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難民事例 その3 完結編(コンゴ民主共和国 男性:30代前半)

その日の夜、私は両親に会いに行き、何が起こったのかを説明することにしました。家に戻って寝ようとしたら、弟からまた電話があり、弟の近所の人が、弟に留守中にアパートに武装した人たち(警察でも軍隊でもない)が来ていたと、伝えたと聞きました。捜査官と思われる、その人達は弟の留守中にドアを壊し、家の中に入ったということでした。その日の夜、私は自分の家で寝るのをやめ、友人宅に避難しました。翌日、弟から電話があり、調査団の一員であった同僚の一人が行方不明と知らされました。(おそらく拉致されたのだろうと思います)。私は友人に、私の着替えとパスポートを、私のアパートに取りにいってくれるように頼みました。手遅れになる前に、出国する必要があると思ったからです。国境には捜査官や警察官もいるので、国境を越えるのは不可能に近く、危険であることがわかりました。私はしばらく友人の家に泊まり込み、解決策を探りました。しばらくすると、友人宛に当時キンシャサ(コンゴ民主共和国の首都)に住んでいた国連職員の知り合いから電話があり、空港で私の弟を見かけたけれど、声をかけそびれたと聞きました。しかしその後、弟とは連絡がつかなくなりました。当時、弟はたまたま別件で、2ヶ月ほど前に日本の正式なビザを取得していました。それを使って出国したのだと、見当がつきました。というのも、それしか方法がなかったからです。私の知り合いがキンシャサにいて、国連軍の貨物機でブカブからキンシャサまで行くのを手伝ってくれました。そこで、避難できるどこかの国のVISAの取得を試みましたが、とても難しく、2ヶ月間彼の家に滞在して、どこからかVISA発行されて、祖国から逃れる事ができるのを、ただ待っていました。そして、ついにビザが取得できたのが、日本でした。以上が、私が日本に来た経緯です。(以上、聞き取り話)
 Cさんは3年ほどの単発的な仕事と並行して忍耐強く就職活動を続け、WELgeeの紹介で今年IT系の会社にフルタイムでの就職を果たし、技術・人文知識・国際業務の在留資格に切り替えを予定しています。

 行政書士豆知識として- 難民認定の特定活動に限らずですが、申請中に現在の在留カードの在留期限を迎えてしまうと、期限が切れている事を理由に外国人の方は銀行でお金を引き出しできないということが起きることがあります。本来であれば、申請中なので守られるべき権利ですが、まだ金融の現場で認識が浸透していないこともあり、先に現在の在留カード更新を済ませるなどの注意が必要です。

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