#312 花園出場という肩書

同級生Kがラグビーサークルの先輩たちに僕が来ることを話してくれていた様だった。僕の「高校時代、花園に出た」という経歴は注目を集めるものだった。
早稲田ラグビー部の新人練習でさえ、僕が花園常連校出身というだけで何人かが声を掛けてきたくらいだ。同級生Kがサークルの先輩たちや同級生に話してくれていた為、僕は先輩たちから次々と声を掛けられた。
新人歓迎会では一躍注目の的となった。先輩方が入れ代わり立ち代わりで僕が座っている席の近くに寄ってきた。「是非、当サークルに入って欲しい。」と口々に言ってくれた。
僕があまりにも先輩たちからちやほやされていたので、同級生Kとその仲良しの同級生Sは自分たちがラグビー経験がないことを悲観していた。
他の新入生たちともたくさん話すことができ、大学に入学して初めてお酒も飲むことができた。みんなにちやほやされ、僕はとても気持ち良い時間を過ごした。僕はこのラグビーサークルに入会することにした。
同級生Kと同級生Sに「これから一緒に頑張ろう!」と言った。
彼か二人は少し意気消沈していた様だった。
早速、この週末に試合がある様で参加することになった。ラグビー経験のない同級生Kと同級生Sは少しずつ練習を行ってからデビューを目指す様だったが、僕や高校時代にラグビーをやっていたものは先輩たちに交じって数人試合に出ることになっていた。
僕は花園以来となる試合に不安がないと言えば嘘になるが、一方で久々にラグビーができることにワクワクもしていた。ラグビーらしいことはほとんどさせてもらえず、ただただ走ることが中心だったラグビー部新人練習。
それがラグビーサークルではいきなり試合に出れるという対照的な事に驚いた。僕は新人練習で負った筋肉痛も徐々に回復していた。
週末の試合に向け、僕は家の近所を少し走った。取り敢えず、ラグビーをする環境を得たことは素直に嬉しかった。僕は浪人中にすっかり落ちてしまった筋肉を取り戻す為にフィットネスジムに通うことにした。
続く…



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