#283 確固たる信念

僕が2浪していた当時は携帯電話もPCもまだ普及しておらず、連絡手段は固定電話か手紙に限られていた。よって、家族を除いては頻繁に連絡を取り合うことは無かった。友人とは年に数回の手紙でのやり取りがほとんどで、電話で話すことはほとんど無かった。同級生は大学2年生か一浪を経て大学1年生になった人がほとんどだったので、僕は1浪の時のような手紙でのやり取りは減っていた。大学生としての新しい生活が始まると、そちらの生活が優先され過去を振り返っていることは減っていくだろうとまだ浪人生の僕でも察しがついた。僕も日々時間に追われていたので、手紙をゆっくり書いている時間が中々取れなかったので丁度良かったかも知れなかった。
8月の夏休みの時、北海道の実家に高校のクラスの同級生の女子二人組から僕宛に電話が掛かってきた事があった様だ。母曰く、誰か覚えていないということで、未だに誰だったのだろうと考え続けている。(もちろん、冗談)
どうも同窓会参加中に掛けてきてくれた様だった。僕のことを密かに思ってくれていた女子なのか単に懐かしくなって二人で掛けてきてくれたのかは定かではないが当時は気にかけて貰えて嬉しかったことを覚えている。
19年暮らしていた北海道の故郷を離れ、単身で新聞奨学生をしながら予備校へ通っていた時に感じたさみしさや孤独感はふいに襲ってくる中々手ごわい相手だった。台風が来て大変な思いをして深夜に新聞配達をすることも4~5時間睡眠で睡魔と戦いながら予備校の講義を受け続けてこれたのも、早稲田大学に合格してラグビーをしたいという強い目標があったからである。
少しの迷いのない強い思いが確実に僕を動かしていた。
例え、ヘルメット越しに殴られようとも、谷底に配達用バイクが落ちてしまっても僕の心が挫けることはなかった。
大学合格し、ラグビー部に入部して大舞台で活躍する姿を思いを馳せ、日々積み重ねていくことを厭わなかった。
続く…

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