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明日海りお退団大千秋楽

「大変長らくお待たせいたしました」の開幕アナウンスで鳥肌立つってみりおの声どうなってんの。

明日海りお のち カタルシス

 みりおの努力と実力と不遇については語り尽くされていると思うんだけど、「宝塚に全てを捧げてきました」という退団挨拶にすっと「うん、あなたはそうでしょうね」と頷かされてしまう男役でした。いつも見せ方を細かく研究しているみりお。この人の表情筋の動きも仕草も全て計算されていて意味があるとわかっているからこそ、みりおがちょっと眉をひそめて遠くを見たり太陽みたいに笑ったりする度に、あぁこれからなんか(展開とか感情の波とかが)くるぞ……って胸がざわざわして一喜一憂しました。そしてその予感に確実に応える演技をしてくれるから、みりおを観た後はカタルシスがすごい。

伝説のひとりになるであろう明日海りお

 みりおって実力的にも人気的にもそうだけど、タイミング的にも、宝塚史に残って語り継がれるタイプのトップだと思う。宝塚100周年の年にトップになって、柚希礼音がめちゃくちゃ名前をでかくした"トップオブトップ"の称号を後任みたいに背負って、それに全部応えて……きっと私がおばさんになって宝塚を観た時、「明日海りおさんのような男役になりたいです!」って宣言して入ってくる新入生、いるんだろうな……って想像して泣いた。"私が観たことあって馴染みがあって人気のトップさん"から、"もう実物は観られないけど伝説みたいになって憧れられ続けるトップさん"になっていくんだろうなー、しかも宝塚が続けば続くほどその名前も一緒に語られていくんだろうなーって。宝塚卒業そして殿堂へというシステムと、これから流れていくであろう時間に泣いた。

ふと気づいたら信頼していた

 なんか……始めから終わりまで細々と泣いてて、あれ、私こんなにみりおのこと好きだったのか……と気づかされました。私は宝塚にめちゃくちゃハマることはしないようにしてて、月に1回観るか観ないかくらいだし、宝塚ファンのSNSもチェックしてなくてめちゃくちゃニュースに疎いし、グッズもほぼ買わないし、自分はまあ普通に好きなくらいだと思ってた。でも、思い返せば「宝塚はじめての人に観せるなら花(か雪)だな〜」「みりおは安定だな」って、花組は絶対満足できる安心の組として心の片隅にあって、実はすごくすごく信頼を置いていた組でありトップなんだなと。ふと気づいたら信頼していたという感じで、いつの間に私の中でこんな大きな存在になってたんだろう……全然沼浸かってたわ……って泣いた。そして『ケ・サラ』の歌詞、

愛すべき僕らの故郷 美しい空と大地
永遠に続くと 信じたいけれど
明日はわからないさ

ケ・サラ CHE SARA/LEGEND - 歌詞検索サービス 歌詞GET

ですよ。そうだね……。そして黒燕尾で踊ってマイティーとあきらと絡んだのちカレーの背をそっと押すあの振りですよ。花組らしいバトンタッチだなあってまた泣く。

R.I.P 明日海りお

 本番中に泣き続けたからか退団挨拶の頃には放心状態。みりおの「明日からは」って言葉を聞いて、退団公演ってタカラジェンヌのお葬式みたいなものなのかなって思った。でも終わるんだなってことを観ている間に受け止められて、気持ちの上でしっかりお別れを言えたし、退団挨拶も落ち着いて聞けたので、きっとひどいロスにはならないはず。退団後のみりおについて想像はやまないけど、とりあえず元気に身も心もふくよかに過ごしてくれたらいいな。明日海りおさん、今までお疲れ様でした。

#宝塚 #花組 #明日海りお #イベントレポ

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