#282 成果

秋が深まってきた頃、予備校で毎週行われる校内模試の点数も安定してきた。僕は自分の現時点での力を試す為、他予備校の全国模試を受けることにした。早稲田予備校よりも大規模で行われる代々木ゼミナールの早稲田大学模試を受けた。
臨場感を出す為、試験会場も早稲田大学を借りて行われた。
実際の受験を思わせる雰囲気で行われた。本試験との違いは学部毎に日にちが分かれて行われるのではなく、同日で試験問題は全ての学部志望者同じもので行われたことだった。
校内模試ではない小論文もあるので有難かった。
小論文は予備校で講義も校内模試もなかったので、ほぼほぼ独学だった。
小論文の題材となると思われる時事問題や社会問題を新聞や本で調べ、問題意識を持って考察するトレーニングを行っていた。
僕の学力もかなり向上し、安定してきていたが日々の勉強時間がまだまだ足りないと思いながら細切れ時間の活用をより大切にした。
電車での移動時間がやはり一番、有効活用できる時間だった。
日々時間に追われ、毎日を過ごしていた。ある日忘れた頃に早稲田大学模試の結果が寮のポストに届いていた。
階段を上り、2階にある自分の部屋に入ってすぐに代々木ゼミナールから届いた封筒を開封した。封筒の中にある模試も結果を見て、思わず驚きと嬉しさで大きな声をあげそうになった。思っていた以上に結果が良かった。
英語は偏差値68、国語は65、そして小論文は63だった。
第一志望の人間科学部は全国で一桁の順位でA判定が出た。
昨年一年の猛勉強と新聞奨学生をやりながら必死に勉強してきた成果が実った。僕は嬉しくなって、隣の少年と夕食を食べに行った際にこの模試の話をした。少年は聞いているか聞いていないか分からないようないつもの感じで
「そうですか~~良かったですね。」と答えるだけだった。
とは言え、少年が自分自身勉強と向き合い切れていないことに対して焦りの様なものを感じていることがはっきりと伝わってきた。
続く…

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