早く上達したいなら見て学ぶこと

会社に就職して研修が始まっています。今回は研修中に気づいたことを書いていきます。現在、僕は製造現場で研修をしているのですが、指導者が必ずしも正しいことを教えてくれるとは限りません。それは、本人に悪気があるのではなく、特に熟練の職人だと感覚でやっている部分が多いため、うまく言語化できないのです。こちらが「こういう理解であっていますか」と聞いて、初めてそういうことだったのかと理解することもあるようです。

以前はなぜ僕がK先輩の話を聞きながら、理解を深められたのかうまく言語化できませんでしたが、今回の体験でそれを言語化できるようになったので書いていきます。(詳しくは以前の記事で)

早い上達のための前提

以前にも書きましたが、応用ができるための基礎知識を手に入れるためには正しいものの見方で、その物事を見て、原理原則を導き出すことが大切です。特に人から正しい理解モデルを教えられるのではなく、自分で見つけ出す場合には知識の一般化が必要になって来ます。しかし、自分で学ぶ場合には認知の誤謬が発生し、間違った基礎理解モデルが作られることがあります。最初に自分で学ぶ場合は正しいものの見方で学べるとは限りません。そのため、最初の見方のまま次の情報を集めると、どんどん間違った方向へ理解が進んでしまう可能性があります。さらに、質問する場合であっても、自分が正しいと思いこんでいるものの周辺情報だけを探してしまう"確証バイアス"というものにハマり、どんどんと自分が想定している範囲の情報しか集められなくなっていきます。

正しい基礎知識を教えられないなんてダメな上司だと思うかもしれませんが、上司も上司で当たり前すぎて細かい部分を上手く言語化出来ないのです。例えば、あなたは"自分がどのように歩いているか"人に教えられるでしょうか。おそらく「足を前に出して蹴る」ぐらいしか言語化できないと思います。本来は"これを説明しないと歩けない"ということがあるはずなのにそれを説明できていません。同様にして、あなたができる上司に教えを請うた場合に、原理原則から外れたことを言われる可能性があります。ここからわかることは、言われたことをそのままやれば早く成長できる訳では無いということです

できる人を観察しろ

そこで、考えたのができる人をひたすら観察するということです。ひたすら観察して、疑問に思った点を仮設を立て、質問をし、また観察をして検証をする。これを余計な情報が入っていない最初のフラットな状態でやるのです。実際に研修の現場ではこれをやらされました。最初は見ているだけなんて退屈だなと思っていましたが、これが考えてみると理にかなっているのです。現場の技を見て学ぶのは古いと考えるかもしれませんが、意外とそうでもありません。特にレベルの高いことではそうです。できる人を観察して自分との違いから仮説を立て、質問と実践を行って効果を検証する。うまく行かなかったらまた仮説を立てて検証してを繰り返す。こうしてうまくいかない見方を潰していくことで正しい見方にたどり着く方法です。

本人もこちらからうまく聞かないと自分が無意識にやっていることを意識でして教えることができないのです。それを防止するための「できる人の観察」です。"確証バイアス"にもかかりにくく最短で基礎理解モデルを作れます。

人工知能分析から見る「できる人観察」の有効性

学習速度の違いは強化学習と教師あり学習の速度差を見てみるとわかりやすいです。強化学習が自分ですぐに実践して試行錯誤する人。教師あり学習がみて学ぶ人です。その学習時間の差は圧倒的だと思います。人は、なかなかなかなか自分だけの視点では理解が深めることは難しいです。第三者からの視点によって理解が深まることも多いです。そのため、いきなり実践をするよりはしばらくは見て学ぶ方が後々の学習速度を早めることにつながると思います。

近年はプロが技の理解を深めるために人工知能を活用しています。たとえば、将棋がいい例です。将棋会館に通ったり、師匠に教えてもらうのではなく、自宅でひたすら人工知能の打つ将棋を観察して学ぶことで、驚くべき速度で成長していく棋士が増えています。

深層学習は人の脳の構造を模していると言われいます。これは人間の学習方法の理解を深めるためにも利用できます。これから人工知能が発展し、"教え方"も言語化できれば、個人に最適化された基礎理解モデルを簡単に作れる日が来るのかもしれません。

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