【1989年100日旅】64日目。ウプサラ
1989年6月8日。64日目。ガムラ・ウプサラ(旧ウプサラ)へ。古代北欧の神々の神殿があった場所で、3〜6世紀にかけて宗教、政治、経済の中心地だったという。スウェーデンのキリスト教化は遅く、11世紀までガムラ・ウプサラで古来の慣習に則って宗教や政治的儀式を行っていたそうだ。
1989年のガムラ・ウプサラには神殿はなく、見渡す限り野原が広がる場所だった。丘のように見えるのは6世紀のスヴェア王族の墳墓。足元には背の低い草と小さな白い花が生えていた。静かで鳥の声だけが聞こえる。特に目立つ建物があったわけでもなかったのだけれど、なぜかこの場所のことはずっと印象に残っている。急に風が吹き、それが古代の北欧の神々の存在を思わせた。
この翌日に、ローマ法皇がガムラ・ウプサラを訪れることになっていたため、辺りには白いロープが引かれていた。スウェーデンにキリスト教が入ってきたときに、真っ先に教会が建てられたのも、この地だった。土着の神々もキリスト教もこの地の風の良さを感じたのかもしれない。
昔話にでてくる魔女や小人など「彼岸の存在」は、キリスト教が入ってきたときに人々の認識の中で追いやられてしまった土着の神々だという。ガムラ・ウプサラ近辺には、きっと魔女や小人などが登場する豊かな昔話がたくさんあるのだろうな。
こんな感じの64日目。旅は残り36日。
ここも、死ぬまでにもう一度行きたい場所。
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