#307 同じクラスに甲子園優勝投手

大学のクラスは教養演習という名目で初日の講義が行われた。この日はホームルームで担任教授の挨拶と生徒一人一人の自己紹介がなされた。
同じクラスの一人に春の甲子園で優勝した帝京高校の投手がおり、女子達がざわついていた。(後にドラフトで巨人入り)
残念ながらこの日は欠席だった。
僕が高校時代ラグビーをやっており、ラグビー部の新人練習に参加していることを話すと何人かの同級生が話し掛けてくれた。
こうして平和な大学生活の時間が静かに過ぎていった。
現役で入学してきた者から浪人して入学してきた者まで多岐に渡っていた。
同じクラスの同級生と親睦を深める為、学食で集まって話をしていた時は新人練習の苦しさも忘れることができ、気持ち的に寛げた。
1限から5限までフルで講義に出席し、家に帰った。
極度の筋肉痛は収まらず、階段を降りる時が一番きつかった。
とにかく僕は心身共に余裕のない苦痛を新人練習で感じていた為、心が休まる気がしなかった。
大学まで自宅まで2時間近く掛かるのはとても遠く感じたが、行きは池袋から小手指まで座ることができたので読書したり、ぼっーと物思いに耽ったりする時間に充てた。
僕は帰宅し、明日から再開される新人練習に備え、ストレッチとお風呂にゆっくり浸かることをした。少しでも良いコンディションで臨めたらという思いだった。
2浪の末、ようやく目指してきたラグビー部入部の為の新人練習に参加できているのに、この時僕は本当に余裕がなく一杯一杯になっていた。
家でも口数少なく、暗い雰囲気だった。
寝る時間になり、布団に入ると明日の新人練習の事を考えるとやはり気が重くなった。ラグビー主務が言った「ラグビーが上手いと思っている奴は日体や明治にいってくれ」という言葉を思い返した。ラグビーが上手い者を集めないから最近大学選手権で優勝できていないのではないのかと思った。
ラグビー部主務はとにかくタイム走で時間を切れる奴のみが残ってくれればいいみたいな事も言っていた。
続く…

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