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[紀行]イギリス編②English breakfast


2日目の朝。
この日はもう、行き先を決めていた。

ちなみに行き先を決めている日の私の寝起きの良さたるや、自分でも驚くほどである。

旅といえば、朝。
朝ごはんにこそ、旅の醍醐味が詰まっている。

そう思いやしませんか?(誰向け?)

はっと起きて、ここが普段の家ではないことに気づき、昨夜この地に着いてからのことをぼんやりと思い出しながらおもむろに支度をして、お腹をすかせて街に繰り出す

そう、その時点から!
旅の朝ごはんは、始まっているのだ!!!

___という具合には朝を大切にしています、私。テーマ「朝ごはん」で10万文字は書けるわ、知らんけど。

まぁ とにもかくにも、朝ごはん(とりわけ旅の2日目の朝ごはん)への愛が深めなもので、この店だけは行くと心に決めていて、珍しく下調べをしていました。

Regency Cafe


宿からは歩いて20分ほど。
気持ちの良い朝のお散歩にはもってこいの距離感。

それにしてもロンドン滞在中のほとんどの日が爽やかな快晴で、気候も過ごしやすくて、本当に気持ちの良い毎日だったなあ。
聞くとその前の週とかは天気の悪い日が続いてたみたいだから、運が良かったみたい。

___

して、目的地到着。
扉から溢れ出すように人が並んでいたので、目印がなくともすぐに分かった。

店内
店外


着いて確信。

でたーーー!好きな店ー!!!!!!


街角に密やかに佇むその空気感しかり、音楽の無い中でも心地良い 朝の落ち着いた喋り声、店の歴史を感じさせる写真やポスター、地元客と観光客入り混じる空間、そして何よりも、圧倒的客数をさばきまくる名物マダムの存在....!いやその人が名物かどうかなんてのは実際分かり得ないのだけど、それでも。

"愛される地元食堂"のそれら要素が揃い過ぎている....!これが長きに渡りこの場所で脈々と育まれてきた歴史と文化なのかと思うと、もう、愛が止まらない。

マダムの何が凄いかをもう少し書き綴りたい。

店内正面のカウンター
ここで客は初めて注文するので
それまではずっと店を縦断する形で並んでいる


並んだ瞬間から、次から次へと後ろへ増えていく客の数に、最初はビクビクしていた。

でも、よく見ていると、ずっとスムーズに列が進んでいることに気付く。そして、みんな注文してから席を探すのだけど、誰も席が無くてウロウロするようなことがない。
かといって、"めちゃくちゃ空席があるのに皆が料理の提供を待っている"みたいな状況でもない。

本当に絶妙に、客が席を立ったところに次の客が入っていくようなリズム。
そしてそれを、どう見たってコントロールしているのが、かのマダムなのである。

音楽の無い店内に唯一はっきりと響くマダムの客を呼ぶ声が、この店の秩序をつくっている。 

ような気がした。


カウンターで注文をして、その場で先にドリンクとパンを受け取り、その後に席を探して呼ばれたら再度カウンターに料理をとりに行く というシステムだった。

メニューは豊富にあったけど、朝のスタンダードはやはり「フルブレックファースト」。多くの人がそれを食べにきているし、私もそれを食べに行った。

その中にも付け合わせが豆だとかトマトだとか選択肢が色々あるんだけど、それはもうきっと歴戦のキッチンスタッフさんたちが半端じゃないスピードでかっさばいてるんだろうと容易に想像ができた。だって、みんな戦士たちみたいだったんだもの。

パンとミルクティーを受け取って、ドキドキしながら席で待って、いざ自分と思わしき順番が呼ばれたので受け取りにいく。(名前じゃなくて注文した料理で呼ばれるので確信がないけど、前後の人を覚えてるので皆なんとかなる)

sausageとbaked beensのセットに
大好物hash brownを追加。
この写真1枚に好きが詰まっておる!


どどん!
はい!好きー!!!

陽の入る窓際、ギンガムチェックのカーテン、好物しか乗っていないお皿、絶妙なバランスのミルクティー、金色のスプーン、こんがり焼かれたトースト....!あーーー好き無理もう一度食べたいお腹すいた無理

キュートな三角形の hash brown こと、大好物ハッシュドポテトは、追加メニューであることを列に並びながら推測していた。

今までの人生で"アレ"のことを"ハッシュドポテト"としか呼んできていない私。

___「Could I get hash brown?」と聞いた時、私はすこし 大人になった気がした___(なってない)

優しい味の豆の煮込み、肉肉しいワイルドなベーコン、ハーブ香るソーセージ、絶妙な焼き加減の目玉焼き。もう、これだから朝ごはんって好き。

カウンターでマダムに手渡されたミルクティーは、作成時間 体感0.5秒。
少々ミルクを入れた(0.1秒)マグカップに、銀色の大きなポットから注がれる(0.4秒)紅茶。
それがまあ絶妙な甘さとミルキーさで、思わず顔がほろっと解けちゃうような、とにもかくにも"いい具合"。

これがロンドンっ子の常なのか...!と思うと、それだけでロンドンに住みたくなってしまった。

そしてもう一つのテンション爆上がりポイントが、これ。

トーストの下に....個包装バター...だと.....?

着席するやん?
さ、食べよ!ってするやん?
トースト見るやん?

いい具合に溶けてるやん??!?!??(大興奮)

いやもう、こればっかりは分からん!
たまたまかもしれませんし?
第一、[toast or bread]の選択肢で、breadだと焼かれてないパンらしかったから(どっちもbreadやんって思って困惑してたけど周り見た感じそうだった) toastにしたんだけど、breadの方ならこの技は成り立たないわけだし?

でもでも、このささやかながらに素晴らしい技は、名店あるある「長年の蓄積により築き上げられた神オペレーション」のひとつであろうと、私の胸にはしかと刻まれました。

はあ。良い体験だった。



朝ごはん好きとして、なぜ今まで「イングリッシュブレックファスト」に目が行ってなかったのだろうと、自分が不思議でならない。

おそらく、世界で一番有名な"朝ごはん"なのに。

小さい頃からイングリッシュマフィンが大好きだったのに、イングリッシュマフィンはenglishの物だと考えついていなかった。

いやむしろ超熟のCMのおかげで北欧の印象さえあった。(かもめ食堂のやつ。超熟イングリッシュマフィンのcmはmy best cmランキング堂々の1位です。なぜなら美味しそうだから。2位は Cook Doの回鍋肉かな、美味しそうだから。)


来るべきは、ロンドンだったじゃないか。

などと、私がロンドンを訪れた必然性を勝手に感じながら、店を出ました。

とても、とても良い朝だった。

おしまい

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