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優秀なプロダクトマネージャーに必要なスキルは?技術力や知識力よりも大事な「メタ認知思考力」

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最近プロダクトマネジメントの記事が日本で増えはじめているみたいです。アメリカ、特にシリコンバレーではGoogleを始め、プロダクトマネージャーの職業がここ数年で増加しつつ、注目されてきました。

私も今ではDentsu Innovation StudioでAssociate Product Managerをしていますが、GoogleやLinkedInの本社があるPalo Altoに数年前に移り実際にプロダクトマネージャーとして働き始めるまで、どんな職業なのかをイメージするのも結構難しく感じていました。

よく「プロダクトマネージャーとは何か?」や「優秀なプロダクトマネージャーになるにはどのようなスキルが必要なのか」などという質問に対して、はっきりした説明や答えが見つけにくいのが現状です。その理由として、実際に所属している部署や内製チームの構成によって働き方や役割が大きく異なることがあると思います。

このような訳で、シリコンバレーのプロダクトマネージャーの方数名に、このスペースで働いていての経験やアドバイスを伺いました。興味深いことに、部署や携わっているプロダクトが全く違っても「プロダクトマネージャーとしての思考能力」と言う観点で共通している点があったので、この場を借りて紹介できればと思います。

この記事の趣旨としては、プロダクトマネージャーの職業に興味を持っておられる方、又プロダクトマネージャーとして働きだした方に是非読んで頂きたいと思います。

シリコンバレーのPdMによる最も重要な特性とは?
興味深いことに、ほとんどの方が特定のハードスキルやテクニカルスキルを習得することよりも、状況を把握したり、鋭い質問をすることが重要だと答えました。「プロダクトマネージャーのように考える」という観点はどういったものなのかを以下にまとめてみました。

Point 1: 質問を繋げていくことで、真実を追及する

一人の方は、デキるPdMは自分が見ている世界がどのように構成されているのかをしっかり把握できている、と述べていました。「単純に聞こえるかもしれませんが、鋭い質問をしていく中で、徐々に真実を明確にしていくという信念と辛抱が大事だと思う」と仰っていました。

Point 2: 知識の限界と向き合う

また別の方は、自分の知識の限界に正直になり、知らないことを明白にした上で追及していく思考習慣をつけることをお勧めされました。知らないこととしっかりと向き合うことで、バイアスを減らし、判断力の強化や信頼性の向上につながると説明していただきました。

しかし、誰しもがこのような鋭い質問の手法や考え方が自然とできるわけではありません。お話を伺った方も、徐々に身につけていくものだと仰っていました。まずは知らないことに正直になる、という点をスタートポイントとすることです。毎日の私生活の中で、自分が自信を持って知っていること、又はそうでないことの区別をする積み重ねで、知っているものの精度を更に上げ判断力の向上につながる思考習慣を身につけることができます。近年のアメリカ企業の傾向として、マネジメントに続いて、アソシエートやその下のレベルでも思考力の向上が期待されてくるようになりました。その中で、PMの方も意識され全般的に注目され始めているMetacognitive Thinkingをこの後少し触れたいと思います。

思考力・質問力とPdMキャリアの兼ね合い

しかし、なぜ鋭い質問をすることがここまで重要視されているのでしょうか?以下のセクションでは思考力が実際にどのようにプロダクトマネージャーキャリアに影響してくるのかを追及してみました。一般的にプロダクトマネージャーとしてパフォーマンスで期待・評価される観点は以下の2点です。

1)全体においてのプロセスの精度

2)プロダクトの状況把握方法(KPIなどの指標の精度)

上記の期待に応えるためには、データ分析や時間管理のスキルが最も重要だと思われるかもしれません。しかし、お話を伺ったプロダクトマネージャーの方々は、自分の使用しているプロセスやKPI指標に対してあえて対照的な考察をした上でインサイトやアクションに繋げられることが、優秀なプロダクトマネージャーとしての特徴だと強調していました。一般的には自分好みのやり方、又は慣れ親しんだ手法に偏りがちですが、同じ手法や考え方にとらわれすぎると、新たな視点での発見を見逃してしまうことがあります。 だからこそ、客観的な視点を持ち、当たり前そうであっても疑ってみる癖をつけることが大切なのです。

しかし、言うは易く行うは難しであることは言うまでもありません。上記の様に客観的な視点を持つことをMetacognitive Thinking(メタ認知思考)と言います。メタ認知思考を使って、日常で常識としていることを客観的な視点で見るためには次の2つのステップが必要とされています。

Step 1:個人的なバイアスがあることを受け入れる

まずは私たちそれぞれが常に情報を解釈し、自分なりの意味付けをしていることに気づくことです。ここで大切なのは誰であっても、個人的なバイアスなしで情報を理解することはないということです。心理学を使って深ぼると、全ての情報が私達自身の過去の体験と絡み合い、固有的な解釈や意味あいをもつのです。ですので、このStep 1で大切なのはまず、個人的なバイアスは逃すことができないと言う点です。ここでポイントなのはバイアスを否定するのでなく、逆にバイアスを受け入れることで、次ステップでバイアスがどの視点から来ているのかを理解しやすくすることです。このようにバイアスを受け入れることは、先程申した様な「知らないこと正直に向き合う」ことにもつながっています。

プロダクトマネージャーとしての事例:今はKPIとして、1日のアクティブユーザー数(DAU)に着目している。このKPIが一番プロダクトの成長の指標として適していると自分では思っている。

Step 2:バイアスの傾向と特徴を把握する

Step1に加えて、Step 2 では自分の解釈やバイアスが実際にどの様に毎日の判断や行動に影響しているのかを把握します。自分なりのバイアスの特性を理解することで、バイアスからの視点で見える特有なインサイト、又は見えていないかもしれないことなどが明らかになってきます。この様に自分の思考傾向を把握することで、より客観性が求められる時に以前よりはバイアスを意識した観点で判断や意見を述べたりすることができます。再度ですが、Step 2を通してバイアスが削減されるわけではありません。欲を言うと、人として完全にバイアスを削除することはほぼ不可能です。ですので、Metacognitive Thinkingの論理としては、バイアスを受け入れ普段より意識することで、バイアスをできるだけ減らすことを目的としています。

プロダクトマネージャーとしての事例:自分はデイリーアクティブユーザー数(DAU)がプロダクトの指標として最適だと思っている。DAUだと毎日のエンゲージメントが把握できるので、プロダクトが使われている頻度がわかる。しかし、現時点ではプロダクトが使われる頻度が高ければ高いほど良いと思っているが、本当にそうなのか?毎日使われなくてもプロダクトが成長していくケースはあるのだろうか?もしあるなら、どの様な指標がポイントになるのだろうか?

終わりに

色々なプロダクト開発に携わっているPdMの方を数名お伺いした中で、誰しもが思考パターンをポイントとしてあげられたのは本当に興味深い点だと思います。皆さんもメタ認知思考にトライしてみてはどうでしょうか。


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Dentsu Innovation Studio Product Manager|San Franciscoベース|ソフトウェア開発・米国テック・デザイン心理|English: sayakarae.medium.com