#276 苦難との闘い

新聞配達において数々の苦難に見舞われた。もちろん心がほっこりする様な良いこともあったが、圧倒的に苦難の方が多かった。
単にお客様のポストに新聞を投函するだけのはずなのだが、投函するだけで終わらない苦難が待ち受けていた。
ここで書くことが出来ないようなことも多々あった。
あるお客様で老夫婦のお宅への配達があった。そこは基本的には老夫婦のみが住んでおり、何の問題もなくただただポストに投函するだけだった。
ある日、息子さんが実家に戻ってきていた。その息子さんは両親に怒鳴り散らして暴力を振るうと近所でも有名な方だった。
僕が新聞を配りに行くと、その息子さんが家から出てくるか待ち構えているかしていた。難なく新聞を渡すとお礼を言われ済むこともあったのだが
いろいろ話を始めたりしてねっちっこく絡まれ場合が多くあった。一番困ったのはスポーツ新聞を売って欲しいという要望で、基本的に余分に新聞は持ち運んでおらず、そういったこと様に余分な新聞を持ち運ぶことも禁止されていた。
丁重にお断りするのだが、一気に機嫌が悪くなり、怒鳴り散らされる日が続いた。数日後、ヘルメットの上からではあるが、殴打されたこともあった。
指導係の配達員に相談したのだが、契約しているお客様だからどうすることもできないと言われてしまった。仕方なく、その方が出てこないことを願いながら配っていた。その家は路地の奥にあり、バイクを入れるバイクを折り返して出来なければならず、退散するのに時間を要してしまう。その為、路地前にバイクを止め、掛け足で配りに行っていた。新聞を無理やり引き抜かれそうになったことも一度や二度では済まなかった。
その方が荒れている時は大体酔っぱらっている時だった様だ。2~3カ月実家に滞在しており、その間はなんとか苦難と立ち向かっていた。
他にも凶暴そうな犬が玄関近く配達時に届きそうな距離まで来る家もあり、犬が苦手だった僕としてはかなり困った。一瞬の隙をついてダッシュで犬の前を通り抜け、ポストに投函しなければならなかった。
続く…


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