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ビジネス会話改造論9~ビジネスの鎧・兜語

『月刊機械技術』連載中のコラム。雑誌では、ページの都合で元原稿が少し短くなっています。ここでは、雑誌の了解を得た上で元原稿をUPします。
今回は6月号(第9回「ビジネスの鎧・兜語」)。途中まで無料で読めますよ(定期購読マガジンの方は全部読めます)。

現在出ている7月号には、次のコラム(第10回「カタカナ語で煙に巻く」)が載っています。書店で手に入ります。読んでいただけると嬉しい。

では、6月号掲載コラムの元原稿をどうぞ。

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ビジネス会話改造論 
(ビジネスのヨロイ・カブト語)

よく「スーツはビジネスマンの甲冑=ヨロイ・カブト」だと表現される。
たしかに、ビシッと決まったスーツに、パリっと糊がきいたワイシャツ、ネクタイ、そして革靴は、全身を隙なく守る甲冑だという感じがする。
さらに、胸の内ポケットに忍ばせた名刺入れには弾丸よろしく名刺が込められており、片手には盾ともおぼしきビジネスバッグを持ち、その中には情報戦を戦うノートPCが入っている。さながらビジネスマンの七つ道具だ。常在戦場なんて言葉も浮かんでくる。

逆にいえば、ふだんはジーンズにTシャツ、あるいはヒップホップファッションの学生でも、就職してスーツにネクタイを締めれば、それなりのビジネスマンに見えてくるということだ。
「馬子にも衣装」ならぬ、「学生にもスーツ」。

もっとも、外見はそれでなんとかなっても、いざ喋ると「オレは…」「僕は…」だったりすると、すぐにメッキが剥がれてしまう。そこで、一人称は「私は…」を使う。さらに「御社は…」「弊社は…」などそれまでの人生で使ったことがない言葉を使うと、新人でもなんとか形になる。

外見におけるスーツとネクタイがそうであるように、言葉においても、人をビジネスマンっぽく見せる単語や言い回しがあるということだ。たいていの場合、日常生活では使わない特殊な言葉。
それはビジネスという戦場において自分を守り、相手になめられないためのヨロイでありカブトなのだ。

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