#277 憂鬱な夏休み

浪人生として予備校生活は1浪の時に比べて、講義も活気があった。
1浪時は僕と六ちゃんの二人で講義を受けていた。
大勢の中で予備校教師も人気や支持獲得の為、創意工夫のなされた講義を展開していた。
その事は予備校講師が人気稼業であることを印象付けるには十分な事であった。
毎週行われる校内模試も早稲田大学を目指す多くの浪人生同士で競い合う
もので、刺激も緊張感も段違いだった。
毎週、校内での順位が明確になる。
僕は嬉しいことに1浪目での頑張りの成果が実り、毎週コンスタントに得点を取れる様になっていた。
とは言え、早稲田大学合格可能性をより強固なものにする為に更に質量共に勉強する必要は日々感じていた。その為、中々思い通りに取れない勉強時間に焦りを感じながら必死に細切れ時間活用に着手していた。
7月末には予備校での前期が終了し、夏休みに突入。夏季講習が始まった。
後期は九月からとなり、前期の成績でクラス分けが行われる。
夏季講習は自分が必要な講義を選択し、受けるスタイルだった。
夏季講習は現役の高校生も一緒に受けるので、普段の講義とはまた違った
緊張感があった。現役生は12月から試験前までに一気に伸びると言われているので、そうした現役生に負けない様に可能な限り浪人生は学力を上げる必要があった。
夏休みは新聞配達で夕刊配達もあったので、午前中講義を受けた後すぐに帰らなければならなかった。夏休みの1カ月ちょっと朝刊と夕刊の配達があるのはかなりハードな生活を余儀なくされた。一日の疲労度も高く、午後の自習時間が丸々なくなるので勉強時間もより少なくなってしまい、夏休みは試練となる期間だった。
ただ良かった点としては夕刊は朝刊に比べてチラシもなく、1部1部が薄く配達件数も少なかったのでその点では朝刊よりは楽だった。しかも明るく薄気味悪さも怖さもなかったので気持ち良く配達できるのも有難かった。
やはり深夜の墓地と昼間の墓地とでは全く違う景色だった。
続く…

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