芸術と手仕事が未来の教育。その2

脳科学者Kjeld Fredens氏 「授業数を増やす必要は無い。芸術と身体を使う活動の方が、学びに効果的。」後編。

学校は抽象的なことに重きを置きすぎる。

「身体を使って学ぶ事」に重きを置いた方が、多くの生徒がもっと学びを深めることが出来る。「物事は出来るだけ抽象的で早いほうが良いと」、と多くの学校で重要視してきたが、考え直すべきだ。抽象的で理論的な事を優先するあまり、実技や芸術科目を軽視してきた傾向にある。と、Kjeld Fredens氏は言い、テストと目標達成に重きをおいた教育が、授業を更に理論的にしていると指摘する。

もし、以前のように「学校」を教員のものとし、管理職の能力を高めればば、学校教育は更に進歩すると、Kjeld Fredens 氏は述べる。(Sayaka注: 2015年の学校組織改革によって、教員や学校運営への管理が厳しくなった事を指摘している。)

芸術科目をもっと授業に取り入れるべき。

学校を真剣に見直すのであれば、身体と脳が共に使われる学びと、身体的な活動をもっと取り入れるべきだ。子どもは興味を持ったことであれば、身体を通じて学ぶ。じっと座れない子どもがいるが、それは身体にエネルギーが溜まっているからだ。そういう子どもたちに、大人は診断をつけたがる。代わりに、他の学びの方法を提示すれば、子どもたちはもっとうまく学校でやっていけるであろう。

Kjeld Fredens 氏は、身体的な活動と感覚を取り入れた学びは、時間がかかるが、長期的に見ると意義があると言う。

 入学したからといって、読み書きを早く学ぶ事が大切ではない。学ぶことが難しい子どももいるだろう。そういう子どもには、鞭打つように本を与えるのではなく、絵を書いたり他の課題を与えたほうが効果は上がるだろう。子供の実態に合った、多様な学びを用意できれば、多くの子どもは学校で成功する。その後の難しい学びも、成し遂げることが出来るであろう。

氏は更に、芸術と音楽の授業にもっと重きを置くべきだと述べている。芸術に重きをおく学校と、そうでない学校を比較した興味深い研究がある。芸術に重きをく学校の生徒のほうが、すべての分野において好成績を残している。氏の説明としては、音楽や美術などの芸術的な教科は、実際に手作業することだけでなく、生徒の想像する力、表現力と同時に、調べるという物事へのアプローチを強化する。芸術教科について真剣に考え、絵を書いたり音楽を弾く事を学びと認めると、学校はもっと進歩する。すべての学びは、好奇心、疑問、機知が大切であり、これらは芸術教科の得意とするところだ。

授業時間を増やすことによって得られるものはない、とKjerd Fredens氏は考える。脳の研究では、学んだことを咀嚼する時間が必要だと言われる。日々の宿題は、子どもたちの脳が寛ぎ、学びを咀嚼し、自分自身でいる自由な時間を奪う。よって自由な時間がとっても大事なのだ。

芸術に重きを置く学校が、PISA学力テストで測られる教科の時間数を減らし、代わりに芸術教科の授業数を増やしている。それらの学校は、PISAで測られる様な教科で好成績を出している。様々な世界や考えを習得する能力を、芸術教科を通じて学んでいるからだ。これらのことは実証済みである。


訳終わり。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?