見出し画像

難民事例 その3 続き1(コンゴ民主共和国 男性:30代前半)

Cさんが国を追われた理由は、会社の汚職でした。脱税、賄賂などはコンゴ民主共和国は通常に行われていて、政府関係者が彼の企業を利用して、不正に横領したのが、発覚。調査チームにいた彼自身は汚職に関わっていなかったにも関わらず、政府側から証拠隠滅として、一方的に多数の逮捕者と殺人が行われ、彼は新婚2カ月で奥さんを実家に帰して、日本に逃げてこざるを得ませんでした。アフリカの国々の多くは権力者にとっては、無法地帯です。

 彼の人生は興味深いです。奥様は敵国ルワンダの人で、ルワンダの企業に彼が勤めている時に現地で知り合いました。ルワンダはアフリカのシンガポールと言われています。働き口は国境をまたいだほうがあったようです。この奥様との恋愛はまさに、ロミオとジュリエット状態だったようで、家族にルワンダの人と結婚したいと報告したところ、父親からは、何と言ったらいいかわからない、、と返されたそうです。家族中がとまどい、お祝いムードとはいかないなか、彼は自分の意志を貫きました。そして、ようやく結婚した矢先に、自分の妻をおいて国を出るという選択をせざるを得ませんでした。

ブローカーを使って出国手段を模索していたところ、日本のビザが出たと知らされました。これまでの難民と同様、彼は日本に来たかったわけでも、日本を渡航先に希望したわけでもなく、一番最初に出た渡航ビザが日本だったということです。ただ、同じ理由で先に弟が日本に出国していたので、その点は良かったようですが、その弟も身の危険があるので、日本にいるはずというだけで、連絡がとれていませんでした。彼は弟が使ったのと同じブローカーに、もし弟と連絡がついたら、日本に着く日(航空チケット情報)を伝えてほしいと言って、ブローカーから渡された100ドルだけ握りしめて、国を後にしました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?