ぞわぞわする、自分の中の「自由」を拡張してくれる雨の中の元路上生活者ダンスと即興演奏
2017年10月21日14時〜
「井の頭公園ライブ&パフォーマンス」新人Hソケリッサ+テニスコーツ
ぞわぞわする。
演者も観客も土の中から生まれたみたいだった。
みんなが、参加者。
席があるわけでもないし、三々五々集まって、自分の都合で帰っていく。どこで見るのも自由だし、どこに踊りに来るのかもどんな演奏をするのかも自由。
彼らが何者なのかはプロフィールを読んだ方が早いと思われるのでまずはこちらを。
<テニスコーツ>
1996年頃結成。さや(ボーカルほか)と植野隆司(ギターほか)によるバンド国内外の多数のレーベルからの作品発表やツアー・ライブを重ね、さまざまなバンドやミュージシャンとのコラボレーションも多数。長年のキャリアがありながらも、いつも結成当初のような状態で、全く型にはまらない温かくもクールな活動と演奏を続けている。
http://aokikaku.info/node/84
<新人Hソケリッサ!>
「ソケリッサ!」この言葉は造語で「それ行け!という言葉の勢い、前に進む」という意味を持つ名前です。メンバーは出演をするアオキ裕キ、そして路上生活者および元路上生活経験者で構成されており、ダンスを主とした肉体表現を行います。路上生活経験の記憶を持つ身体から何が生まれるのか、我々が人前に立ち踊ることで何が起こるのか?これらの視点を持ち、2005年より参加者を募り、舞台公演や路上などでパフォーマンスを主体とした活動を行っています。
http://sokerissa.net/content/ソケリッサ!とは
より
雨の降りしきる中、本当に開催するの?と思われた公演。やるよ、という主催者のツイートを見て頑張って会場を目指す。そもそも「松本虎雄訓導受難碑付近の林」ってどこだよ・・・という不安。吉祥寺の駅から吉祥寺通りを公園方面に進むと、レインコートきたスタッフの方が立っていて「あ、やってる」と安心した。
14時を5分ほどすぎて到着すると、すでに始まっていた。
ただの林の中に、レッドカーペットが敷いてある。
テニスコーツの構成は、アコースティックギター、チューバ、ピアニカ(複数)、ソプラノサックス、アルトサックス(複数)、その他いろんな楽器。
基本的に音楽はテニスコーツのさやさん(ボーカル、ピアニカなど)主導で行われていたようだ。大まかな構成や、持ち曲はあるのだろうけれど、ダンスや観客の状況に合わせて、即興で音をどんどん作っていく。雨の中で、ゆっくりと探りながらトーン、トーン、と置かれていくのが、ダンスの動きと一緒にとても素敵だった。
リズム隊はビニル傘をさしたチンドン屋さんの持ってる太鼓で、可搬性の可能性にびっくりした。そっか、ああやればいいんだ。
ソケリッサは友人が撮影していたダンスの写真のパワーと躍動感にびっくりして、すごく見たかったのだ。
写真とは、ちょっと違った。
というのも、あまりにも一人一人の個性が強いので、1枚2枚で1人にフォーカスされていたイメージとは違うイメージの人も当然いるのだ。
濡れた土の上で踊る彼らは、土着系の踊りのように見えながらも確実に空気を読んで流れを作っていて、何だか不思議だった。BATIKや珍しいキノコ舞踊団などのコンテンポラリーダンスも好きでたまに見に行くのだが、あのよく訓練された人たちの「自由」は全く違う「自由」がそこにはあった。
誰がいつ入るのかも自由なように見えたが、実際にはセンターの順番くらいはあるのかもしれない。メンバーの中の、ダンスの上手い下手は確実にあった。これは、ベーシックスキルの訓練回数と舞台回数の違いなのかなあ?
写真で見た人たちはその「上手い」組だったようだ。そもそもそこにいるだけ圧倒的な存在感があるし、止めとハネの使い方がすごく綺麗。それでいて、先述の空気を掴む感覚は、一般的なダンサーとは何かが違う。
言葉を尽くしても。
自分のメモにしかならない。
はー。
自分の「自由」の枠を軽々と超えて来る組み合わせだった。大変楽しかった。
雨さえも、演出の1つとして気持ちよく感じた。
時間の関係で最後まで見られなかったのが悔やまれる。
ソケリッサも、テニスコーツも、また見に行こう!
この記事が参加している募集
いただいたサポートは記事を書くネタに使わせていただきます!よりすっとぼけた分野に早く早くつっこんでいきます。