比べても仕方がないのはわかってて
すごいと思う人がいて、自分と比べても仕方がないのはわかっていて、それでも、羨むことをやめられない。羨むだけならいいが、誰かと自分を比較した結果「それに比べて私は」などと卑下し始めてしまうともう、ネガティブの波に飲まれている。そして暗い海の深くまで落ちていく。
海の底から海面を見上げる。キラキラと光が揺れて明るい水面で、自分だって楽しく泳ぎたいのだ。そう思うと余計、沈み込んでいる自分が情けなくなる。
ただ、深海は静かで、考え事をするには適している。考える、といってもそのほとんどは思考と言えるほどの論理性を持たない、雑多な感情の溢れだ。それでも胸の中の醜い思いが溢れ出してしまうと、空っぽになった頭で、何か建設的に考えてみようという気力も湧いてくる。
どれだけ羨んだって、誰かにはなれない。その事実を認めるところから始めよう。自分は自分でしかなくて、自分が持っている物を使っていくしかない。その持ち物が心もとないのならば、どうすればそれを強化できるのかを考えてみるのがいいだろう。ちょっと時間や手間はかかるかもしれないが、それくらいは努力をしてみよう。
例え自分を強くできたとしても、敵わない誰かはいる。それも悲しいけれど事実だ。だから諦めてもいいだろう。でも、どうせ、時間を過ごしていくのならば、その時間を使って嘆いているよりも、ちょっとでも良い自分になれるような行動を取ったほうがいいのではないだろうか。
とはいえ、嘆く夜があってもいい。生産的であるばかりが人間ではない。
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