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【1989年100日旅】19日目。モスクワ

1989年の今日は旅19日目。モスクワ大学には家族寮もあって、ロシア人らしき子供たちが寮の庭にたくさんいた。この子たちはピオネールのキリッとした佇まいとは違い、いきいきと騒然としていて、ねじくれて、生を発散していた。

寮の庭に出ていくと、どこから来たのかと聞かれたので(ロシア語はできないのに、子供の頃は聞かれたことはわかったのだ)「ヤーヤポーンカ!(私は日本人)」と答えるがわかってもらえない。それならば、と持っていた地図帳を開いて示した。

ところが、その子達は私たちが日本から来たことよりも地図帳がカラフルできれいなことにびっくりし、私が知らない子にも地図帳を回し始めた。そのあまりの熱狂ぶりに返してもらえないのではないか心配になり、覚えたての「ちょうだい」を表す言葉、「ダイチェ」を繰り返した。それしか言える言葉がなかったから。

ひとしきりみんなが見た後で、地図帳は無事に返ってきて一安心。言葉が通じなくても一緒に遊べて楽しかった。おもちゃのからすの真似をして高所から飛び降る子がいて大笑い。夜は父の友人のグルジア人の送別会へ。

そんな感じの19日目。旅は残り81日。

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