではサリーの反応を聴衆が楽しみに待つ、というシーンが多かった。
・ブーがサリーの背中に引っ付いてるシーン(サリーは気付いていない)
・ブーが廃棄場でプレスされるシーン(実際にはブーはいない)

作中の人物が知らないことをこちらは知っている、という状況を生み、その状況が「作中の人物はどのような反応をするのだろう?」という期待感を生む。そんなシーンが多く作りこまれていたように思う。

ただこれは、読者がサリーのことを好きになっていることが条件であると思う。サリーのキャラクターをよく理解できるシーンが事前に必要だ。そのためのシーンとして、サリーと新入社員のやり取りがある。サリーは緊張する新入社員に対して、温かく接する。(サリバンではなくサリーと呼ばせたり、適当にあしらうマイクとは違い別れの挨拶を述べたり)

このシーンがあるから、サリーのことを好きになれたのではないかと思う。

細かいシーンのこだわり

細かいシーンで読者を楽しませる工夫があったように思う。
・子供の靴下を爆破して処分する(大げさな演出でどこか笑える)
・ドアの収納庫でのアクションシーン(スリル感を演出)
・ドアを使った逃亡シーン(次はどこの国に繋がっているのか?というワクワク感を演出)

物語の締め方

物語の最後は、サリーがブーに再会するシーンで終わる。
ただし、そのシーンではブーの姿は見えない。
見ている側としては、ブーの姿も映して欲しかったが、敢えての演出であろう。見る者の好奇心(続きが見たい)や想像力(きっとこういうやり取りをするんだろうな)を刺激して終わる演出も素敵だった。

最期に

本当に素晴らしい作品で、笑いあり涙ありでした。
ただ、物語のラストでマイクのゲップネタを見た子供が爆笑するシーンだけは理解不能でした!



この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?