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幽霊と未亡人ジャンル

寝る前にベッドで本を読む。職業柄、英語力を保持しなくてはならないので、主に洋書をキンドルで。でもリラックスタイムなので、気楽なコージーミステリーやアーバンファンタジー。ちょこっとパラノーマル風味で、探偵役が見える人だったり、幽霊が出てくるのが好きで、そういうのを漁っていたら、海辺の古い屋敷に幽霊がいて、若い未亡人が引っ越してきてというパターンがやけに多い。

これが実は1947年の幽霊と未亡人The Ghost and Mrs. Muir という映画にインスパイアされた作品群だったのだ。アメリカは古い映画を繰り返しテレビで放送する伝統みたいなものがあって、ケーブルテレビ以前の時代、日本でお茶の間で何となくワイドショーの食レポが流れている感じで白黒映画が放映されていた。たぶん今でもそうなんじゃないだろうか。だから、若い世代もびっくりするような古い映画を見てたりするのだ。

「幽霊と未亡人」は、そうやって広い年代の女性の心を鷲掴みにしているらしい。その中には作家も読者もいる。そしてThe Ghost and Mrs. ××というタイトルの小説が量産されているのだ。日本語に翻訳されているものでも、例えば アリス・キンバリー(クレオ・コイル)の幽霊書店シリーズがそうだし、E.J. コッパーマンの海辺の幽霊ゲストハウスシリーズも。

軽いホラーシリーズでも幽霊と未亡人の巻があったりして、作家がこれは書きたかったシチュエーションとあとがきしたりしていたりも。日本ではおよそ知名度もない映画がこんなジャンルを作っているのだと、知ったからには書いておきたくなった次第。

というわけで、圧倒的に女性作家と女性読者の多いコージーミステリーの一角では、今日も海辺の幽霊屋敷に子連れの若い未亡人が引っ越してきては、ハンサムな幽霊と難事件に挑んで、ちょっとロマンスっぽい展開に胸をときめかしたりしているのだ。



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